2019年(平成元年)8月20日の東奥日報朝刊が「名物駅弁姿を消す 『とりめし』来月で販売終了」の大きな見出しで報道しました。
野辺地駅のkiosk閉鎖に伴って一時販売が終了したものの、その後「駅そば パクパク」が販売を引き継いだ「とりめし」。今回は、現在の製造元であるウェルネス伯養軒青森支店が営業休止するとのことで、野辺地駅の駅弁は完全に消えることになりそうです。
「とりめし」は、1952年(昭和27年)に当時の伯養軒野辺地営業所が製造し、野辺地駅で販売を開始した駅弁です。かつては駅弁コンクールでの入賞や東京駅での駅弁大会で販売などの実績があり、青森県を代表する名物駅弁の一つと言えます。
発売以来ひし形の弁当箱に茶飯を敷き詰め、鶏肉の照り焼き・卵と鶏そぼろをのせ、椎茸煮とグリンピースをあしらったスタイルはほぼ変わっていません。ごくシンプルな駅弁ですが、それが冷めても美味しい駅弁に仕上がっているのです。
大々的にPRしたり、所謂駅弁ライターに大きく紹介されたりする事もなく今日まで販売されてきたことから、「名作駅弁」と言って良いでしょう。
初めてこの駅弁を食べたのはいつ頃なのか記憶にありません。
子どもの頃は、駅弁は高嶺の花でした。
手元に残っている掛紙は1976年(昭和51年)の物です。
販売当初のデザインではありませんが、黄色地に南部菱刺し模様、鶏のイラストにひらがな文字。ボール紙の掛紙に代わるまで続いた、お気に入りのデザインです。
定かではありませんが、野辺地営業所の所長さんは女性ではなかったと記憶しています。その所長さんがこだわったデザインだったのかなぁ~と想像したりもしました。
ボール紙の掛紙になってから、「野辺地」の文字が入った物と入らない物両方がぞんざいした期間がありましたが、最近は「野辺地」の文字が入っている物だけのようです。
ウェルネス伯養軒のホームページには、仙台駅の駅弁として「伯養軒のとりめし」が紹介されています。
内容が微妙に違いますが、容器自体は「とりめし」と共用しているようです。同じ会社なのでレシピは同じではないかとの見方をするファンもいますが、全くの別物として見たいと思います。