2月9日、日本共産党市議団で東京都荒川区の視察を行いました。示唆に富んだ内容であり、今後の町田市政に生かしていきたいと思います。以下、視察内容について記しておきます。
■子どもの貧困問題──荒川区
昨今、「子どもの貧困」問題は立場の違いを超えてとりくむべき課題となっています。国では「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(以下「子どもの貧困対策法」)が成立し、「大綱」が閣議決定されたが、実際のとりくみはこれからとなっています。その中で、もっとも住民に密着した基礎自治体が「子どもの貧困」をなくしていくための方策を行うかは重要な課題です。
「子どもの貧困対策法」は、次のように基本理念を定めています。
第2条 子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずることにより、推進されなければならない。
2 子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない
さらに、地方自治体(地方公共団体)の役割については次のような記述があります。
第4条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
つまり、地方自治体は、「当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務」を追っています。その意味で、荒川区が先進的に行った「子どもの貧困・社会的排除問題研究」の意義が大きいことがわかります。次に、荒川区のとりくみについて具体的に記していきたいと思います。
2004年11月に西川区長(現職)が就任し「区政は区民を幸せにするシステムである」というドメインを発しました。区民の幸せが商品で、それを届けるのが区の仕事であるという方向づけを行い、「幸福実感」を上げていくことを区政の中心に据えたことにカギがあります。当初は、さまざま議論があったといいます。
その後、基礎自治体でやるのであれば「不幸を減らす」という視点はどうかというアドバイスもあり、とりくみをスタートさせました。具体的な研究を行う組織として、荒川区自治総合研究所を区役所とは別組織として2009年に発足するに至ります。それ以前から準備を行い、「不幸を減らす」典型的なものとして「子どもの貧困」をテーマに設定しました。
研究は、貧困というと経済的な問題から発するものであるという角度からスタートしたようですが、調査を進める中で想像に複雑な要因に基づくものであると分析しています。同時に、経済的な土台が確立されていないことが前提条件となっています。当事者調査も実施しようと議論してきたが、この時点では当事者への調査は見送られ、生活保護のケースワーカーや子ども家庭支援センターの職員への聞き取り調査を持って、経済的貧困と複合的貧困を調査しました。
その研究成果として、すぐにとりくむべき「あらかわシステム」を提言しています。その内容は、①ドメイン、目標、指標、②組織・人材、③社会関係資本(地域力)、④多様な政策・施策──の4つの柱です。職員の意識付け、専門部署だけではなく組織横断的な対応が必要であることはそれを貫く点として強調されました。
研究途上から、すぐに実施できるような課題については、とりくみはじめたことも特徴的です。貧困の関係では、スクールソーシャルワーカーの増員(2→3人)、ママメンタルサポート事業、精神科医による個別相談、子ども家庭支援センターの所長を係長から課長級にするなど、研究と実践を一体的にとりくんでいます。
研究所は外郭団体として設置されたため、区とは少し距離を置いて実施しています。区職員が4人、非常勤が4人の体制で、各研究には客員研究員として参加してもらっているといいます。報告書を出したから終わりではなく、研究を進めるにあたっては、手法を検討して、どういう形の報告にすべきかを検討したましたが、当時よりも深刻化、顕在化しているのでさらなる対策が必要だという問題意識を持っているといいます。
荒川区のこの調査は、2011年に行われたものですが、示唆に富んだ内容です。今後、生かしていくべき課題のひとつとして、「子どもの貧困対策法」を手掛かりに、町田市として子どもの貧困施策について全体を把握し総合的かつ具体的に施策を進めることが求められています。荒川区の研究結果を参考に、町田市における施策を提言していきたいと決意しています。
最後に、荒川区議会の斎藤議長、保坂副議長、横山日本共産党幹事長、議会事務局のみなさん、北川副区長、説明いただいた檀上研究所副所長に心からお礼申し上げます。
報告書「子どもの貧困・社会排除問題研究プロジェクト最終報告書「地域は子どもの貧困・社会排除にどう向かい合うのか―あらかわシステム」
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