日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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「よく切れる刀を持つ者が必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である」──徴税強化が行われている税務行政の現場の人たちに読んでほしい一文

2019-08-31 | 学んだこと、政策のこと

 やはり、原則に立ち返ることが大事だと感じています。

 それは、税などの徴収が強化され、税務行政として如何なものかと感じる場面での話です。

 地元の町田市では、共産党市議団のもとに差押えにあったという相談事例があとを絶ちません。

 話を聞いてみると、それはとても丁寧に話を聞き、きめ細かく対応したとは言えない事例もあります。

 「換価の猶予」「滞納処分の執行停止」など、経済的に厳しい状況の方々が滞納してしまった場合に活用できる制度はあるものの、とにかく言葉がむずかしいことに加え、実際の相談現場では制度の紹介すら行われていないことも少なくありません。

 町田市議会では、殿村健一市議団長を先頭に、この徴税強化の課題に挑んでいます。私も、市議団との連携をはかりながら、都議会でも質問に臨んできました。(参考:「生活再建型」の滞納整理が必要です

 殿村市議を通じて、接した文書の中に、我妻栄氏の『国税徴収法精解』があります。

 我妻氏は、新国税徴収法の改正作業にあたった租税徴収制度調査会の会長を務めた方です。

 『国税徴収法精解』の序で、我妻氏が次のように述べていることは、税務行政に携わるすべての人が一度は接することが必要だと思います。

 以下、少し長いですが、引用します。

 ただこの際ぜひ述べておかなければならないことがある。それは他でもない。新国税徴収法の認める租税債権の優先的効力も、その徴収にあたって用いうる強制力も、その運用を極めて慎重にすべきことが諒解されているということである。私債権が他の債権に優先する効力を与えられる場合には、法律にその要件が極めて正確に定められている。また、その執行のために認められる強制力については、極めて慎重な規定がある。それに反し、租税債権については、優先的効力の範囲にも、その用いうる強制力の程度にも、徴税当局の認定と裁量に委かされている幅が相当に広い。このことは、単に近代私法取引に対する例外であるだけでなく、近代法治国家の公権力の作用としても、異例に属する。にもかかわらず、調査会がこれを承認したのは、納税義務者の態度に如何によってはかような制度を必要とする場合があることを認めたからである。いいかえれば、これらの優先的効力の主張も、強制力の実施も、真に止むをえない場合の最後の手段としてはこれを是認せざるをえないと考えたからである。従ってまた、徴税当局がこれらの制度の運用に当っては慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提として諒解されているのである

 このことは、この書を熟読すれば直ちに理解されることである。いや、私は、徴税の仕事にたずさわる人々にこの点を諒解させる資料を収めることにこの書の最も大きな値打ちがあるとさえ考えている。徴税事務の第一線に働く人々が、万一にも、調査会の到達した結論だけを理解して、そこに到達するまでに戦わされた議論と費やされた配慮のもつ意義を知ることを怠るようなことがあっては、調査会の三年にわたる苦労は生命を失うことになる

 よく切れる刀を持つ者が必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である。不必要に切ってみたい誘惑さえ感ずるものである。本書がこれを戒めるためにも役に立つことを希望してやまない。

 「慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提」というのは、極めて重い言葉です。

 国税徴収法を定めるにあたり、築き上げられたこの精神に立った税務行政になるよう、求めていきます。

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