あるスワローズファンの嘆き

 88年から89年まで蒲田で働いていた頃、お客さんでスワローズ
ファンの方がいて仲良くなった。
 当時のスワローズは関根監督のもと広沢や池山らがノビノビプレーして
いたが成績は万年Bクラス、ファンのお客さんはいつもぼやいていた
「もう優勝してから10年か、池山と広沢を中心にフルスイングはいいが
ブンブン振り回すだけで扇風機だよ。せめてチャンスの時はカチ-ンと
ミートに徹さないのかね、こんな事やってたら優勝どころかAクラスも
無理だよ」と
 それから8年後の97年、毎年恒例の盆休みの状況で蒲田の店に行くと
久しぶりにそのお客さんと再会する。「いやぁ~懐かしい、お元気ですか?」
という挨拶に始まり近況を話した後に「スワローズ強いですね、今年も
ぶっちぎってますから優勝間違いないですよ。毎晩ビールが美味いでしょう?」
と尋ねると意外にもそのお客さんは’オマエもか’という表情でため息をつく
「みんなそう言ってくれるんだけどね・・・」
 そちらに言わせると「常勝を義務つけられているジャイアンツに対して
スワローズは勝つことも大事だけどそれ以上にお客さんを飽きさせないという
事を考えて選手達がプレーしている。しかもジャイアンツの場合大企業的な
エリートが多くスタンドもネクタイを締めたホワイトカラーが多いのに対し
スワローズは下町の一般大衆に愛されるチームだ。スワローズを応援する意義は
はっきり言って肌が合うから他ならない、広沢達が豪快な空振り三振しても腹は
立つけどそれがアイツの魅力だから正直文句を言いながらでも許すし喜んでいた。
 ところが90年に野村が監督になって強くなったけどかつてのスワローズのよさが
なくなってどちらかというと軽蔑していたV9時代や藤田時代のジャイアンツ
みたいな野球をやっている。勝てない頃はどんなやり方でもよかったけど前回の
優勝なんか全くスワローズらしい勝ち方ではなく野村の野球だよ、むしろ今は
長嶋ジャイアンツの方が俺達が喜んでいた野球たってるよ。でも今さらジャイ
アンツファンにはなれないし・・・・」らしい。
 つまり「勝てないときはどんな勝ち方でもファンは嬉しいものだが一旦勝つ味を
覚えると勝ち方に文句が付く」という事がよく言われるが強いけどらしくない
スワローズの戦いぶりには昔から応援しているファンにはもの凄い違和感がある
のだろうと思った。
 これはある意味スワローズがジャイアンツに並ぶぐらいの実力を付けてきた
証拠でもあるがその分ファンの見る目もシビアになってきている。
「勝つのは難しいが勝ち続けることはなお難しい」という言葉が思い出される。
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