埋まらなかったハリルの思考と「日本人のDNA」…苦悩明かす西野朗新監督
サッカー日本代表監督だったヴァイド・ハリルホジッチが、電撃
解任されてから3日経つ。
サッカーライターの人々や代表OBの面々の話を聞いていると一部
のサッカーライターを除き代表OBらは解任を肯定的に見ているし、
彼らのコメントには‘ハリルの縦に速いスタイルは日本人には合っ
てなかった’という声が多き。
新たに監督として就任した西野朗も‘日本人らしいスタイルで’
と語っておりマスコミもそれを喜んでいるようだが、4年前のブラ
ジルW杯で自分達のスタイルに固執して1分2敗と勝てなかったザッ
ク・ジャパンのスタイルに戻そうというのか?戻して3連敗しても
批判しないのか?と思ってしまう。
日本人は極端から極端に発想が流れがちでポゼッションスタイル
を標榜すると速攻をしかける事を一切否定してしまうし、ハリルの
言う‘縦に速いスタイル’を前面に押し出すとポゼッションは一切
不要という感じになってしまうのだ。
基本的にサッカー関係者の多くは‘日本人は1対1に弱いので個の
弱さを補うためにはショートパスをつないでポゼッションを高める
べき’というのを理想としていた。
ところが日本流のポゼッションスタイルはアジア相手でも引いて
守られると‘ボールはキープしてパスは回るものの得点の匂いが全
くしない’という点を取るためのパス回しがボールを失わないため
のパス回しという目的と手段が入れ替わっている姿を何度見た事か。
ザッケローニも就任当初は縦への速い攻撃もオプションとして装
備したかったようだが選手達の意向を尊重した結果ポゼッション一
辺倒になり、出場権獲得後のコンフェデ杯で惨敗したにも拘わらず
パスサッカーに殉じるような形で1分2敗という結果に終わる。
パス回しスタイルの限界をまざまざと見せ付けられただけに当時
の技術委員会が‘ジャイアントキリングができるチームに’という
考えからパス回し一辺倒ではないアギーレやハリルホジッチを招聘
したのは当然の流れで当時のマスコミも‘パス回し一辺倒では’と
肯定的だったし‘負けたけど日本らしいスタイルを貫き通せた’と
評価する者は殆どいなかった。
だからハリルホジッチは必要以上にパスを回したがるのを禁止す
るために縦への速い攻撃を強調したのだろうが、選手達やマスコミ
はそれを真に受けてパス回し不要というべき戦い方をしていた感が
強い。
恐らく協会トップやマスコミもパスをつないで崩して行くスタイ
ルこそ日本的なスタイルと言うのだろうが、正直言ってこのスタイ
ルでW杯に出場して勝ち抜くには代表のメンバーがレアルマドリード
やバルセロナにバイエルン・ミュンヘンなど世界のビッグクラブで
レギュラーとして大活躍する選手ばかりにならないと厳しいだろう。
そしてその域に達するまでに日本は何大会続けてW杯のグループ
ステージ敗退を続けるのか?いつまでマスコミはそれに耐えられる
か?という事になるのではないか。
思えばラグビーも日本がW杯に出場するものの勝てない時期には
代表OBの方々から‘例え負けてもいいから日本人だけで日本人らし
いスタイルで戦うべき’という声が多かったのだが、エディ・ジャ
パンでは外国人選手をしっかり入れて結果を残すとそういった声は
聞かれなくなった。
外国人選手を使わずに日本人らしいスタイルで戦っても負け続け
れば人気は出ないし、外国人が入っても勝てれば人気が出るという
事例をサッカー協会やマスコミはどう見るのだろうか?