ライバルが消えた北島康介のモチベーションが心配だ

ダーレオーエン急死＝昨年の世界選手権で北島破る―競泳(時事通信) - goo ニュース

　昨日の夜にPCを開いていたら「ダーレオーエン急死」という一報が入ってきて
驚いた。

　実は小5になる長男の国語の時間で習っているのが「新聞を読み比べよう」で、
この中で扱われているのが北京五輪の100ｍ平泳ぎ準決勝終了時点で優勝
候補だった北島康介を抑えてノルウェーのダーレオーエンが1位で決勝進出した
事を伝える2種類の記事を読み比べるのだが、これを毎日宿題で音読している。

　ちょうど4年前の事を思い出しながら‘ダーレオーエンは一気に読め’などと
アドバイスを送っていたし‘この選手の名前をよく覚えとけ、ロンドンで北島が
勝てるかどうか’的に話していたから長男もダーレオーエンの急死の報を聞いて
驚いていたのだ。

　北京五輪後に北島が休養していたのを尻目にダーレオーエンは北京の銀
メダルで自信を付け、ロンドンでは堂々の優勝候補になっていたし実際昨年の
世界選手権では北島は4位と完敗している。

　ロンドン五輪でもダーレオーエンは優勝候補筆頭だったし4月に行われた日本
選手権で北島が復調したのを見て‘これで互角に戦えるかもしれない’的に
思っていた。

　もともと北島はライバルが強い方が闘志を燃やし力を最大限に発揮するので、
アテネ&北京では世界記録保持者のブレンダン・ハンセンが強敵だったからこそ
素晴らしい記録で二冠を達成できたという側面がある。

　かつてモントリオール五輪のレスリング・フリースタイル52㌔級で圧勝して金
メダルを獲得した高田裕司がモスクワ五輪ボイコットの後に現役復帰しロス五輪
に出場を決めた時に過去1勝1敗だった最大のライバル・ベオグラゾフとの戦いを
モチベーションにしていた。

　ところが今度は旧ソ連がボイコットし対戦がなくなった高田は気の抜けた状態で
臨んで1試合を取りこぼしたおかげで‘まさか’の銅メダルに終わってしまった。

　ジョー・フレイジャーやジョージ・フォアマン、ケン・ノートンらと凌ぎを削ったから
こそモハメッド・アリは輝いたし、マイケル・スピンクス戦を最後に強力なライバル
が不在になったマイク・タイソンは己との戦いに敗れて芸術的ともいわれたスタ
イルを崩壊させている。

　ライバルの存在とは かくも重要なのだから‘ダーレオーエンには気の毒だが
北島のメダルは確定したし、3大会連続の金メダルにも大きく近づいた’的な事を
考える輩が出てくるだろうが、むしろ北島が‘打倒ダーレオーエン’という目標を
喪失してモチベーションを下げないかの方が気になるのだ。