宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

三つの杯

2005年10月01日 | Weblog
これもスーフィーの伝承です…。
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ある無知で強欲な暴君が真理を求めた事があった。
そのムルシアの大王はタラゴーナに住むウマルという
一人のスーフィーを捕らえさせ、宮殿に連行させた。

「真理についてお前の知っている事を私に理解出来る
様に話せ。さもなければお前の命はないものと思え。」
「捕われ人が真実を語り、しかもその内容が罪に値しない
ものであるならばその者を解放する習慣を、騎士道精神に
満ちたこの宮殿においても遵守して頂けますか?」
「いかにも。」
「ここにいるあなたの家臣全員を証人にして頂けましたら、
私は一つといわず、三つの真理をお話し致しましょう。」
「お前の語る内容が、我々全員を納得させるものでなければ
ならないぞ。」
「第一の真理は私がタラゴーナに住むウマルというスーフィー
である事。第二に私が真理を語るならば、あなたは私の解放に
同意なさられた事。第三にあなたは自分の納得できる様な真理
だけを知りたがっているという事です。」

その場にいた誰もがこの答えに深い感銘を受け、王はウマルを
解放せざるを得なかった。
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この話しを何度も読むうちに、ウマルの答えが王に対してのみ
ならず、これを読むわたくしに対する警句にも思えてきました。
わたくしもまた自身が期待するものだけを受け取ろうとしている様に
思いました。
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