宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

この河は もとの流れにあらずして

2006年03月06日 | Weblog
スーフィーの伝承です…
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様々な土地を流れてきた小川がついに砂漠に出会った。
小川にはもうそれ以上、先へ進む道はなかった。
小川は砂に吸収されるしかなかったが、その時
「風は砂漠を渡って行ける。」」という声が聞こえてきた。
小川は反論した。「風が渡って行けるのは空を飛べるからで
あり、私の場合は砂に吸収されるだけだ。」
「これまでのやり方で突き進んで行ってもいずれ消滅して
しまうか、沼地になるだけだろう。目的地に辿りつきたいのなら、
風に運んでもらわねばならない。風の中に溶け込むのだ。」

この考えは小川には受け入れ難かった。何かに溶け込んだ事
などこれまで一度もなかったし、それに一度自分を失ってしまえば
再びもとの姿に戻れるという保証がどこにあるというのだろう。

「この話しは真実であり、もし信じないのならばお前は沼以上の
ものにはなれないし、沼になるのでさえ何年もかかるだろう。
そして明らかに沼は小川とは全く違った存在だ。」
「今の小川のままで在り続ける事は出来ないのだろうか?」
「いずれにせよお前は今の自分で在り続ける事は出来ない。
お前の本質が運び去られてしまうからだ。やがてお前は小川に
なるだろう。自分の本質について何も知らないので、お前は未だに
小川という存在で在り続けているのだ。」

小川は上空で両手を広げて待っている風の中へ溶け込んで行った。
風はやさしく、そして軽々と小川を運んで行き、遠く離れた山頂に達すると、
そこで穏やかな雨を降らせた。
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