黄金の一触

スーフィーの伝承です…。
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悩み事を抱えて苦しんでいたある男が、問題解決の
あかつきには家屋を売り払い、それによって得た金を
全て貧しい人に与えるという誓いを立てた。
ところがいざその誓いを実行するべき時に、その様な
大金を手放す気になれなかった男は何かうまい方法は
ないかと思案した。

男は家に一匹の猫をつけて売りだし、家には銀貨一枚を、
猫には銀貨一万枚を要求したのであった。
そして一人の買い手がみつかり、男は乞食に銀貨一枚を
与え、残りの一万枚を自分のものとした。

人の心とはこの様に働くものである。教えに従おうとしながら、
自分の都合の様にそれを解釈する。特別な訓練によってその様な
性癖を克服しない限り、何かを学ぶ事は不可能である。
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「チベット死者の書」などでは、人間の輪廻転生を促す解脱の障害が、
習癖を作る力（習気）とそれへの執着に他ならぬ事を示唆しています。
「それに眼をやってはいけない、執着してはならない、求めてはならない」
そうした教示が幾度も記述されています。

現在精神世界の分野や所謂「自己啓発」に関わる分野において様々な
セミナーなどが催されている事を見る事が出来ますが、人間の心に対する
真のアプローチはどれほどあるのでしょうか…。