宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

言葉なき言葉

2006年03月15日 | Weblog
これも前記の書に掲載されていた話しですが…。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
大企業の営業部長の娘で約八名の婿候補の男性が
いる女性が、自分の婿を決め兼ねて悩んでいた。
「どの人が私を一番愛しているか、それを知りたいのです。」

一人の青年は彼女との対話を独占し、彼女の美を誉めそやし、
愛を勇敢にも動作を交えて語るので、彼女もまた自分をいたわって
くれるこの男性に好意以上の気持ちを感じていた。
優しく抱かれて踊るワルツの調べの中で、彼女はこの男性との
婚礼を決断した様だった。

男性達の中の一人で、殆ど彼女に接近せず、異常に耐えている
様な目つきで彼女を見る男性がいた。他の女性とは穏やかに
語っているのに、彼女に対しては誰が見ても恐ろしい感じの
応対だった。

彼女は私にあの優しい好青年に対する印象を尋ねた。

「あの優しい青年は女性に慣れていて、そこから出てくる心の
余裕と女性の扱い方の熟練さによってあなたの心を捕えて
しまった様ですね。しかし本当にあなたを愛していたら、あの
様になめらかな、優し過ぎる言葉や態度が次々と出てくるはずが
ないのです。あの青年には今まで一体何人の女性のいたことか。
そういう豊富な女性遍歴から自然に出てくる、技術的な優しさなの
ですよ。
あの青年達の中で最もあなたを真剣に愛しているのは、あの怖い
感じのする青年だと思います。」

パーティー終了後二次会で遅くなった彼らは車を海岸に向け、
そこで複数の暴漢に襲われた。あの優しい青年は殆ど抵抗もせず、
彼女を置いて逃げ出した。彼女を守ったのは結婚の対象から
外れていた、あの一言も愛を語れぬ青年だった。
彼は半裸になり、彼女に手を出すな、俺の命をやるとかばい、
袋叩きにあって血まみれとなったが、恐れをなした暴漢は彼女には
一指も触れずに終に逃げ出した。

その後あの優しい青年からは次々と深い関係の女性が出、結局
退社となった。彼女は自分を守った男性の回復を待って交際を始めた。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
コメント (2)