宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

「こと座の伝説」

2008年07月16日 | Weblog
(画像はクリックされましたら拡大します。)

80年代に書かれた某西洋占星術家のエッセイからです。

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7月の夜空でやはりひときわ目を引くのは天の川なのでしょうが、
この頃の都会では、こうこうと明るいネオンのせいか、全く
見る事が出来なくなりました。
あなたの街ではきれいに見えますか?

さて七夕の織姫星はこと座の一等星ベガという星です。
どうやら地球からは25~26光年の距離にあるらしく、わぁ~
遠いのねという感じがしないでもないのですが、北半球では
最も明るい星の一つです。

こと座にまつわる伝説をひもとけば、やはり思い出すのは
地の果てまでも愛する妻を追いかけて行った竪琴の名手
オルフェウスのこと……。
あなたも知っているでしょう?
「えっ!!それなあに?」というあなたの為にはタイムトンネルを
潜ってギリシャ神話の時代へひとっとび!

人間的な神様オルフェウスが愛したのは、エウリュディケという
ニンフでした。

二人はやがて結婚するのですが、新婚間もなくエウリュディケは
野原で毒蛇に噛まれて死んでしまうのです。

深く悲しんだオルフェウスは何とかして愛する妻を冥王ハデスから
取り戻そうと決心し、苦難の旅に出かけます。
そしてようやくハデス王とその妻ペルセポネに会う事が出来た
オルフェウスは、必死で竪琴を弾き、妻エウリュディケを返して
くれるようにと訴えます。

その竪琴の美しさと哀しさは死者の王であるハデスの心さえ
動かし、一つの条件の下にエウリュディケを連れ出す事を
許します。
その条件とは、死者の国を出て地上の光が見えるまで、決して
振り返って妻の顔を見てはいけないという事。
そして妻は無言でオルフェウスの後をひたひたと無言で
ついて行きます。

でもその沈黙と、地上までのあまりの距離の長さにオルフェウスが
振り返った時に、この物語は悲劇の幕を閉じてしまうのです。
あと一歩だったというのに……。

こうして、この悲しい出来事をいたみ、オルフェウスの竪琴は
天上で光り輝く星となったのです。

あなたもそんな遠い昔の悲しいロマンに思いを馳せつつ、
夜空に輝く星達を眺めてみては如何ですか?

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この神話の細部は語り手によって若干異なっていて、エウリュディケが
毒蛇に噛まれる状況に陥ったのは、ニンフ達と遊んでいた時に
噛まれたというものから、牧者アリスタイオスに追いかけられて
逃げている最中に噛まれたというものがあります。

またその牧者アリスタイオスについても、単なる暴漢という説から
彼女に横恋慕しただけという説、また彼女が説明しても既婚者である
という事を信じなかった牧童という説まであります。

そしてオルフェウスが後ろを振り返ったのは、自分が地上の光を
見たからで、後ろの妻は未だ外に出ていない状態であった為に結局
引き戻されてしまったと言われますが、死んだ妻を救いに夫神が冥府に下り、
そして禁じられた事を守れずに妻を助け出す事が出来ずに離れ離れに
なるという点に古事記との共通性が見られるという指摘もあり、
個人的に興味深く思います。

http://www.kt.rim.or.jp/~r_kiyose/review/rv0407.htm

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