以下 ネットに投稿されていた 幽体離脱の体験談です。
+++++++++++++++++++++++++++++++
私の幽体離脱時のパターンは、
1.上向きに寝る。
2.全身の力を抜いていると、ふいに体重を感じなくなる。
3.全身が内側から強烈な黄色い光に満たされ、その光の方が自分の本体であるという実感がわく。
4.肉体的な万能感を感じる。
5.上半身から高速で抜ける。
といった順序です。書くと長いですが、これらが起こるのは合計1,2秒のことです。
この体験を数回繰り返しているうちに、脳内で構成された離脱時の光景は次第に現実に近づき、
後には現実と変わらないようになりました。
この時点では脳が度重なる離脱に適応したのか、それとも本当の幽体離脱に近づいているのか、
判断ができませんでした。
数週間経つと、私はある程度、意識的に離脱ができるようになったので、
今まで旅行で訪れた地域などを中心に、日本中を飛びまわっていました。
もちろん、現実とは全くかかわりがないものと認識した上でです。
人は記憶の中の美しい光景を辿るだけでも楽しい気分になれるのだと、感慨にふけっていました。
そしてあるとき、全く行ったことのない場所に行くとどうなるのだろう、という気になったのです。
そう思うと実験してみずにはおれず、
京都在住の(私は東京在住です)大学時代の友人を訪ねることを思いつきました。
友人のアパートの住所は知っていましたが、実際に私が京都を訪れたことはありませんでした。
結果として、散々迷った挙句、彼のアパートの部屋には辿りつくことができました。
しかし、時刻は夜中であり、彼は既に寝ており、コミュニケーションをとることは出来ませんでした。
一応、自分の幽体の手で彼の鼻をつまんでみたり、口と鼻を塞いでみたり、話しかけたりしてみたのですが、
彼にはそれが感じられないようで、全くの無駄に終りました。
仕方が無いので、私は彼の部屋の間取りと家具の配置、壁に貼ってあるポスターなどを記憶して、
その日は自分の体へと帰りました。
後日、その友人に電話して、無沙汰の挨拶を済ませたあと、
私は単刀直入に、部屋の間取りと家具の配置、壁のポスターについて聞いてみました。
もちろん私は、実際には彼の部屋を尋ねたことはありません。
すると電話口で、彼がどんどん言葉すくなになって行くのがわかりました。
私の見た通りの光景を話し終わって、彼に「で、どうなの?」と聞くと、
彼は『お前、誰か雇って俺の部屋探ったか?』と言われました。
それは私にとっては、自分の離脱が本物だと確認できた瞬間であったと同時に、
彼との友情が終った瞬間でした。
『もう連絡しないでくれ』
それだけ言い残して彼は電話を切りました。
結果として私は友人を一人失いましたが、そのときの私にとってそんなことは問題ではありませんでした。
「俺は世界中、どんなところにでも入れる力を手に入れた!これからの人生は思い通りだ」
そう思って舞い上がっていたのです。
その後、私が思いついたことは、下衆と言えばこれほど下衆なことはありませんでした。
実際の世界を自由にのぞけるのなら、女性の寝室にしのびこむこともたやすい、と。
さらに、霊体となっていれば、その女性に憑依して、自分の思い通りに動かすことも可能なのではないか、
という期待も抱いていました。
その夜から、私は好みの女性の寝室を探すべく、深夜の東京の空を徘徊しはじめたのです。
そうして、ついに好みの女性の寝室を見つけるにいたりました。
彼女は身長170cm程度、すらりと伸びた長い手足にはほどよく肉がつき、胸元は豊かに膨らみ、
目の端がきゅっと猫のように持ち上がり、鼻筋の通った、可愛らしさと美しさを兼ね備えた女性でした。
「この女こそ俺が求めていた女だ。この女を自由にしたい」
私は経験はありませんでしたが、彼女に憑依すべく、彼女の背中から彼女に重なろうとしました。
その瞬間、私は思い切り後ろに向って跳ね飛ばされました。
霊体ですので、障害物にぶつかることもなく、壁と隣室との間まですり抜けてしまい、
そのすき間の空間で、私はしばし呆然としていました。
すると目の前に、一見して悪人と見える男性の姿が面前に浮びあがりました。
その男は、私の霊体を圧倒的な力で小突き回した挙句に、こう言いました。
「あの女は俺のものだ。邪魔すると、消すぞ。
俺らに生身の人間は手出しできないが、
霊体同士なら、力の強い方が弱い方をどうにでもできる」
私は振るえ上がりました。
それまで自分以外に、
この世界に自由に不可視の霊体で飛びまわれる存在がいるなどとは、
思ってもいなかったのです。
強烈な恐怖を感じた私は、瞬間移動で自分の部屋に戻り、自分の体に戻ると、
布団を被って朝までがたがたと震えていました。
それからです。
離脱時によく周囲を見回してみると、
生者だか亡者だかわからない存在が、周囲にうじゃうじゃいることに気がついたのは。
気づいたというのは、目でも感覚でも確認できるようになったということです。
それに気がついてから、私は離脱をやめました。
とてもではないけれど、再びあの魑魅魍魎が跋扈する世界に出て行く気にはならいのです。