上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

「産業文化会館の廃止・解体および花畑広場整備」のムダを正す裁判・・・判決日程決まる

2016-11-09 12:40:51 | 熊本市政
11月9日、熊本地方裁判所にて、「産業文化会館の廃止・解体および花畑広場整備」のムダを正す裁判が行われました。
門前集会の後、開廷。
寺内大介弁護士からの最終弁論が行われ、結審しました。
判決の日程は、
  2017年2月1日(水)午後1時10分より
    熊本地方裁判所・501法廷
です。
大法廷に次いで大きな法廷となりますので、是非多くの人に傍聴していただきたいと思います。
「産業文化会館の廃止・解体および花畑広場整備」のムダを正す裁判は、市政のムダを正す重要な裁判として、2014年3月の提訴以来、2年8カ月闘われてきました。
判決まで、約3年かかったことになります。
「市政のムダを許さない!」、私たちの闘いは続いていきます。

寺内大介弁護士の「最終弁論」は、以下のとおりです。


平成26年(行ウ)第3号 公金返還請求事件
原 告  菅井 幸夫 ほか
被 告  熊本市長 大西 一史

最終弁論

2016年11月9日
熊本地方裁判所民事第3部合議A係 御中

原告ら訴訟代理人 弁護士 寺内 大介 

 2016年11月4日付原告ら第9準備書面の要旨を述べ、原告ら代理人の最終弁論とします。
第1 はじめに
  2014年3月13日の提訴、そして、同年5月14日の第1回口頭弁論期日以来、裁判所には、丁寧な審理を重ねていただき、心より感謝申し上げます。
  本件は、産業文化会館を解体し花畑広場を整備するために熊本市長が支出した18億5866万2502円もの血税を熊本市に返還するよう542名の熊本市民が求めた裁判です。
第2 花畑広場設置のために2棟のビルの敷地は必要なかった
1 被告は、花畑地区広場構想の背景には、熊本城や「城彩苑」を含む熊本城周辺を訪れる観光客の増加とアーケード街の歩行者通行量の減少といった当時の状況のもと、新たに計画されていた桜町再開発複合施設整備も考慮し、回遊性を向上させ、中心市街地全体の活性化につなげていくという政策上の課題があったとしています。
   しかし、アーケード街の歩行者通行量の減少の主な要因は、郊外に大型ショッピングモールの出店を認めてきたことであり、同様の発想で市街地に大型施設を建設して解決するものではありません。
また、MICEに対しては、「ただでさえ厳しい熊本市の財政状況の中で、450億円もの投資をして採算が取れるのか」「3000人収容のホールなど年に何回利用されるのか」「大型集客施設より市民病院や市営住宅、公民館等、市民生活に密着した施設の整備を優先すべきではないか」など、批判が絶えません。熊本市観光文化交流局の想定によっても、3000人規模の学会・国際会議、総会・大会は、年に13回しか開催されません。
   したがって、熊本城と桜町再開発複合施設及びアーケード街の回遊性を向上させるという政策上の課題は、産業文化会館の解体や花畑地区に広場を設置することでは実現し得ません。
2 被告は、2棟のビルが撤去されると、熊本城と新市街とを快適に結び歩くことが楽しめる動線を整備することができるといいますが、熊本城から新市街に歩いていく観光客は目当ての店がある等特別の目的がある者に限られますし、そのような者にとって2棟のビルの存在はさしたる問題ではありません。
 3 被告は、広場の面積が不足することになれば、周辺を通行する者を広場に呼び込めない。あるいは広場でのイベント開催時に参加者を十分に収容できない等の不都合が生じる。他都市における広場面積と比較した場合、旧産業文化会館跡地だけを広場とすることは、花畑広場周辺の通行量の観点から見ると、面積的に過小となるといいます。
しかし、広場で開催されるイベントに多くの参加者を期待できるのは休日だけですし、花畑広場の南隣には辛島公園、北隣には花畑公園があるのに、花畑広場の面積だけを他都市の広場と比較して過小とするのは失当です。
4 被告は、2棟のビルが「壁」のように存在し、熊本城やMICEから花畑広場に向かう視界が遮られてしまい、花畑広場に向かう人の流れが阻害されるといいます。
  しかし、2棟のビルがあろうがなかろうが熊本城から花畑広場は見えませんし、熊本城から花畑広場までは約1kmあり徒歩で約10分も要しますから、熊本城から花畑広場に歩いて流れる人は限られます。また、城彩苑は経営不振のため撤退する店舗が相次いでおり来場者も増えていませんが、2棟のビルとは何の関係もありません。すなわち、2棟のビルが熊本城から花畑広場に向かう人の流れを阻害するということはありません。むしろ、旧県民民百貨店と花畑公園の間の道路から横断歩道がなくなったことが、熊本城方面から新市街方面への回遊性を阻害しています。
第3 支出負担行為が当該年度にされたことは不相当であった
 1 借家人補償費を低額に押さえることができる時期ではなかった
 (1)被告は、サンビルについて支出負担行為をした平成26年7月時点の入居者が0社であったものの、過去の入居者は平均4社、当時の熊本市内の空室率が10.18%であったこと、フラワーズビルについて支出負担行為をした平成27年3月時点の入居者が3社であったものの過去の平均入居者が平均8社、当時の熊本市内の空室率が8.79%であったことから、当該時期を逃せば入居者が増える可能性が髙かったといいます。
    しかし、平成26年7月、平成27年3月時点の入居者がそれぞれ0社、3社であったのは、産業文化会館及び県民百貨店、交通センターの解体が決まり、2棟のビル周辺の通行量が減り、テナントの採算が取れなくなっていたからにほかなりません。したがって、熊本市内の空室率が多少減少していたからといって、2棟のビルに入居する者が増える可能性はなかったのであり、被告の想定は現実的ではありません。むしろ、しばらくすると、フラワーズビルに残っていた3社も退去していた可能性が高かったのですから、借家人補償費の総額を低額に抑えることができる時期であったとの被告の判断は誤りです。
    また、被告は、熊本市内における平均賃料が平成25年に底値であったところ、フラワーズビルの借家人補償契約の支出負担行為は、同年とほぼ同じ賃料であった平成27年になされたので、借家人補償費自体も低額に抑えることができた時期であったといいます。
    しかし、あくまで平成27年3月までフラワーズビルに入居者があったことを前提にした議論ですし、そもそも、支出負担行為時にこのような検討がなされた形跡はまったくありません。
(2)被告は、2棟のビルの購入を花畑広場供用開始後又はMICE完成後まで延期すれば、2棟のビルは集客力が高まり経済的価値が増加するから、新たな入居者との立退交渉が難航することによる人的・時間的負担の増加も見込まれたといいます。しかし、花畑広場の供用が開始されても、産業文化会館や県民百貨店、交通センターが存在した時期に比べて2棟のビルの集客力が高まるとは考えられませんし、MICEにいたっては、建設時期の見通しさえ立っていません。そもそも、被告が2棟のビルの入居者との立ち退き交渉にどのような人的・時間的負担をかけたのか一切明らかにされていない以上、比較のしようもありません。
   また、被告は、2棟のビルが当時の所有者から他社に売却されてしまった場合には、売却の意思を有していた当時の所有者から購入するよりも交渉に要する労力及び時間が余計にかかっていた可能性が高いといいます。しかし、集客力が落ちテナントが入る見込みのない2棟のビルを購入する意思を有していたのは熊本市だけです。2棟のビルの土地売買契約及び物件移転補償契約の支出負担行為がなされた当時両ビルの敷地を売却する意思を有していた所有者が、どんどん価値が下がり買い手が付かないビルと敷地を売却する意思を失うことは考えられませんから、急いで購入する必要はなかったのです。
2 被告は、2棟のビルの土地売買価格は、地価の交渉において底値であった平成25年7月1日時点の熊本中央5-13の土地の標準価格を基礎に算定されているため、低額に抑えられているといいます。
   しかし、熊本市のほかに購入する可能性がないもとでの交渉は、熊本中央5-13の土地の標準価格に拘束される必要はありませんし、「基礎に」というからには、標準価格に上乗せしたり押さえたりするのが買収交渉です。桜町・花畑地区再開発事業の附帯決議に関する特別委員会は、「取得価格は一般的社会通念に配慮し、価格交渉を徹底的に行うことを要望する」としていますが、被告が価格交渉を徹底的に行った形跡はまったくありません。
 3 被告は、花畑地区広場及びシンボルプロムナード整備による経済効果は、中心市街地に限ったところでも、イベント利用時の来場者予測を基礎に年間約12億円と試算されていた。花畑地区広場予定地は、平成27年6月から花畑広場として供用が開始されており、同月から平成28年3月までの約9か月の期間で、約56万人が訪れた。この期間における経済効果は、概算で約19億円となり、当初の試算を上回るといいます。
しかし、年間約34万人というイベント利用時の来場者予測は根拠が乏しい楽観的な見通しに過ぎませんし、花畑広場として供用を開始して以降の来場者を被告は把握していません。そもそも、被告は、消費額を経済効果と同視しているようですが、花畑広場で消費された額の大半は、県外の広告代理店や業者等に吸い上げられ、熊本市の税収にはつながらないうえ、産業文化会館が果たしていた市民文化の振興等の役割に対する一片の顧慮もありません。
 4 花畑広場は産業文化会館の文化振興機能を代替し得ない
   産業文化会館は、熊本市産業の振興並びに市民の生活及び文化の向上を図るため設置され、人材の育成、雇用の促進、市民文化の振興など重要な機能を有していましたが、花畑広場は、こうした重要な目的、機能をまったく代替し得ません。
   とりわけ、105畳の小ホールや固定席700席の大ホールを失ったことにより、地元の文化団体・個人(日舞、洋舞、邦楽、演劇、落語等)が練習場の確保に苦慮し、後継者育成にも大きな支障をきたしています。
   また、会館の受付や地下のレストラン街を初め入居団体において多くの雇用を生み出していましたが、会館の解体により一気に雇用の場を失いました。
   消費額を唯一の価値基準とする被告の姿勢では、政令都市熊本の未来は開けないことを強調し、一木コートが、熊本市長のムダづかいをただす判決を下されるよう期待して、本訴訟の最終弁論とします。
以上

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