上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

「障がい者作業所」を守るために、国も地方自治体も力を尽くすべき

2025-03-04 19:59:06 | 福祉
「障がい者作業所」を守るために、国も地方自治体も力を尽くすべき
2024年度からの「福祉サービス報酬」改定の見直しを

2024年度からの「福祉サービス報酬」改定によって、障がい者作業所の運営が厳しくなっています。
「利益を上げなければ報酬を減額する」という福祉現場に相いれない報酬見直しによって、障がい者作業所では運営費が減額されています。
特に、就労契約を結んで最低賃金を保障するA型作業所の運営が行き詰まっています。
きょうされん熊本の調査でも、2024年度からの福祉報酬改定によって、約4割の事業所が減収となり、中には月100万円以上の減収となる事業所もあると報告されています。
国の福祉報酬改定を元に戻す、報酬見直しは急務です。

今議会に、日本共産党市議団として「障害福祉サービス等報酬改定の見直し等を求める意見書」案を提案しました。
採択されることを願います。

【意見書案】
障がい者の生活を維持するために必要不可欠な障害福祉サービス等報酬改定に当たっては、すべてのサービスが安定的に提供し、従事者の賃金が改善され、深刻な人手不足に直面する事業所の人材確保が可能となるよう配慮すべきです。
しかし、2024年度からの障害福祉サービス等報酬改定では、現場の実態をみない報酬体系の導入、基本報酬の減額等が行われ、事業所の運営は極めて厳しいものとなっています。現場では、質の高い福祉サービスを提供する事業所が正当に評価されていません。特に、利用者に最低賃金を保障しなければならない就労継続支援A型作業所では、事業収益を大幅に増額させなければ、報酬が減額となり、事業所の運営を続けることが困難な状況が生まれています。熊本県下の民間団体によるA型作業所の調査では、2024年度からの福祉報酬改定によって、約4割の事業所が減収となり、中には月100万円以上の減収となる事業所もあると報告しています。加えて、最低賃金の上昇や物価高による材料費の高騰、コロナ禍から回復していない事業収益減も影響して、廃業を余儀なくされる事業所も出ています。マスコミの調査でも、今年3~7月までの5か月間で、全国329ヵ所の作業所が閉鎖し、約5,000人が解雇、退職になったと報告されています。
そもそも我が国の障害福祉関係予算の水準は低く、障害福祉等に係る公的支出の対GDP比はいまだ1%にとどまり、OECD加盟国平均の2%を目指すことが求められます。 
今回の障害福祉サービス報酬改定は、A型作業所はじめ障害福祉事業所の運営を不安定にし、事業の存続すら難しい状況に追い詰めています。また、厳しい人手不足をさらに深刻にし、作業所の廃止と相まって障がい者の生活そのものが脅かされる事態を招いています。
よって政府におかれては、2年後の次期報酬改定を待たず速やかに次の事項を実施するよう求めるものです。
1、就労継続支援A型作業所について、事業収益が増えなければ基本報酬を減額する等の成果主義を見直し、障がいの重い人たち、支援度のより高い人たちを受け入れている事業所に対して適切な評価を行うこと。
2、障害福祉等に係る公的支出額の対GDP比をOECD平均である2%水準を目指すこと。
3、障害福祉事業所の運営難の原因になっている人手不足を解消するため、障害福祉サービス等従事者のさらなる処遇改善を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊本市社会福祉協議会が実施する「福祉金庫」の改善を求めました・・・ご活用を

2024-05-22 19:16:44 | 福祉
熊本社会福祉協議会が実施する貸付制度「福祉金庫」
困窮する世帯が、必要な時に活用できる貸付制度・・・ご活用を
「福祉金庫」はこんな制度
「福祉金庫」とは、熊本市社会福祉協議会が「福祉金庫資金事業」として実施している生活困窮世帯への無利子・少額の貸付制度です。
目的は、「民生委員の援護活動に際して、その世帯の自立更生上必要かつ有効と認められる場合に貸付を行うことにより、その援護活動の充実を図ること」と規定され、原資となる財源を熊本市が市社協に貸し付けて運営されています。(熊本市からの貸付:毎年1,000万円)
【貸付金額】 基本5万円以内、特別な事情の時10万円以内
【利子】 無利子
【貸付内容】⑴生活つなぎ資金、⑵就職の資金、⑶保護申請のつなぎ、 
      ⑷急病等時の生活必需品購入、⑸その他 
【相談・申込先】熊本市社会福祉協議会 ☎096⁻322-2331
      住所:熊本市中央区新町2-4-27 市健康センター新町分室

主な貸付内容は、「教育費」や「生活費つなぎ」「転居費」「保護つなぎ」「家具什器」等です。
毎年・数百件の相談に対し、貸付は40~50件程度にとどまり、相談の7%前後の貸付実績です。
熊本市が貸し付けた原資・1,000万円も2~3割しか活用されていません。

「貸さない」の対応、改善を求めました
高校生を持つ方が、修学旅行費用7万円を借りるために福祉金庫を申込まれた時、16年前の返還残1万円が不能欠損処理だったために、「貸さない」と門前払いでした。
「生活と健康を守る会」が相談に乗り、粘り強く交渉し、結果的には借りましたが、借りることができなければ、修学旅行に行けませんでした。
市社会福祉協議会が「払えない」との判断で不能欠損していたものを理由に、「貸さない」というのは、「福祉」とは言えません。

止まらない物価高の中、困窮世帯の願いに応える運用へ
3月議会の予算決算委員会で、修学旅行費用にも貸さない「福祉金庫」の運用問題を取り上げました。
厳しい運用で必要な人を門前払いしてはいけません。困窮する世帯が必要な時に利用できるよう、運用改善を求めました。
利用が少ないことは、市が無償提供した資金が目的である「福祉」に活用されていないということです。
困難を抱える市民が、よりよく乗り超えていくために、利用者へ寄り添った対応への改善が必要です。
引き続き、運用改善に取り組んでいきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会福祉協議会の「福祉金庫」・・・ もっと利用しやすい制度へ、制度そのものと運用の改善を

2024-01-27 20:53:15 | 福祉
社会福祉協議会の「福祉金庫」、福祉の心で運用を!
困窮する市民の実情に合わせ、利用しやすい制度への改善を
「福祉金庫」とは?
 熊本市社会福祉協議会が、熊本市から無利子融資によって貸付原資の提供を受け、世帯更生のためのつなぎ資金や病気・生活必需品などの緊急な支出が必要となったときに、無利子・無担保で借りることができる、生活保護・困窮世帯への貸付制度です。
 【貸付上限額】原則5万円(特に必要と認めた場合は10万円)
 【連帯保証人】1人
*過去に借りた資金の償還が終わっていない場合は、利用不可。

相談件数のうち、実際に貸し付けたのはわずか8%
毎年約600件から700件の相談が寄せられていますが、実際の貸付は50件前後で、貸付実績は、相談件数の7~8%以下です。
窓口に行っても9割以上の人が門前払いの状況です。
金額面でも、毎年市が融資で提供しているのは、1,000万円、その2割も活用されていません。

出資者である市のイニシアティブで、制度や運用の改善を
貸付理由で多いのが「生活のつなぎ資金」と「教育費」です。保護世帯や困窮する世帯は、ギリギリの生活で、教育費でも修学旅行や制服代などに行き詰っています。
わずか5万円の貸付に連帯保証人が必要なことや、10年以上前のものでも1万円程度の返済残があれば貸さないなどを、利用しやすい制度へ、制度そのものと運用の改善が必要です。
困窮する市民の暮らしを支える制度として活用されるように、資金を提供している市がイニシアティブをとり、制度が改善されるように求めていきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする