上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

介護保険料の引上げは中止を

2018-03-29 16:33:21 | 熊本市政
市議会最終日、提案されていた介護保険料の値上げ議案に反対討論を行いました。
今回の保険料は前回改定時の基準額を月額1060円、年間で12,720円も引き上げるものとなっています。
介護保険料は、所得段階別になっているとはいえ、基準段階の第5段階というのは、本人非課税です。そういう人に年間81120円もの保険料を賦課するような今回の保険料改定は到底認められません。減っていく年金から、否応なく差し引かれれば、生活費を削って保険料を払うということにもなりますし、普通徴収の高齢者には滞納がさらに増えて、ペナルティにより、必要な介護サービスが受けられなくなります。
介護保険法第1条に謳われた、高齢者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」という目的にそった制度の運用のためにも、負担の限界を超える保険料については、むしろ軽減すべきです。現行、保険方式の下で、必要な介護サービスを提供しながら、制度を続けていくためには、国庫負担増額を国に強く要望し、早急に実現することこそ必要です。また、市としても、保険料の負担増を抑えるために、何らかの措置を行うべきです。
討論内容は、以下のとおりです。

【討論全文】
議第64号「熊本市介護保険条例の一部を改正する条例」について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
議案の提出理由にも述べてありますように、今回の条例改正は、2017年に成立した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」、2016年の「介護保険法施行令の一部を改正する政令」の施行(しこう)に伴うものであり、また、「熊本市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の見直しに合わせ、保険料率の改定等を行うものです。
 2017年5月に成立した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」は、介護保険法を含む31本の法改正を一つに束ねた一括法として提案され、具体的な内容を多くの政省令にゆだねるものでしたが、その国会審議は、十分な審議も尽くさず、詳細が明らかにされないまま、政府与党の一方的な審議打ち切りによって採決が強行されたものでした。その内容は、「社会保障・税一体改革」の徹底を図るために打ち出された「経済・財政一体改革」に基づいて見直しを行うもので、「利用者負担の見直し」「介護医療院の創設」などとともに、「自立支援・重症化防止に向けた保険者機能の強化」「共生型サービスの創設」など、これまでになかった内容が含まれています。また、強い反対世論の中で、今回見送らざるを得なかった本格的な軽度者の切り捨て政策についても、次期以降の課題として検討期限とともに明記されるなど、大変問題の多いものです。
 おおもとにある「経済・財政一体改革」は、2025年を目途に、「社会保障・税一体改革」が掲げた医療・介護提供体制の再編・縮小、負担の強化と、公的給付の削減を強力に推進することを目的とするもので、社会保障を経済成長に資するビジネス仕様につくり変えていくこと、赤字の主因とする社会保障費を徹底的に削減しようというものです。介護分野におけるこの改革は、「介護保険制度の持続可能性の確保」と、「地域包括ケアシステムの深化・推進」の2つを柱にしています。この2つの柱の背景には、「給付と負担の見直し」「医療・介護の一体的改革」「福祉の見直し」の3つの政策があります。
「給付と負担の見直し」では、これまでも、介護報酬引き下げ、予防給付やホテルコストの導入、利用料引き上げ、基盤整備の総量規制、給付適正化による事後規制の強化などの見直しが重ねられてきましたが、今後さらに、新たな給付と負担の見直しが実施されます。「自立支援・重症化防止に向けた保険者機能の強化」は、給付抑制を徹底させるものと言えます。
「医療・介護の一体的改革」は、病床の再編ということで病床数の削減を行い、その受け皿として「地域包括ケア」を構築し、「入院から在宅へ」「医療から介護へ」、さらには「介護からボランティアへ」の流れを推し進め、「安上がり」で効率的な医療・介護提供体制づくりを推進しようというものです。今後は、療養病床削減のための受け皿として「介護医療院」を創設し、「自立支援・重症化防止」ということで、公的サービスからの卒業を促す「自立支援介護」が導入されます。
「福祉の見直し」では、高齢者と障碍者・児のサービスを複合化させた「共生型サービス」を創設し、現在、高齢者のみを対象としている「地域包括ケア」を障がい者・子どもを含めた全世代対応の地域包括ケアへの転換も目指していきます。この土台には、「我が事、丸ごと地域共生社会」構想があり、福祉分野における公的給付を住民主体の「互助」へと置き換えていこうというものです。
 改革の柱の第1、「介護保険制度の持続可能性の確保」でいう「持続可能性」は、利用者の生活や事業所の経営ということでなく、保険財政の持続可能性です。そのため、「現役並み所得者の利用料3割化」「介護保険料の算定を総報酬制へと切り替えていく」「高額介護サービス費の負担上限額の引上げ」「生活援助の切り下げ」や「給付の適正化」などもすすめられ、社会保障費の削減、国庫負担の圧縮が行われます。
 国は、社会保障費が膨らんで制度が維持できないと言いますが、日本のGDPに占める社会保障給付費の割合は決して高くありません。国立社会保障・人口問題研究所が出している2015年版の「社会保障費用統計」では、フランス32%、スウェーデン28%、ドイツ26%に対し、日本は22%しかなく、しかも、2012年以降下がっています。増え続ける介護需要に応えながら、「持続可能性」を確保していくためには、社会保障費の増額が不可欠です。
2番目の柱「地域包括ケアシステムの深化・推進」でも、もともと「地域包括ケア」は「要介護状態となっても、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、住い・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制」だと説明されているにもかかわらず、今、国が推し進めているのは、医療費・介護給付削減の手段としての地域包括ケアで、「自助」「互助」中心にしようとするものです。
このたび示された本市の「第7次高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」には、これまで述べた国の考え方が随所に反映されています。「計画の基本的な考え方」では、「計画の目標」を元気な高齢者の割合を増やさないとしていますが、これは、要介護認定者率を引き上げないということで、これを数値目標とすることで、自治体間のばらつきを「見える化」し、認定率引き下げへと是正させていきたいという国の考えに沿うものです。「地域包括ケアシステムを深化・推進する重点方針」では、地域での支えあいや、「我が事、丸ごと地域共生社会」の実現を掲げていますが、これも公的給付を抑制するものです。「施策の展開」では、「介護保険制度の円滑な運営とサービスの質の向上」において、「介護給付費の適正化」が掲げられていますが、これは、健全な保険財政運営のために、利用者が必要とするサービスをチェックし、適正化の名のもとに削減しようとするものです。このように、新たな第7次のはつらつプランは、国のすすめる公的介護・福祉の後退というレールに乗ったものとなっています。
この計画の中で保険料が設定されていますが、今回の保険料は前回改定時の基準額を月額1060円、年間で12,720円も引き上げるものとなっています。さらには、第6次計画において、第7次計画の保険料を月額6740円、第9次計画の保険料を7980円と推計していましたが、今回第7次計画において、推計を上回る保険料額となったことや、第9次の推計が前回を大きく上回り月額9102円とされていることは、保険給付費の半分を第1号ならびに第2号被保険者の保険料によってまかなうという制度の矛盾が、想定以上に激化していることを示しています。介護保険料は、所得段階別になっているとはいえ、基準段階の第5段階というのは、本人非課税です。そういう人に年間81120円もの保険料を賦課するような今回の保険料改定は到底認められません。減っていく年金から、否応なく差し引かれれば、生活費を削って保険料を払うということにもなりますし、普通徴収の高齢者には滞納がさらに増えて、ペナルティにより、必要な介護サービスが受けられなくなります。
介護保険法第1条に謳われた、高齢者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」という目的にそった制度の運用のためにも、負担の限界を超える保険料については、むしろ軽減すべきです。現行、保険方式の下で、必要な介護サービスを提供しながら、制度を続けていくためには、国庫負担増額を国に強く要望し、早急に実現することこそ必要です。
また、国の制度見直しを漫然と待つのでなく、負担の限界を超えた保険料の引き下げについて、高齢者の立場に立ち、市として何らかの措置を講じていただくことを要望し、反対討論といたします。
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野党共同で、森友学園疑惑の徹底解明、安倍政権の退陣を求める行動

2018-03-28 19:15:21 | 国の政治
森友学園問題の疑惑解明のために行われた、元財務相理財局長の佐川氏の国会証人喚問が行われた3月27日、熊本市内中心部で、「森友学園疑惑の徹底解明、安倍政権退陣を求める」野党共同行動が行われました。
日本共産党からは、山本伸裕県議があいさつを行いました。
その後、元気よくサンロード・下通りの商店街をパレードしました。



佐川氏の証人喚問は、ほとんどの質問に答えず、喚問と言えるものではありませんでした。こんな状況に、国民は黙ってはいられません。
疑惑の徹底解明のためにも、安倍首相夫人ほか、引き続き、関係者の証人喚問を行っていく必要があると思います。
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待ちに待ったチューリップ

2018-03-27 23:06:14 | 花だより
孫と一緒に球根を買ってきて、植えたチューリップが花開きました。
待ちに待ったチューリップの開花に、孫も大よろこびです。


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熊本市議会最終日、北口和皇議員の「失職」を全会一致で議決

2018-03-26 19:44:33 | 熊本市議会
熊本市議会は、最終日3月26日、、北口和皇議員が、地方自治法92条の2に規定された「議員の兼業禁止」に抵触することを確認し、「議員の資格を有しない」という資格決定書を、全会一致で議決しました。北口議員は、議決と同時に失職しました。

地方自治法92条の2「兼業禁止」に抵触すると判断した理由
1、 熊本市漁協への外来魚捕獲業務の委託は、「請負」に該当する。
2、 熊本市漁協が直接請負っていた事業収入額の比率は、  
        2014年度42.65%、
        2015年度30.88%
3、 熊本市漁協には、県内水面漁連を通した請負があり、それを加えると、事業の大半が市の委託ということになると判断。
        2014年度71.47%
        2015年度66.62% 
*再委託となる内水面漁連委託分も加えた理由は、内水面漁連代表が北口議員、北口議員の強い働きかけがあり、熊本市漁協の実施が前提であったことです。

*【地方自治法92条の2】の規定
「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」


北口氏の議員失職へ、市民の世論と運動が大きな力になりました
北口氏の不当要求問題の発端は、暴言パワハラを告発した市民の陳情です。それが、第1回目の議員辞職勧告につながりました。
 その後、市民の請求にもとづく政治倫理審査会での調査と辞職勧告決議、2度目の議会による辞職勧告が行われました。
市の不当要求等調査では、「不当要求」と認定された案件のうち、1件を除く27 件が北口和皇議員に関するもので、「市議会特別委員会」設置による調査へと発展しました。
熊本市漁協が請負った委託事業や補助金に関する包括外部監査が行われ、「議員の兼業禁止」に抵触する懸念が強いとの指摘があり、踏み込んだ調査が行われました。
 このような経過を経て、「失職」の議決となりました。

北口議員は、議決に先立つ弁明の中で、4回もの辞職勧告を行った議会がおかしいかのようなことを述べましたが、その態度には一片の反省も見られませんでした。
長年にわたり、暴言やパワハラを繰り返し、不当な要求によって市政をゆがめてきた、自身の態度を深く反省し、市議会全会一致の議決を重く、かつ真摯に受け止めるべきです。
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一般質問報告(その5)

2018-03-23 18:55:22 | 熊本市議会
3月9日の一般質問報告も5回目です。
今回は「生活保護問題」です。

生活保護の改悪は許さない!

厚生労働省は、今年10月から生活保護世帯の扶助費見直しを段階的に進めていくための考え方や基準を示しています。内容は、一般低所得世帯の消費実態との均衡を理由にした生活扶助基準の見直し、児童養育加算及び母子加算等の見直しによるもので、厚生労働省が示す見直し影響では、生活扶助費の上がる世帯が26%に対し、下がる世帯が67%にも上り、減額の割合は最大で5%、平均でも1・8%、削減される生活扶助費の総額は210億円におよぶとされています。
 生活保護は、利用世帯だけの問題ではありません。今日の日本では、貧困は特別のことではなく、倒産、失業、リストラ、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥ります。生活扶助基準の引き下げは、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動し、広範な国民の生活に影響を与えます。憲法25条に明記された生存権を保障する最後のセーフティーネットとして、生活保護のあり方は、すべての国民の権利にかかわる重大な問題です。
国の生活保護改悪を絶対に許すわけにはいきません。

質問内容は、以下のとおりです。

【質問内容】
そこでお尋ねいたします。
1、 市長は、本市における市民の暮らしの実態をどのように把握し、貧困の実態についてはどのように感じていらっしゃるでしょうか。
2、 見直しの一つに、一般低所得世帯の消費実態との均衡を理由とされていますが、総務省の計算でも「貧困ライン」が下がり続け、これまで貧困ライン以下だった人たちが、貧困世帯にカウントされなくなっています。この5年間で、働く人の実質賃金は年間15万円も減り、貧困ラインに近い低所得世帯の暮らしがますます厳しくなっているところに連動させて生活保護基準を引き下げていけば、保護世帯の暮らしはますます悪化するばかりです。受給世帯の7割近くが、減額となる今回の見直しについて、市長はどのように受け止められているでしょうか。
3、 日本の生活保護制度は、制度の対象となる人のうち、受給している世帯が極めて少ない、捕捉率が低いことが、問題点として指摘されています。2007年の厚生労働省推計では、所得のみで推計した場合15・3%、資産を考慮した場合で32・1%という数値があり、研究者の推計では、およそ2割程度とも言われており、極めて低いものとなっています。貧困の解決には、この捕捉率を引き上げ、必要な人が、制度をきちんと受けられるようにすることです。熊本市の生活保護の捕捉率は、現在どうなっていますか。また、定期的に捕捉率を調査・公表し、その向上に努めるべきだと思いますがいかがでしょうか。
4、 生活保護が国民の生活保障のための権利であることを明確にして、制度の広報に努めること、合わせて、申請権を侵害しないという立場を明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
5、 今回国がすすめる生活保護の削減は、子育て世帯、母子世帯、若年層まで含めた単身の保護世帯等を直撃するものです。貧困をなくし、すべての市民が憲法に保障された健康で文化的な生活を送るためにも、今回の生活保護基準引き下げは中止するように国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
6、 適切な保護行政を進めていくためには、人材配置が重要です。配置基準に対するケースワーカーや査察指導員の現行配置状況はどのようになっているでしょうか。また、速やかに配置基準を満たし、100%とすべきではないでしょうか。
市長ならびに健康福祉局長に伺います。

(答弁)

 答弁を聞き、市長は、今回の生活保護の見直しを理解されているのかと、疑問に思いました。経済的な困難を抱えた子育て世代や母子世帯など、一番困っている方々の暮らしを直撃する制度改悪をなんとも思わないという市長の冷たい感覚は、私には理解できません。市長は、生活保護世帯の方々の暮らしぶりをご存知ですか。昼間は電気を消して、寒いときは布団にもぐって、食事は2回にして、人とのお付き合いはなるべくしないで、そういうことができますか。苦しい生活の人にこそ、暖かい手を差し伸べ、74万市民すべてが豊かに生活することこそ、上質な生活ではないでしょうか。国の生活保護改悪ストップに、市としても力を尽くすよう強く要望いたします。
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