2月27日、今日の本会議では、今年度の最終となる補正予算に対し、問題点を指摘し、反対討論を行いました。
【討論の内容】
議第21号「平成28年度熊本市一般会計補正予算」ならびに議第22号「平成28年度熊本市国民健康保険会計補正予算」、議第24号「平成28年度熊本市介護保険会計補正予算」、議第25号「平成28年度熊本市後期高齢者医療会計補正予算」、議第34号「平成28年度病院事業会計補正予算」について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
まず一般会計について、熊本地震関連で、政策局ならびに市民局・教育委員会における避難所設置運営経費が3つの局合わせて約3億円減額されています。避難所の運営では、想定外の大災害で対応が本当に大変であったとはいえ、内閣府が示す避難所の基準には程遠い状況が長く続き、内閣府が1カ月後に異例ともいえる同じ内容での避難所の運営に関する通知を出したことは市の対応のまずさを証明するものでした。特に食事の提供は、パンやカップ麺、おにぎりの域を出ず、弁当が1日1回配布されるようになったのは、小中学校等の避難所が閉じ、拠点避難所となってからでした。生活環境整備やプライバシー確保も同様でした。3億円もの減額でなく、発災から間を置かず、内閣府の示す基準に基づく内容での避難所運営をする必要があったと思います。
同じく震災関連で、災害援護資金貸付が約14億円減額されています。予定で1500件の貸付が想定されていましたが、実際に申請があったのは422件とのことでした。委員会では、「いろいろ貸付制度はあるので」という説明でしたが、なぜ想定を大きく下回ったのかについての検討はなされていないとのことでした。あっさり減額するのでなく、制度がきちんと運用されるような検証と検討が必要ではないかと思いました。
また、生活必需品支給事業は、事業の遅れから、1億4785万5000円が次年度へと繰り越されています。申請件数12500件、そのうち事業者に発注された件数が8800件で約70%、発注された分のうち配送が済んでいる件数が7400件程度で、発注も、発送も大幅に遅れています。今やっと昨年の8月末から9月初めに受け付けた分を発注しているという由々しき事態となっています。生活必需品と言えば、毎日の生活に欠かせないもの、申請があれば直ちに手元に届けられるべきものです。しかし、支給金額が低くて物品が調達しにくいこと、発注先となる事業者が限定されていて対応しきれていないなど、問題がありながら、必要な手立てが打たれないまま、今に至っていることは大変遺憾です。ただちに改善されるべきであると思います。
多くの人が願っている一部損壊世帯への支援は、やっと一歩が踏み出されたとはいえ、未だ多くの人が全く支援のない状態に放置されています。こういう問題こそ、補正での対応を行い、住民要求に応えるべきではないかと思います。一部損壊への支援や、半壊以上の生活支援金が低いために復旧のめどが立たない問題など、熊本地震の復旧には残された課題がたくさんあります。2月補正まで含めて熊本地震関連での復旧・復興予算は1132億円ほどになっています。新年度の予算でも700億円以上の予算が予定されているのを見ると、未曽有の大災害となった熊本地震からの復興は並大抵の事業ではないことを痛感させられます。誰もが、この大惨事に、地震の復旧と大型再開発・MICE整備の450億円は両立しないと、心配しています。今年度予算化されているMICE・(仮称)「熊本城ホール」整備費70億円は真っ先に減額すべきであり、再開発事業者への無利子貸し付け、今年度だけでも30億円もの提供は止めて、被災した方々にこそ財政支援をすべきです。多くの被災者が復旧の見通しがたたず、市の公共施設やインフラの復旧もこれから、避難施設である階段の復旧すら年度内にできない状況の中で、地震の発災前からの事業を復興事業と位置付けて多額の税金をつぎ込んでいくなど、あるまじきことであり、桜町再開発やMICE整備は見直すべきです。
地震関連以外では、障がい者の方々が利用されている「おでかけ乗車券」が「IC カード」化され、パス券は廃止となりました。今回、利用にかかる市の負担金等が約1900万円も減額補正されていることは、さまざまな理由があるとはいえ、その一つに、パス券廃止によって経済的負担が増えたことや、利用しにくくなったことで、気軽に使えるものでなくなったことは残念です。制度の趣旨である、カードの利用によって社会参加が促進され、障がいを持った方々が元気に生きがいをもって生活されていく、そのことが阻害されているのではないでしょうか。そういう意味で、速やかに「パス券」を復活していただきたいと思います。
子ども医療費助成の制度拡大分4200万円が減額されています。これは制度拡大どころか、とんでもない利用者世帯への負担増であったことから、実施に「待った」がかかり、減額補正となったものです。子育て支援と言いながら、制度の拡充となる部分の財源を子育て世帯に求めるなど、もってのほかであり、「待った」がかかったことを深く反省していただきたいと思います。
学校施設へのエレベーター設置やトイレの改修など、学校施設のバリアフリー化は、予算決算委員会の締めくくり質疑で、那須議員が指摘しましたように、一歩一歩踏み出していることは評価すべきだと思いますが、まだまだニーズに追いついていないことや、先進政令市等との比較でも遅れており、十分と言える状況ではありません。子どもたちは日々成長していきます。必要とする子どもたちがすぐに利用できるよう、整備計画を策定し、抜本的な整備拡充を図っていただきたいと思います。
奨学金貸付事業会計への操出金が5000万円減額されています。子育て世帯の生活困窮が大きな社会問題として指摘される中、経済的な困難を抱えた世帯にもっともっと利用してもらわなければならないのに、減額補正とは残念です。熊本市の奨学金の利用は、わずかではありますが減少してきています。なぜ、利用が減っているのか検証し、多くの方々に利用していただけるような改善が必要です。特に、家計急変に対する貸し付けはほとんどゼロに近い状態であり、この点でも、検証と改善が必要ではないかと思います。
特別会計の国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険、いずれも熊本地震による一部負担金や保険料の減免が2月末となっていました。幸いにも、2月9日に出された国の通知で、若干補助率は下がるものの7カ月先の9月末日まで、減免が延長される運びとなりました。しかし、地震の発災から1年もたっていないのに、減免を早々に打ち切る方針であったこと自体が問題だと考えます。東日本大震災では、6年経った今、まだ減免制度が続いています。被災した方々には医療的ケアが必要です。被災者の実態に即した制度の継続、9月末と言わず、減免が続けられていくよう、国に対し財源措置を引き続き求めていただきたいと思います。
病院事業会計では、地震被害による患者搬送や事業の停止もあり、入院・外来ともに、患者数が大幅に減ってしまい、医業収益は大幅に減額となりました。建替えがすすむ中、NICUをはじめ、若干の医療機能は復旧してきましたが、一時期でも医療を提供できなくなったこと、その後の診療も縮小する状態になった、その一番の影響を受けているのは患者です。現場のみなさんは、厳しい環境の中で、必死になって復旧・復興のために頑張っていらっしゃいますが、一つ指摘しなければならないのは、市長が耐震強度の不足する病院の建て替えを、設計が済んでいたにもかかわらず、凍結した問題です。耐震の不足する病院の建て替えを一存で凍結し、老朽化した病院を放置してきた責任は、真摯に反省すべきではないかと思います。
以上、補正予算に賛成できない主な点を述べ、反対討論といたします。
【討論の内容】
議第21号「平成28年度熊本市一般会計補正予算」ならびに議第22号「平成28年度熊本市国民健康保険会計補正予算」、議第24号「平成28年度熊本市介護保険会計補正予算」、議第25号「平成28年度熊本市後期高齢者医療会計補正予算」、議第34号「平成28年度病院事業会計補正予算」について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
まず一般会計について、熊本地震関連で、政策局ならびに市民局・教育委員会における避難所設置運営経費が3つの局合わせて約3億円減額されています。避難所の運営では、想定外の大災害で対応が本当に大変であったとはいえ、内閣府が示す避難所の基準には程遠い状況が長く続き、内閣府が1カ月後に異例ともいえる同じ内容での避難所の運営に関する通知を出したことは市の対応のまずさを証明するものでした。特に食事の提供は、パンやカップ麺、おにぎりの域を出ず、弁当が1日1回配布されるようになったのは、小中学校等の避難所が閉じ、拠点避難所となってからでした。生活環境整備やプライバシー確保も同様でした。3億円もの減額でなく、発災から間を置かず、内閣府の示す基準に基づく内容での避難所運営をする必要があったと思います。
同じく震災関連で、災害援護資金貸付が約14億円減額されています。予定で1500件の貸付が想定されていましたが、実際に申請があったのは422件とのことでした。委員会では、「いろいろ貸付制度はあるので」という説明でしたが、なぜ想定を大きく下回ったのかについての検討はなされていないとのことでした。あっさり減額するのでなく、制度がきちんと運用されるような検証と検討が必要ではないかと思いました。
また、生活必需品支給事業は、事業の遅れから、1億4785万5000円が次年度へと繰り越されています。申請件数12500件、そのうち事業者に発注された件数が8800件で約70%、発注された分のうち配送が済んでいる件数が7400件程度で、発注も、発送も大幅に遅れています。今やっと昨年の8月末から9月初めに受け付けた分を発注しているという由々しき事態となっています。生活必需品と言えば、毎日の生活に欠かせないもの、申請があれば直ちに手元に届けられるべきものです。しかし、支給金額が低くて物品が調達しにくいこと、発注先となる事業者が限定されていて対応しきれていないなど、問題がありながら、必要な手立てが打たれないまま、今に至っていることは大変遺憾です。ただちに改善されるべきであると思います。
多くの人が願っている一部損壊世帯への支援は、やっと一歩が踏み出されたとはいえ、未だ多くの人が全く支援のない状態に放置されています。こういう問題こそ、補正での対応を行い、住民要求に応えるべきではないかと思います。一部損壊への支援や、半壊以上の生活支援金が低いために復旧のめどが立たない問題など、熊本地震の復旧には残された課題がたくさんあります。2月補正まで含めて熊本地震関連での復旧・復興予算は1132億円ほどになっています。新年度の予算でも700億円以上の予算が予定されているのを見ると、未曽有の大災害となった熊本地震からの復興は並大抵の事業ではないことを痛感させられます。誰もが、この大惨事に、地震の復旧と大型再開発・MICE整備の450億円は両立しないと、心配しています。今年度予算化されているMICE・(仮称)「熊本城ホール」整備費70億円は真っ先に減額すべきであり、再開発事業者への無利子貸し付け、今年度だけでも30億円もの提供は止めて、被災した方々にこそ財政支援をすべきです。多くの被災者が復旧の見通しがたたず、市の公共施設やインフラの復旧もこれから、避難施設である階段の復旧すら年度内にできない状況の中で、地震の発災前からの事業を復興事業と位置付けて多額の税金をつぎ込んでいくなど、あるまじきことであり、桜町再開発やMICE整備は見直すべきです。
地震関連以外では、障がい者の方々が利用されている「おでかけ乗車券」が「IC カード」化され、パス券は廃止となりました。今回、利用にかかる市の負担金等が約1900万円も減額補正されていることは、さまざまな理由があるとはいえ、その一つに、パス券廃止によって経済的負担が増えたことや、利用しにくくなったことで、気軽に使えるものでなくなったことは残念です。制度の趣旨である、カードの利用によって社会参加が促進され、障がいを持った方々が元気に生きがいをもって生活されていく、そのことが阻害されているのではないでしょうか。そういう意味で、速やかに「パス券」を復活していただきたいと思います。
子ども医療費助成の制度拡大分4200万円が減額されています。これは制度拡大どころか、とんでもない利用者世帯への負担増であったことから、実施に「待った」がかかり、減額補正となったものです。子育て支援と言いながら、制度の拡充となる部分の財源を子育て世帯に求めるなど、もってのほかであり、「待った」がかかったことを深く反省していただきたいと思います。
学校施設へのエレベーター設置やトイレの改修など、学校施設のバリアフリー化は、予算決算委員会の締めくくり質疑で、那須議員が指摘しましたように、一歩一歩踏み出していることは評価すべきだと思いますが、まだまだニーズに追いついていないことや、先進政令市等との比較でも遅れており、十分と言える状況ではありません。子どもたちは日々成長していきます。必要とする子どもたちがすぐに利用できるよう、整備計画を策定し、抜本的な整備拡充を図っていただきたいと思います。
奨学金貸付事業会計への操出金が5000万円減額されています。子育て世帯の生活困窮が大きな社会問題として指摘される中、経済的な困難を抱えた世帯にもっともっと利用してもらわなければならないのに、減額補正とは残念です。熊本市の奨学金の利用は、わずかではありますが減少してきています。なぜ、利用が減っているのか検証し、多くの方々に利用していただけるような改善が必要です。特に、家計急変に対する貸し付けはほとんどゼロに近い状態であり、この点でも、検証と改善が必要ではないかと思います。
特別会計の国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険、いずれも熊本地震による一部負担金や保険料の減免が2月末となっていました。幸いにも、2月9日に出された国の通知で、若干補助率は下がるものの7カ月先の9月末日まで、減免が延長される運びとなりました。しかし、地震の発災から1年もたっていないのに、減免を早々に打ち切る方針であったこと自体が問題だと考えます。東日本大震災では、6年経った今、まだ減免制度が続いています。被災した方々には医療的ケアが必要です。被災者の実態に即した制度の継続、9月末と言わず、減免が続けられていくよう、国に対し財源措置を引き続き求めていただきたいと思います。
病院事業会計では、地震被害による患者搬送や事業の停止もあり、入院・外来ともに、患者数が大幅に減ってしまい、医業収益は大幅に減額となりました。建替えがすすむ中、NICUをはじめ、若干の医療機能は復旧してきましたが、一時期でも医療を提供できなくなったこと、その後の診療も縮小する状態になった、その一番の影響を受けているのは患者です。現場のみなさんは、厳しい環境の中で、必死になって復旧・復興のために頑張っていらっしゃいますが、一つ指摘しなければならないのは、市長が耐震強度の不足する病院の建て替えを、設計が済んでいたにもかかわらず、凍結した問題です。耐震の不足する病院の建て替えを一存で凍結し、老朽化した病院を放置してきた責任は、真摯に反省すべきではないかと思います。
以上、補正予算に賛成できない主な点を述べ、反対討論といたします。