上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

熊本豪雨災害、支援の拡充を求めて県へ申し入れ

2020-07-15 17:49:03 | 災害
熊本県南部の人吉・球磨地域を中心に甚大な被害を及ぼした熊本豪雨災害。
7月15日、この間の共産党としての現地調査や支援活動を通して見えてきた問題点の改善、支援の抜本的な拡充を求めて、山本伸裕県議・橋田芳昭県委員会書記長と共に、県への申し入れに参加しました。

申入れの内容は、
1、 被災者救援の拠点として、避難所の機能・環境改善を緊急にはかること
2、 災害廃棄物、土砂の片付けは、個々人の責任と負担で搬出するには無理があり、直ちに公的な支援を強化し改善をはかること
3、 農業再建への支援を行うこと
4、 被災地の復旧促進のために、道路・鉄道等の復旧を早期に行っていくこと、合わせて、復旧期間中の代替交通機関を確保すること
5、被災者への生活支援については、情報提供に努め、必要な世帯の仮設入居を認め、暮らし再建のために新型コロナ対策以上の対策を実施すること
6、被災した子どもたちの就学支援をしっかりと行うこと(学習の保障、通学支援、心のケアなど)
7、決壊、氾濫、土砂崩落現場の早期復旧を行うこと

以上7点について、現地の状況なども交えて、要望しました。
過去に例のない、未曽有の被害である状況を踏まえ、公の責任で、しっかりとした対応を行うことを求めました。




【申し入れ書全文】
熊本県知事 蒲島郁夫様
  7月4日熊本豪雨災害に関する申し入れ
                2020年7月15日 日本共産党熊本県委員会
                                 委員長  松岡 勝
                             熊本県議会議員  山本伸裕
 7月4日未明から県内をはじめ九州各地、そして本州各地をも襲った豪雨災害は、これまでに経験したことのない降雨量を各地で更新しています。人吉市では過去最大の浸水範囲と浸水高となり、人吉・球磨・八代・芦北など県南地域をはじめ、県北、天草、県央の県内各地に甚大な被害をもたらしています。繰り返し襲い掛かる豪雨により、いまだ被害の全貌はつかめない状況ですが、まさに未曽有の「過去最大級の被害」(松村政秀・熊本大学教授)が発生している状況であると言わなければなりません。今回の災害により亡くなられた方々に心からのお悔やみを、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。そして救援・復旧活動に尽力されている皆様方の献身的な活動に敬意を表するものです。
日本共産党は4日以降、連続的に人吉市、球磨村、芦北町、八代市、荒尾市、小国町、天草市など被災地に入り、被害の実態を調査するとともに被災者からお話を伺ってきました。「コロナで深刻な打撃を受け、借金もしました。何とかこれから立ち上がっていこうというときにこの水害。再び立ち上がれるかどうか、今は展望が持てない」、「心が折れそうだ」といった、たくさんの声をお聞きしました。新型コロナ感染症によるダメージを受けている最中での、未曾有の豪雨災害発生というダブルパンチにより、被災地と被災者が置かれている状況は極めて深刻なものとなっています。それだけに、地域と被災者が再び立ち上がり、前に向かって進んでいこうという決意と展望を抱かせることができるよう、国や県からの、従来の規模とスピードを上回る力強い支援策が示され、実行されていくことが求められています。
熊本県におかれましては、発災直後から被災者の救助活動や避難者の生活支援など、総力をあげて取り組まれているところですが、もとより災害時における、県が果たすべき役割は相当大きなものがあります。国へのいっそうの支援拡充を堂々と要請すること、市町村が躊躇なく復旧と被災者支援活動に取り組むことができるよう、県独自の積極的できめ細やかな支援策を力強く、すばやく打ち出していかれることを求めます。私達日本共産党としても、党派を超え救援・支援活動に全力で貢献してまいる決意です。
被災者が求める支援が迅速に現場に届くよう、現段階で必要とされている改善・強化項目について、以下の通り申し入れます。
1、 被災者救援の拠点として、避難所の機能・環境改善を緊急にはかること
コロナ禍により分散型避難が強調されているもとで、これまで以上に避難所の能動的・積極的役割発揮が求められています。生活に必要なすべてのものを失った、という方も多数おられます。また山間に集落が点在しており、在宅被災者への支援の手を行き渡らせることも特別の手立てが必要です。
孤立集落の被災者はその地域から救出され、別の地域の避難所や親類宅へ移動されていますが、被災した自宅の復旧活動のために、日中は自宅に戻り作業しておられます。こうした地域の避難所を一方的に閉鎖してしまうのではなく、必要な役割を発揮させることが必要です。
また、内閣府は7月に入って「災害救助法の概要」を改定し、新しい被災認定基準など示しました。この中で避難所の環境改善についても具体的に明記されています。「概要」にてらして直ちに徹底をはかるべきです。
① 従来の指定避難所以外にも、公共施設や民間施設への協力を求めるなどして、被災集落ごとなどに避難所(あるいは災害救援センター)を設置し、人員を配置し、避難可能な環境を作り食料など提供するともに、手袋、タオル、スイーパー、高圧洗浄機、一輪車、ゴミ袋など復旧作業に必要な資材を提供(貸し出し)すること。
② 避難所の体制を充実させ、身を寄せている避難者の要望を丁寧に聞き取り、対応をはかるとともに、在宅被災者の実態や要望を掌握し必要な資材を届けるために、避難所ごとの責任エリアについて各世帯を訪問すること。
③ 自宅は到底生活できる環境でないにもかかわらず、「コロナが気になる」「知らない地域の避難所には行きたくない」など、避難所には行かず、在宅、親戚宅に避難している方々が多い。車中泊の避難者もおられるが、エコノミークラス症候群など健康被害も懸念される。誰がどこに避難しているかをすべて掌握し、必要な情報や物資を提供していくこととともに、保健指導員の派遣など被災者の命と健康を守る手立てを強化すること。
④ 避難所の食事や生活環境の改善について。「概要」で示されているとおり、すべての避難所で「温かく栄養バランスの取れた食事」が提供されること。「避難所環境整備のための冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機等のレンタル(レンタルが困難な場合は購入しても差し支えない)」、「暑さ対策として、エアコン、扇風機のレンタル(同)」、「仮設風呂ができるまでの間、入浴施設への送迎と入浴料の支払い」など徹底すべきである。災害救助法により、市町村の財政負担は実質ゼロになることも周知徹底し、思い切った避難所環境の改善をはかること。
⑤ 災害救助法に基づく国の制度をフル活用すれば、実現できる事はたくさんあることを現場に知らせ、遠慮なく積極的に導入を図るべきである。
・ 炊き出しのための食材、調味料、調理器具の購入、炊事場の確保などは国の負担でできる。
・ 栄養士や調理師など、炊き出しスタッフの雇い上げにも国の財政支援がある。
・ 毛布、タオル、下着、歯ブラシ、消毒液、市販薬、携帯電話の充電器なども、国の負担で購入できる。
・ 病院には、保険証がなくても受診できる。
・ 医療費、介護利用料(自己負担分)は、「被災した」旨を医療機関の窓口などで申し出れば、市町村、健保組合などの判断で減免できる。
・ 介護職員の配置、ポータブルトイレの借り上げ費用、紙おむつなどの購入費は、避難所の災害救助費の基準額(1人1日330円)に加算して国が負担する。
⑥ 体育館等、公共施設における避難生活は、被災から約一週間が限界といわれている。「概要」に今回新たに盛り込まれた、「避難の長期化が見込まれる場合や要配慮者を対象に旅館やホテルを借り上げて、避難所とすることも可能」と明記。避難者や家族の要望により沿い尊重しつつ、住まいを失った避難者への支援を本格化させる必要がある。
⑦ 在宅避難者に対し、避難所の避難者と同等の支援をおこなうこと(食事や物資の提供、要望聞き取りと情報提供、給水車、仮設トイレ、入浴支援など)。
⑧ 女性、子ども、高齢者、障がい者への配慮と必要な環境改善をはかること。避難所や避難生活での「ジェンダーの視点」にたった取り組みは極めて重要な課題である。これまでの災害において、避難所での女性たちの生活は大きな困難が山積していた。政府は今年5月、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの棒際、復興ガイドライン」を発表し、7つの基本方針を明記し、チェックシートで課題を点検できるようにしている。直ちに現状を把握し、必要な改善をはかるべきである。
2、 災害廃棄物、土砂の片付けについて
大量の流木やゴミ、土砂など、大規模な浸水被害によってもたらされた膨大な廃棄物の搬出・片付けが、依然として大きな問題となっています。すでに発災から10日が経過している状況ですが、相次ぐ悪天候、ボランティア受け入れの制約などにより作業の進捗には困難が続き、悪臭も発生しています。個々人の責任と負担で搬出するには無理があり、直ちに公的な支援を強化し改善をはかる必要があります。
環境省は7月4日に、「令和2年7月3日からの大雨により発生した災害廃棄物の処理等にかかる補助制度の円滑な活用について(周知)」で、国土交通省「堆積土砂排除事業」と環境省「災害等廃棄物処理事業」の連携で、一括撤去ができるとしています。県から市町村、住民への周知徹底をはかるべきです。
  ①「軒先回収」を徹底すること。これが実現すれば渋滞緩和、住民の負担軽減に大きくつながる。
  ②仮置き場の増設と受け入れ時間の拡大。
  ③掃除・片付け道具が不足している。ホームセンターでも長靴や軍手、消毒液、マスク、ゴミ袋、シャベル、スイーパー等が不足している。政府にプッシュ型支援の強化を促し、避難所や公的施設に行けば必要な器具や道具が提供(貸し出し)される環境を作ること。
  ④片付け作業をしている人達が使用できる仮設トイレの設置が切実に求められている。ある地域の町内会長は「人権に関わる問題」とまで強調。直ちに適切な箇所箇所に設置されること。
  ⑤被災家屋の写真撮影の問題。行政などから「被災後直ちに写真を取るように」と言われ、あわてて自宅に写真を撮りに危険な現場に足を運んだが、そこで釘が足に刺さって転倒し、ついた手にも釘が刺さり、破傷風になった女性の声が寄せられた。一体が浸水した地域については危険を冒してまで写真撮影を求めず、面的に判断して被災認定するなどの弾力的対応をとる必要がある。
  ⑥断水地域での片付け作業のために、散水車を必要な場所に行き渡らせること。
  ⑦別の場所に避難していて住人が不在であったり、連絡困難になっている家屋について、復旧が遅れたために再建が困難にならぬよう能動的に支援すること。
  ⑧住人やボランティアによる作業が危険な廃棄物の撤去については、消防や自衛隊などに協力を要請すること。
  ⑨受け入れるボランティアの要員を大幅に拡充する必要がある。他県からのボランティア受け入れをストップしているが、出発地でPCR検査を受け、陰性が証明された方については受け入れるなどの改善も検討されるべきではないか。
  ⑩災害救助法では、被災地における救助事務をおこなうため、臨時の賃金職員等を雇あげることを認めている。圧倒的に不足している復旧作業の促進のために臨時職員を採用することは、緊急の雇用対策としても有効であると考える。
  ⑪甚大な被害を受けた人吉市街地では、国道445号線沿いに出されたごみの回収に自衛隊員も協力した。被災各戸の土砂・災害廃棄物の搬出に自衛隊員の協力が得られれば、片付け作業は劇的に負担軽減される。自衛隊への協力要請をおこなうべきである。
3、 農業再建への支援を
今回の豪雨災害による農、林、水産業への被害も深刻です。田畑が広範囲で浸水した地域もあります。ビニールハウスが水に使って収穫直前の作物が全滅した農家もあります。地域経済を支えてきた農林漁業の再建なくして被災地の再生はできません。営農再開へ向けて希望が持てる支援策が急がれます。
4、 被災地の復旧促進のために
① 国道219号線をはじめ、作業のために復旧が欠かせない道路の早期開通を図る必要がある。同時に、八代市坂本町など八代~人吉間の地域は高速道路からの出入りを余儀なくされているが、坂本PAから臨時に乗り降りできるようになったことは良かった。加えて、作業用車両が出入りできるゲートを開放し、安全に出入りできるよう、新たに左折レーンの確保や速度制限など安全策も講じた上で、一般車両が作業用ゲートから出入りできるようにすべきである。
② 事業者はコロナ禍で深刻な打撃を受けていた中での今回の複合災害。被災地では「もうこれ以上の借金はできない」の声が蔓延している。地域でこれまで頑張ってきた事業所が再建できなければ街の復興はない。事業所向け持続化補助金を適用し、被災事業所の再建を後押しすること、また給付金額は現行制度では一律であるが、億単位の損失が生じている事業所もある。事業の規模、被災の規模に見合った、段階的な支給額とするよう国に検討を求めるべきである。
③ 県独自にも補助制度を積極的に創設すること。事業所再建までのつなぎ資金として、使途を限定しない持続化補助金を実現すること。無利子無担保・返済猶予の融資制度を創設すること。
④ グループ補助制度を今回の被災でも創設すること。実態に応じて弾力的に適用を拡大すること。
⑤ 鉄道の復旧は被災地復興のために絶対に必要な要件となる。国、JRに強く働きかけるなどして、肥薩線、球磨川鉄道、肥薩おれんじ鉄道の早期の復旧をめざすこと。復旧までの代替バスを運行させること。
⑥ 仮設住宅の建設の準備が始まっている。スピード感を持った対応とともに、住民(被災者や家族)の要望が最大限尊重されること。仮設に入居すれば一定期間の生活をそこで被災者は営んでいくことになる。多くの孤独死を生んでしまった熊本地震の教訓を生かさなければならない。仮設住宅建設地の安全性、立地条件、利便性、広さの確保や物置の改善、コミュニティ形成に配慮した建設が求められる。
5、被災者への生活支援
  ①ワンストップ相談窓口の設置と周知徹底。
  ②寸断された道路等の復旧見通しなどについて、住民への情報提供を。
  ③今後も断続的に大雨の懸念が報道されている。住民への情報提供と的確な避難誘導の体制をとっておくこと。
  ④準半壊と認定された世帯についても、希望される場合は仮設住宅への入居を認めること。
  ⑤水害による家屋被害は、畳や家財道具が軒並み被害を受けることから、もしそこで自宅を再建するとしても、当面の生活拠点の確保が必要となる。災害救助法では「応急修理制度」と「仮設入居」の併用ができないこととなっているが、改善すべきである。
  ⑥事業所が再建され、軌道に乗るまでの期間、相当数の雇い止めや解雇が生じることが懸念される。働く方々の雇用、暮らしを守る対策を講じることが必要である。雇用調整助成金や失業保険など、コロナ特例に準じる、もしくはそれ以上の措置をはかること。
6、子どもたちの就学支援
学校施設が被災したり、学用品や制服が流出したり、児童生徒が村外避難を余儀なくされるなど、子どもらの就学・学習の機会が脅かされています。コロナ対策による臨時休校が開けた矢先に再び休校を余儀なくされ、保護者や子どもらの不安が増大しています。失われてしまった学用品の支給や心のケア、学びの場の確保と通学支援など、支援を強めることが求められます。
① 被災した学校の早期復旧、学校再開へ力を尽くすこと。直ちに復旧が困難な場合は代替施設により学習できる場を確保すること。
② 子どもらの通学路の安全確保、スクールバスなどの通学支援。
③ 住所変更などの手立てをとらなくても、避難先の学校に通うことができるようにすること。
④ 子どもたちの心のケアのためにSC、SSWを増員し、各学校に配置できるようにすること。
⑤ コロナ感染症対策として1クラス20人程度以内の少人数学級編成とし、必要な教員数を増員すること。
⑥ 学校図書が被害を受けている場合、子どもらが触れることのできる書物を確保すること。
⑦ むやみに学習の遅れを取り戻そうと過密な教育スケジュールを押し付ければ、子ども等にさらなるストレスを与え、習熟度の格差が拡大しかねない。丁寧な対応が求められる。
⑧ 安全に運動や遊びができる場所の確保。
7、決壊、氾濫、土砂崩落現場の早期復旧を
依然として気象状況は予断を許しません。決壊箇所や破壊された堤防、土砂崩れ発生箇所などが大雨によってさらに破壊され、住民に危険を及ぼすような事態にならぬよう、国に支援を求めるなど、すべての危険箇所に対して至急の対策をとること。また、作業中の住民、ボランティアの皆さんが緊急避難しなければならないような事態が生じた際には、混乱を生じさせず安全が確保されるような誘導支援についてよく検討されておくべきである。
                                    以 上
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