上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

「市庁舎建替え」このまますすめていいでしょうか?・・・「新庁舎整備に関する基本構想(素案)」市民説明会

2024-04-17 16:36:46 | 熊本市庁舎建替え問題
「市庁舎建替え」このまますすめていいでしょうか?
「新庁舎整備に関する基本構想(素案)」の問題点
市民説明会は、市民の声を届けるチャンス

 4月20日から5月12日まで行われる「庁舎整備に関する市民説明会」では、3月末に公表された「新庁舎整備に関する基本構想(素案)」についての説明が行われます。今号では、その問題点を紹介します。
*「基本構想(素案)」は、熊本市役所HPで見ることができます。

問題点⑴ 建替えは決まっていない・・・決めるのは「市民」
2017年度・2020年度の2回、市が行った「耐震性能評価」で、「現庁舎は耐震性能が不足している」との結論になりました。
しかし、議会や建築構造の専門家から疑義が出され、さらなる検証が行われました。
建築構造の専門家の意見も分かれる中で、市長は「庁舎整備有識者会議」を設置、庁舎整備の在り方を諮問。その答申は、「耐震性能が不足するので、現庁舎は建替えるべき」との結論でした。
この答申を受け、市長は「建替えの方針で進める」と表明しました。
しかし、議会も市民も意見は分かれています。建設費だけでも470億円の市役所建替えの是非は市民に問うべきであり、決めるのは「市民」です。

問題点⑵ 市長が「建替え根拠」とする「有識者会議答申」ですが・・・
地元の専門家を入れない
有識者会議には、地元の専門家が1人も入っていません。耐震性能はもちろん、まちづくりや防災・財政・市民の合意形成には、地域の視点が必要です。
一番肝心な「耐震分科会」
会議内容が非公開
 「建替え根拠」を検討した「耐震性能分科会」は、会議も会議録も非公開でした。これでは、まともに検討されたのか確認できません。

問題点⑶ 「基本構想(素案)」の「現状・課題」認識の誤り
現庁舎は、現行建築基準法の耐震性能を有している
⑴ 熊本市は、20年以上総務省消防庁に対し、「現庁舎は現行建築基準法で耐震基準を満たしている」と報告しています。
⑵ 「地下連続壁」は、本庁舎の地下部分に本体につながりつくられた厚さ60㎝・深さ19mの鉄筋コンクリートの壁で、固い礫質土層へ到達し、「竣工図」には「耐震壁として利用できる」と明記され、それも含め大臣認定を受けています。
⑶ 建築構造で熊本の第1人者・元熊本建築構造評価センター理事長の三井宜之氏は、地中連続壁の効果について、「熊本地震で本庁舎が無傷だったのは、その結果である」と指摘。
⑷ 「市制百周年記念」誌では、現庁舎が「マグニチュード7.9の関東大震災の2倍クラスの大地震(巨大地震級)に持ちこたえる耐震構造」と記述しています。
浸水に対する脆弱性は、大きく改善しています
現庁舎地下の電気設備の一部は4階へ移され、丸1日の停電に対応できます。
白川の「緑の区間」の河川改修が完了し、中心市街地はスーパー堤防で守られ、国交省は熊本市の「浸水想定区域図」を見直しています。浸水深6mは大きく改善しています。
「老朽化」への対応は可能
トイレやエレベータが不足とありますが、職員の登庁時を除けば並ぶ人はいません。トイレのバリアフリー化は、工夫して実施すべき課題です。
「震度6強」以上の地震発生の可能性は・・・
「大規模な地震」に対応するといいますが、現庁舎敷地における「震度6強」地震の発生確率は1.8%(2020年版J-SHIS地震ハザードステーション)です。地震係数が熊本市と同じ0.9の県庁所在市での震度6弱以上の発生確率は下から2番目です。

問題点⑷ 耐震性がある現庁舎、「設備改修」で対応可能
「基本構想」では「現庁舎の耐震補強は実現性が低い」と述べ、「耐震補強に周りの道路を封鎖しなければならない」と理由付けています。
しかし、建設時に大臣認定を受けたけた超高層建築物の「現庁舎」は、震度6強の熊本地震に耐えたことが十分な耐震性能の証明です。
老朽化した設備・配管等の改修で対応できます。耐震性能分科会のまとめも、改修ができることを否定していません。

問題点⑸ 「建替えが有利」という説明ですが、実際は・・・
「基本構想(素案)での費用」
【建替え】  
 建設費     470億円    
国補助・交付金 -176億円 
*実質的市の負担 294億円 
【設備改修】
 改修費     187億円
 民間ビル借上料 180億円⇒48億 
  合計    約367億円⇒235億円

設備改修が「高い」という説明です。しかし、整備改修案で実際払っている民間ビル借上料は年1.6億円、30年で48億円です。示された借上料は、必要な執務環境を確保した場合の想定で年間6億円(約4倍)の費用を計上しています。実際の費用は、約235億円です。
一方、建替え(案)の費用は物価高でさらに上がる可能性があります。
国から来る交付税174億円で、実質負担は294億円といいますが、実際に建てるときは470億円が必要です。
交付税措置は、熊本市規模の自治体の標準的財政額の不足分で、どのように措置されたのか見えず、青天井に増額にはなりません。

問題点⑹ 「財政は健全」?・・・熊本市は最悪の借金財政
熊本市の借金は、過去最悪の5,000億円、市民1人あたり約68万円もの借金を背負っています。
 桜町再開発等450億円に続く、市政史上最大のハコモノ・市庁舎整備約500億円の負担が今後の財政に影響しないはずがありません。
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