9月12日に開会した9月議会も、今日が最終日でした。
補正予算や条例案のほか、今回の議会には2012年度(昨年度)の決算が報告されました。政令初年度となった2012年度のお金の使われ方について、本会議・委員会で意見を述べてきましたが、今日の最終日には決算審査についての討論を行いました。
花畑町や桜町へのハコモノ・大型公共事業のムダ使いの一方で、医療福祉・教育は極めて遅れています。
国が、消費税増税や、一方での社会保障切捨てをすすめる中で、国の悪政の防波堤となって住民を守っていく自治体の役割はますます重要です。
いのと・暮らし優先の市政となるよう、強く要望しました。
長くなりますが、今日の討論を紹介します。
<決算に対する討論>
議第371号「平成24年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
2012年度は、政令市移行の初年度でした。政令市移行に向けては、2009年、城南町・植木町の合併を直前に作成された資料では、政令市移行に伴う財政見通しで、権限も財源も拡充するので、余裕財源ができるとして、市民説明会において、留保財源227億円、これを政令市にふさわしいまちづくりの財源として活用すると、鳴り物入りで宣伝していました。しかし実際には、予算決算委員会総括質疑での益田議員への答弁で明らかになりましたように、政令市に移行した2012年度の当初予算では、歳入増194億6000万円、歳出増162億9000万円、差し引きの31億7000万円の収入増が予定されました。その後、決算では、歳入・歳出ともに予定を下回り、留保財源もさらに1億4000万円減って、最終的には30億3000万円となりました。3町の合併をすすめていた時には、政令市は財政面でも、バラ色のように描かれていましたが、200数十億円という留保財源は、まさに捕らぬ狸の皮算用であった訳です。しかも、留保財源とは言っても、歳入面では、影響額すべてが交付金や国県支出金・宝くじ収入等でまかなわれるのでなく、影響額のかなりの部分を新たな借金で賄うことになるので、留保財源と、手放しで喜ぶわけにもいきません。政令市移行より拡大される権限のうち一番大きい国県道整備関連事業でも、歳出決算額72・1億円の半分以上にあたる37・2億円は市債でまかなわれ、「国県道整備事業をはじめとする指定都市として必要な社会基盤整備などにより、市債残高や公債費が増加することも見込まれる」と総括質疑で答弁された通りです。今後の市政運営にあたっては、大型投資となる事業についてはよくよく考えて取り組むべきであることを指摘しておきます。
そういう中で、昨年度は、この間力を入れて取り組んできた花畑町再開発事業がとうとう破たんした年でもありました。私どもは、花畑町に博多座のような大劇場をつくるという当初の計画が持ち上がった時から、そういう計画は時代に合わない、事業実施は難しいと、事業の中止を一貫して求めてきました。しかし、市は、まだ使える産業文化会館を2009年4月に閉鎖し、年間30万人の利用があった会館の閉鎖は花畑町の通行量にも影響し、街のにぎわい・地域経済にとっても大きなマイナスとなり、市は4億円もの市民の税金を無駄にしてしまいました。ところが、この破たんに市長も責任をとることなく、十分な検討もないまま、花畑町への拙速なひろば整備計画が打ち出されました。この間の議論でも明らかになりましたように、たいへん熟度の低い計画で、市民や議会に対する説明もきわめて不十分です。合わせて、すすんでいる桜町再開発へのMICE整備についても、華々しくマスコミ発表がされる割には、具体的な内容や費用対効果など、肝心なことがきちんと知らされていません。花畑町・桜町のひろばやMICE整備は、今のまま進めば、市の財政には大きな負担ばかりが残されるのではないかと思います。コンベンション協会には年間1億2000万円の補助金が支出されていますが、コンベンション開催件数、国際会議の件数も減少し、内容では半分近くがスポーツコンベンションです。このような実態を見れば、コンベンションについては既存施設の活用こそすすめていくべきです。新幹線も開通し、名実ともに熊本の玄関となった熊本駅前でも、駅前東A地区再開発ビルのテナントが未だ埋まらないままです。いずれにしても人口減少・低成長の時代にあって、このような大型の箱モノや公共事業のムダ使いは見直されるべきではないかと思います。
一方、大型ハコモノや公共事業のツケで、医療・福祉・教育などの分野の課題が後景に追いやられています。
介護保険料の滞納者は、この5年間で10倍以上に増え、200人近い人が給付額減額や償還払いなどのペナルティを受け、特養待機者は3000人を超えています。保険料や利用料の軽減を図るとともに、特別養護老人ホームなど、介護施設の整備を抜本的にすすめるべきです。
国民健康保険会計では、一般会計からの繰り入れ拡充によって赤字が減り、累積収支でマイナス21億8900万円となりました。しかし、保険料は、政令市20市の中で高い方から3番目という重い負担です。負担の限界を超えた保険料は引き下げ、減免制度の拡充や特定健診の無料化をすすめていくべきです。
有料化されているガン検診は、受診率が低迷、全く目標値に届かない状態で、不用額を出しています。早期発見・早期治療の立場で、無料化こそ実施すべきです。あんま針灸は、助成回数が見込みを下回り、これも2073万円の不用額を出しています。必要とする人が施術を受けられるようにするため、一人年間60回・1回1500円へと戻すべきです。敬老祝い品の金額は、政令市の中で少ない方から2番目、政令市20市のうち6割が祝い金を支給しています。本市でも、金額の引き上げや祝い金支給へと見直していくべきです。
教育分野では、保護者の収入が減少している中で、奨学金の利用が落ち込んでいます。家計急変家庭への対応を促進するとともに、半数近くの政令市ではすでに実施されている給付型の奨学金についても検討すべきです。森都心プラザ図書館を含む市立図書館の図書整備費は年々減っています。図書整備費を拡充するとともに、日本図書館協会がなじまないと指摘している指定管理者制度については、専門職の経験が積み重ならないことや文化のネットワーク形成上の問題点があるとともに、全国的には、指定管理者となった民間業者が貸し出し実績等の情報を流出させるなど、新たな問題も発生しており、直営へと戻すことを検討すべきです。
少人数学級の拡充や、子ども医療費助成が周辺町村より遅れている問題など、もっともっと住民要求にこたえるべき課題は山積していますが、やはりMICE施設やひろば整備など、不要不急の大型公共事業の犠牲になっているようです。
また、政令市になって起こった問題として、利便性の悪い区役所という問題があります。これは、周辺町との無理な合併をすすめたための負の産物です。その解消のためにと走らせている「ゆうゆうバス」の利用状況は、昨年度実績で8路線中、7路線が1年目の収支率目標、わずか10%にも達成しておらず、今後の路線存続も含め、大いに問題であると言わなければなりません。そういう中で、住民サービスを確保してほしいと繰り返し住民からの要望が出されている、区役所から一番遠くて、周辺人口も多い龍田出張所の総合出張所への拡充はいまだに実現していません。昨年は、7月に北部九州豪雨災害も発生し、住民の安全安心の立場からも、身近なところで行政サービスを提供している出張所の役割が改めて浮き彫りになりました。住民サービス向上と公平なサービス提供の視点から、龍田はじめ各出張所の機能拡充と、利用の多い出張所への人員体制拡充も要望しておきます。
政令市移行によって移譲されてきた国県道管理はじめ、さまざまな業務に対し、100名を超える人員が必要と試算されていましたが、実際には集中改革プランのもと人員配置は必要人数が拡充されず、昨年度は時間外勤務時間が大幅に増えました。合わせて、男女共同参画センター・健軍文化ホール・リサイクル情報プラザが新たに指定管理に移行したことや土木センター業務の民間委託などによって職員数の削減が行われていますが、住民サービスの質の問題や業務のノウハウの蓄積、雇用環境の確保の面からも大いに問題ありと言わなければなりません。
合併特例区では、区長・協議会委員報酬に年間1億円以上が支払われ、無理な合併が生んだ歪みの象徴となっています。富合町はこの10月に特例区解消となりますが、植木・城南も来年を待たずに、ムダ使いを正す立場で速やかに解消すべきです。
さまざまに問題点を述べてまいりましたが、予算決算委員会分科会で審査する現行審査のあり方は、少数会派の意見が審査に反映されにくく、論議を尽くしたとは言い難い面があります。決算審査のあり方の改善も要望しておきます。
全体として、政令市になって住民サービスがよくなったという声をほとんど聞きません。国が、消費税増税の一方で、年金・医療・介護・子育てなど、社会保障制度をことごとく改悪していく中で、国の悪政の防波堤となって、市民生活を守っていく自治体の役割がますます大きくなっています。その役割を熊本市として十分果たしていただくよう強く要望いたしまして、反対討論といたします。
補正予算や条例案のほか、今回の議会には2012年度(昨年度)の決算が報告されました。政令初年度となった2012年度のお金の使われ方について、本会議・委員会で意見を述べてきましたが、今日の最終日には決算審査についての討論を行いました。
花畑町や桜町へのハコモノ・大型公共事業のムダ使いの一方で、医療福祉・教育は極めて遅れています。
国が、消費税増税や、一方での社会保障切捨てをすすめる中で、国の悪政の防波堤となって住民を守っていく自治体の役割はますます重要です。
いのと・暮らし優先の市政となるよう、強く要望しました。
長くなりますが、今日の討論を紹介します。
<決算に対する討論>
議第371号「平成24年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
2012年度は、政令市移行の初年度でした。政令市移行に向けては、2009年、城南町・植木町の合併を直前に作成された資料では、政令市移行に伴う財政見通しで、権限も財源も拡充するので、余裕財源ができるとして、市民説明会において、留保財源227億円、これを政令市にふさわしいまちづくりの財源として活用すると、鳴り物入りで宣伝していました。しかし実際には、予算決算委員会総括質疑での益田議員への答弁で明らかになりましたように、政令市に移行した2012年度の当初予算では、歳入増194億6000万円、歳出増162億9000万円、差し引きの31億7000万円の収入増が予定されました。その後、決算では、歳入・歳出ともに予定を下回り、留保財源もさらに1億4000万円減って、最終的には30億3000万円となりました。3町の合併をすすめていた時には、政令市は財政面でも、バラ色のように描かれていましたが、200数十億円という留保財源は、まさに捕らぬ狸の皮算用であった訳です。しかも、留保財源とは言っても、歳入面では、影響額すべてが交付金や国県支出金・宝くじ収入等でまかなわれるのでなく、影響額のかなりの部分を新たな借金で賄うことになるので、留保財源と、手放しで喜ぶわけにもいきません。政令市移行より拡大される権限のうち一番大きい国県道整備関連事業でも、歳出決算額72・1億円の半分以上にあたる37・2億円は市債でまかなわれ、「国県道整備事業をはじめとする指定都市として必要な社会基盤整備などにより、市債残高や公債費が増加することも見込まれる」と総括質疑で答弁された通りです。今後の市政運営にあたっては、大型投資となる事業についてはよくよく考えて取り組むべきであることを指摘しておきます。
そういう中で、昨年度は、この間力を入れて取り組んできた花畑町再開発事業がとうとう破たんした年でもありました。私どもは、花畑町に博多座のような大劇場をつくるという当初の計画が持ち上がった時から、そういう計画は時代に合わない、事業実施は難しいと、事業の中止を一貫して求めてきました。しかし、市は、まだ使える産業文化会館を2009年4月に閉鎖し、年間30万人の利用があった会館の閉鎖は花畑町の通行量にも影響し、街のにぎわい・地域経済にとっても大きなマイナスとなり、市は4億円もの市民の税金を無駄にしてしまいました。ところが、この破たんに市長も責任をとることなく、十分な検討もないまま、花畑町への拙速なひろば整備計画が打ち出されました。この間の議論でも明らかになりましたように、たいへん熟度の低い計画で、市民や議会に対する説明もきわめて不十分です。合わせて、すすんでいる桜町再開発へのMICE整備についても、華々しくマスコミ発表がされる割には、具体的な内容や費用対効果など、肝心なことがきちんと知らされていません。花畑町・桜町のひろばやMICE整備は、今のまま進めば、市の財政には大きな負担ばかりが残されるのではないかと思います。コンベンション協会には年間1億2000万円の補助金が支出されていますが、コンベンション開催件数、国際会議の件数も減少し、内容では半分近くがスポーツコンベンションです。このような実態を見れば、コンベンションについては既存施設の活用こそすすめていくべきです。新幹線も開通し、名実ともに熊本の玄関となった熊本駅前でも、駅前東A地区再開発ビルのテナントが未だ埋まらないままです。いずれにしても人口減少・低成長の時代にあって、このような大型の箱モノや公共事業のムダ使いは見直されるべきではないかと思います。
一方、大型ハコモノや公共事業のツケで、医療・福祉・教育などの分野の課題が後景に追いやられています。
介護保険料の滞納者は、この5年間で10倍以上に増え、200人近い人が給付額減額や償還払いなどのペナルティを受け、特養待機者は3000人を超えています。保険料や利用料の軽減を図るとともに、特別養護老人ホームなど、介護施設の整備を抜本的にすすめるべきです。
国民健康保険会計では、一般会計からの繰り入れ拡充によって赤字が減り、累積収支でマイナス21億8900万円となりました。しかし、保険料は、政令市20市の中で高い方から3番目という重い負担です。負担の限界を超えた保険料は引き下げ、減免制度の拡充や特定健診の無料化をすすめていくべきです。
有料化されているガン検診は、受診率が低迷、全く目標値に届かない状態で、不用額を出しています。早期発見・早期治療の立場で、無料化こそ実施すべきです。あんま針灸は、助成回数が見込みを下回り、これも2073万円の不用額を出しています。必要とする人が施術を受けられるようにするため、一人年間60回・1回1500円へと戻すべきです。敬老祝い品の金額は、政令市の中で少ない方から2番目、政令市20市のうち6割が祝い金を支給しています。本市でも、金額の引き上げや祝い金支給へと見直していくべきです。
教育分野では、保護者の収入が減少している中で、奨学金の利用が落ち込んでいます。家計急変家庭への対応を促進するとともに、半数近くの政令市ではすでに実施されている給付型の奨学金についても検討すべきです。森都心プラザ図書館を含む市立図書館の図書整備費は年々減っています。図書整備費を拡充するとともに、日本図書館協会がなじまないと指摘している指定管理者制度については、専門職の経験が積み重ならないことや文化のネットワーク形成上の問題点があるとともに、全国的には、指定管理者となった民間業者が貸し出し実績等の情報を流出させるなど、新たな問題も発生しており、直営へと戻すことを検討すべきです。
少人数学級の拡充や、子ども医療費助成が周辺町村より遅れている問題など、もっともっと住民要求にこたえるべき課題は山積していますが、やはりMICE施設やひろば整備など、不要不急の大型公共事業の犠牲になっているようです。
また、政令市になって起こった問題として、利便性の悪い区役所という問題があります。これは、周辺町との無理な合併をすすめたための負の産物です。その解消のためにと走らせている「ゆうゆうバス」の利用状況は、昨年度実績で8路線中、7路線が1年目の収支率目標、わずか10%にも達成しておらず、今後の路線存続も含め、大いに問題であると言わなければなりません。そういう中で、住民サービスを確保してほしいと繰り返し住民からの要望が出されている、区役所から一番遠くて、周辺人口も多い龍田出張所の総合出張所への拡充はいまだに実現していません。昨年は、7月に北部九州豪雨災害も発生し、住民の安全安心の立場からも、身近なところで行政サービスを提供している出張所の役割が改めて浮き彫りになりました。住民サービス向上と公平なサービス提供の視点から、龍田はじめ各出張所の機能拡充と、利用の多い出張所への人員体制拡充も要望しておきます。
政令市移行によって移譲されてきた国県道管理はじめ、さまざまな業務に対し、100名を超える人員が必要と試算されていましたが、実際には集中改革プランのもと人員配置は必要人数が拡充されず、昨年度は時間外勤務時間が大幅に増えました。合わせて、男女共同参画センター・健軍文化ホール・リサイクル情報プラザが新たに指定管理に移行したことや土木センター業務の民間委託などによって職員数の削減が行われていますが、住民サービスの質の問題や業務のノウハウの蓄積、雇用環境の確保の面からも大いに問題ありと言わなければなりません。
合併特例区では、区長・協議会委員報酬に年間1億円以上が支払われ、無理な合併が生んだ歪みの象徴となっています。富合町はこの10月に特例区解消となりますが、植木・城南も来年を待たずに、ムダ使いを正す立場で速やかに解消すべきです。
さまざまに問題点を述べてまいりましたが、予算決算委員会分科会で審査する現行審査のあり方は、少数会派の意見が審査に反映されにくく、論議を尽くしたとは言い難い面があります。決算審査のあり方の改善も要望しておきます。
全体として、政令市になって住民サービスがよくなったという声をほとんど聞きません。国が、消費税増税の一方で、年金・医療・介護・子育てなど、社会保障制度をことごとく改悪していく中で、国の悪政の防波堤となって、市民生活を守っていく自治体の役割がますます大きくなっています。その役割を熊本市として十分果たしていただくよう強く要望いたしまして、反対討論といたします。