3月11日、予算決算委員会で総括質疑を行いました。テーマは、「再開発事業でMICE施設を整備することの問題点」です。
以下、論点を紹介します。
桜町再開発事業に参加して、3000人大会議場を整備することの問題点・リスク
再開発事業でMICEを整備することには、①高い費用負担、②複合施設による整備の制約、③大規模改修や建替えがなかなか難しいなど、再開発事業に独特の問題点とリスクがあります。
①高い費用負担
マンションに比べ坪55万円も高いMICEの床代
事業費の高騰を心配する意見に対し、整備費の上限を300億円程度とすと、市長は説明していますが、整備費が300億円に収まればいいという話ではありません。300億円もかかる、市政史上最大、バブル期を超える整備費自体が高すぎると考えます。再開発準備会社の作った「事業計画書(素案)」の資金調達計画では、特定事業参加者負担金、マンション業者が取得する保留床の床代が75億3100万円となっています。1平方メートル当たり627,583円です。一方、熊本市が取得するMICEの保留床取得価格は269億円なので、1平方メートル当たり795,858円です。1平方メートル当たり168,275円の差があって、マンションに比べ、MICEの床は坪55万円以上も高くなります。駅前東A地区再開発の場合もそうでしたが、たいていの再開発で公共の床が高く設定され、自治体は高い床代を払わされます。昨日は、契約においては透明性が大事と答えられていましたが、保留床取得金を払うのも契約行為です。なぜ、こんなに公共の床が高くなるのか、MICE部分の建設費用はどのくらいかかるのか明らかにし、市がMICE部分に払う保留床取得金が妥当なのか、検証すべきではないでしょうか。
このほか、高い維持管理費は、年間約9億円。そのほか、今回の質疑では、市が説明してきた維持管理費のほかに再開発ビルに対する駐車場管理料負担金などの、共益費部分も必要となることがわかりました。
再開発準備会社の公募によって、ホテルもマンションも県外大手が担うことに決まったようです。そして莫大な費用を投じる建設も、大型ゼネコンが受注することになると考えられます。種々のリスクは負って、地元テナントは追い出し、莫大な税金を投入して、県外の大企業に大儲けをさせるような再開発事業によるMICE施設整備の在り方は、後世に問われると思います。県民百貨店はじめ、地元テナントの方々が少しでも残りたいとお考えならば、他人事のように注視をするのではなく、市として、地元の雇用と営業を守る立場で積極的な支援をすべきです。
②複合施設(再開発ビル)の中に整備することによる制限
熊本市は「主催者や利用者の視点に立った使い勝手の良い施設を目指す」と強調していますが、本市のMICE施設は、再開発の複合施設の中に建設されるため、高い床代を負担しなければならないにもかかわらず、搬入のしやすい1階部分にメインホールが設置できないことで搬入はもちろん、公演やライブ終了後の撤収における時間や人手が極端にかかること、利用者の入退場の導線や再開発区域の一番奥の利用しにくい場所に設置される、駐車場がないなど、様々な制約があります。利用者の視点に立った使い勝手の良い施設とは裏腹の現状があります。
使いにくいうえに、近隣にある市民会館などと比べると、使用料はかなり高くなると思われます。
これで、主催者・利用者の視点に立った使い勝手の良いホールといえるでしょうか。疑問です。
③再開発で整備すれば、大規模改修や建て替えは極めて困難
再開発事業は、土地を共同で所有し、建物はそれぞれの持ち分所有となります。遠い将来の話ではありますが、いざ建替え・大規模改修となった時に、各所有者の財政的負担能力の違いや考えの違いによって、息詰まるケースが多々あります。再開発事業は、土地の共同化と高度利用によって費用をねん出し、新しいビルを建てるという手法であるだけに、耐用年数が来たとき、同じやり方では建設費をねん出することが難しいという大きな欠点があります。
このように、再開発事業への参加によるMICE整備には多くの問題点やリスクがあります。
このような事業に400億円もの税金をつぎ込んでいく、市の姿勢が大きく問われます。
私たちは、こんな大型再開発へのムダづかいはやめて、福祉や暮らし・子育て・教育等の充実をこそ図っていくべきであると考えます。