東京多摩借地借家人組合

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建物の老朽化は賃貸住宅の明渡しの理由になるの?

2021年09月09日 | 明渡しと地上げ問題
Q 家主から、来年の更新のときは更新しないから出て行ってほしいと言われました。理由は「建物が老朽化したから」ということしか教えてくれません。出ていきたくないのですが、どのように対応すればいいでしょうか。

A 基本的に、あなたが居住を続けている場合、抽象的な「建物の老朽化」という理由だけで出ていく必要はありません。家主から更新しない理由や立退料などの提示をきちんと受けて、交渉を行ってください。
 最近は、この老朽化と耐震補強を理由に更新拒絶を申し出てくる不動産業者が多いようですが、いずれも「正当事由」との関係では、建て替えの必要性を満たしているような事案はほとんどありません。
あなたのケースでも、「老朽化」以上の説明をしてこないといったことからすると、「正当事由」を満たす更新拒絶とはいえない可能性が高いと思います。

 この「正当事由」の要件を満たすためには、賃貸人からの立退料の提示を受けることもあります。これは、「明渡しの条件として賃貸人から賃借人に対して(払われる)財産上の給付」(借地借家法28条)に当たります。この金額によって、賃借人が明渡しによって受ける損害(新住居移転にかかる初期費用、引越し費用、その他準備費用、生活環境の変更に対する補償等)が補填される場合、正当事由を満たされる場合もあります。┅┅┅┅┅┅

以上は『借地借家の知識とQ&A』弁護士西田穣著(法学書院)より、抜粋しました。西田弁護士は東借連常任弁護団に所属しています。

(東京多摩借組ニュース9月号より)

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地上げ屋が一方的な立ち退き請求 僅か立退き料30万円で明け渡す意合意書は無効

2021年06月08日 | 明渡しと地上げ問題
尼崎市の中心部の住宅地域に住んでいる北村さん単身女性(70歳)は、20年前に「終の棲家」として借家に入居しました。

今年の1月に入り、不動産会社より「所有者変更のお知らせ及び賃貸借契約承継に関する事項」の文書が送られて来て、2月分の家賃から不動産会社の銀行口座に振り込むようにと通知を受け、新家主に家賃を支払っていました。

5月1日に突然、家主の不動産業者がやって来て「この家を取り壊すことになったので書類に押印してくれ」と強引に迫られ、恐ろしくなり署名押印しました。書類は令和3年9月末日迄に立退料30万円を支払う条件で退去すると書いてありました。転居先を探しても初期費だけでも30万円近く必要で、家賃も今の家賃から月2万円も高く、困り果てて、友人から組合を紹介され、早速組合に加入し、相手の不動産屋に内容証明郵便を送ることにしました。

通知は、不動産業者が作成した「立退き合意書」は、①借地借家法第28条に反し無効である。②30万円の立退き料では移転費も不足するので立退けない。③借地借家人組合に加入したこと以上を書いて出しました。2日後、家主の不動産業者より組合事務所に電話が入り、「お前の所は、いつ壊れる家に住み続けると言うのか。もし、家が壊れて何かあったら、お前の所が責任を取るのか」と凄んできました。

組合では、家賃を取って住まわせている以上、危険個所があれば、補修する責任は家主にあると反論しました。北村さんは、今後とも組合に何でも相談し、住み続ける決意です。
(全国借地借家人新聞より)

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地主が借地人に無償で借地権の返還迫る

2021年04月07日 | 明渡しと地上げ問題
 横浜市戸塚区で50坪を借地しているYさんは、昨年12月で借地契約の期間満了に当たり、地主からYさんには更新に必要な最低限の提示額(更新料)が高額で支払えないから、また持病のある高齢者の一人暮らしで、頼れる身内はお兄さんしかいないことを理由に以下の提案がありました。

 妥協案として、①Yさんの建物の登記を地主名義にする。ただし、所有権移転による対価は支払わない。手続きに必要な費用は、両者で折半する。

②Yさんが家を引き払う際には、家の中を何もない状態にする必要がある。その片づけ費用として、保証金30万円をYさんが地主に支払う。ただし、退去時にYさんが自分で片付ければ、保証金は退去時に返還する。③Yさんは、毎月3万5千円を家賃として支払う。

 Yさんは、心配になってインターネットで組合を調べ連絡してきました。神奈川県の組合が解散したため、多摩の組合で相談にのりました。

 まずは、契約の更新に当たって地主が更新時に更新料など支払う必要はなく、期間が満了しても法定更新ができる。借地権を無償で返還するなど地主の不当な請求に応じる必要ない。仮にYさんが、借地にある自宅に住まなくなれば、地主に借地権を買い取ってもらうよう交渉することは可能であり、借地権を第三者に売却することも可能性はある。今の段階で地主に無償で借地権を返還することは考えなくてよい。建物を地主に無償譲渡して、借家になれば何時借家から追い出されるかわからない。地主の請求を断り、借地契約は法定更新を主張して頑張るようアドバイスしました。(多摩借組ニュースより)
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コロナで家賃が払えない…「滞納するなら出て行け」、応じないとダメ?

2020年04月20日 | 明渡しと地上げ問題
https://www.bengo4.com/c_1012/n_11087/

新型コロナウイルスによって収入が減ったり、失ったりした人たちは当面の生活費の確保にも困る状態だ。特に住む家の家賃支払いは
最重要の課題となる。生活のまさに基盤を守るため、貸主に家賃の猶予を求めることはできるのだろうか。
不当な立ち退き要求の相談など、借家・借地問題に取り組んできた「ブラック地主・家主対策弁護団」の西田穣弁護士に聞いた。

●弁護士「契約解除は難しいのではないか」

ーー新型コロナで収入が減ったために、家賃を支払えないという相談は寄せられていますか

はい。来月(5月)に更新月を迎える方から、更新料を払うと、その後の家賃は払えないという相談が届いています。
家賃は前払いが通常ですから、4月分の家賃は3月末に支払い済みで、5月分もギリギリなんとか支払える。しかし、そこから先は全く
余裕がないというお話でした。
家賃が支払えないという相談は5月に入ってから増えると考えていて、懸念しています。

ーー貸主から「家賃を払えないなら出て行け」と言われたとき、出ていかなければいけないのでしょうか。

判例上、契約解除する場合は、賃借人と賃貸人の間の信頼関係が破壊されたといえることが必要になります。通常、単に1カ月分の家
賃を滞納しただけで、裁判では信頼関係が破壊されたとみなされません。
家賃の支払い猶予について、昨今の新型コロナウイルスの情勢を考えますと、コロナ情勢で仕事をできなくなったという事情がある程
度考慮される可能性があるとみています。
「コロナの問題(緊急事態宣言)によって仕事ができなくて、なんとか払おうとしたけど全額払えなかった」などの事情がはっきりし
ている場合、一定期間の猶予を定めて賃料の支払いを催告して、それでも家賃を支払ってこなかったといった場合でないと、契約解除
は難しいのではないかとみています。

●各国の事情

諸外国ではすでに法律で、賃料の延滞金請求や契約の解除を規制しています。ドイツでは、6カ月間の賃貸住宅の契約解除が禁止され
ていて、さらに賃料免除まで適用されています。
アメリカでは家賃の免除はありませんが、3カ月間の滞納について延滞利息請求が禁止され、4カ月目も契約解除禁止が指示されていま
す。
契約解除はそのまま「住む場所を失う」ことになります。生活の根底と言える住宅を失えば、仕事を探すにも困るでしょう。米英独が
規制を出しているので、日本も追従して、解除を制限する施策を出す可能性が高いと思っています。

ーー支払いが難しいと思ったら、あらかじめ貸主側に事情を伝えておくべきでしょうか

それが良いと思います。大家さんもこういう状況では、信頼できる人を見つけてすぐに入居してもらうのも大変だと思います。
今まで一度も滞納してなかった人を追い出してもメリットはありません。大家さんに相談してみて、良い回答が得られなければ、弁護
士に相談するなど動いてみてください。

●素直に契約解除に応じる前に相談

今回の新型コロナウイルスは、家賃の問題について広範囲に多くのかたを悩ませる初めての情勢だと思います。国民全体が直面する問
題であり、ひとりの弁護士でなんとかできるレベルではないかなとも思います。
心配しているのは、裁判にすらならないケースです。大家から「出て行け」と言われたことで、出ていかなければならないと素直に応
じてしまうかたもいるでしょう。
契約解除して初めて退去させられるのです。信頼関係が破壊されたと言えなければ、契約解除はできません。そんな簡単にあきらめな
いでください。一度弁護士を頼ってほしいと言いたいです。

ーー今回は貸主側にも困る人が出ると思います

そうですね。私も基本的には賃借人側に立つ弁護士ですが、賃料を払えない人もかわいそうだし、零細の大家さんも切羽詰まっている
と思います。

【取材協力弁護士】
西田 穣(にしだ・みのる)弁護士
事務所名:東京東部法律事務所
事務所URL:http://www.tobu-law.com/
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ある日突然、長屋を切断…立ち退き迫る「ブラック地主」

2020年02月21日 | 明渡しと地上げ問題
https://www.asahi.com/articles/ASN2B6SRBN27PTFC009.html


 ある日突然、住んでいた長屋の両隣が重機で切断された――。こんな恐怖を語る女性に出会った。地主の不動産業者から立ち退きを
求められる中で起きた出来事という。地代・賃料をしっかりと払っている住人に対して、わずかな補償で半ば強引に立ち退きを求める
地主・家主がいると聞いた。その実態を追った。
 忘れもしない2年前の冬、土曜日の朝だった。大阪市生野区の住宅街の長屋に住んでいた女性(73)は、妙に表が騒がしいと思って
外に出た。すると、道路の横幅をすべてうめるほどの大きなトラックが横付けされていた。解体業者と思われる男性から告げられた。
「今から両側を切り離します」
 突然の通告にパニックになった女性は、近所の友人に電話で助けを求めた。すぐに駆けつけた友人は警察署に連絡。警察官が1人駆
けつけたが、土地や建物の権利状況を聞きとると「民事の問題やから…」と言って難しい顔をした。
 借地人である女性は、4軒長屋の1軒に住んでいた。両隣の土地と建物は、大阪市に本社を置く不動産会社の所有。解体を決めたのは
この会社だった。女性の自宅については、土地の所有者は会社だが、家屋は女性が祖母の代から所有しているものだった。

 住まいの両隣が切断された女性がとった行動とは? 記事後半では、ほかの地域での立ち退きを迫る事例や、立ち退きを求められた
らどうしたらいいか、についても触れています。

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アパートや借家の明渡しの相談が増加

2020年02月17日 | 明渡しと地上げ問題
 昨年12月に多摩借組に戸建て借家やアパートの明渡しの相談がありました。

 府中市小柳町の事例では、アパート6部屋のうち5名が退去し、相談者のみが入居し再三にわたり明渡しを請求されてきましたが、希望する転居先が見つからず明渡しを拒否していたら突然訴訟を訴えられ、一人で裁判所に行ってみたものの家主ペースで裁判が進行し、裁判官からも立ち退きを促され、家主の代理人の弁護士は立退料も出さず、途方に暮れて組合に年末相談に来ました。

 八王子市の戸建て借家に住む借家人は、猫1匹飼うことを許可されていましたが、3匹に増えているとの理由で家主の代理人弁護士から1週間以内に退去するよう請求されました。隣に住む家主の娘から庭の植木を勝手に切られるなど嫌がらせを受けています。調布市の借家人は家主の親の代から50年以上アパートを借りているにもかかわらず、今年の5月末日で契約を解除すると通告を受けています。3名とも組合に入会し頑張る決意です。(全国借地借家人新聞より)

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年末に不当な明渡し請求相次ぐ 組合に入会して頑張る

2020年01月22日 | 明渡しと地上げ問題
 昨年12月に多摩借組に戸建て借家やアパートの明渡しの相談がありました。

 府中市小柳町の事例では、アパート6部屋のうち5名が退去し、相談者のみが入居し再三にわたり明渡しを請求されてきましたが、希望する転居先が見つからず明渡しを拒否していたら突然訴訟を訴えられ、一人で裁判所に行ってみたものの家主ペースで裁判が進行し、裁判官からも立ち退きを促され、家主の代理人の弁護士は立退料も出さず、途方に暮れて組合に年末相談に来ました。

 八王子市の戸建て借家に住む借家人は、猫1匹飼うことを許可されていましたが、3匹に増えているとの理由で家主の代理人弁護士から1週間以内に退去するよう請求されました。隣に住む家主の娘から庭の植木を勝手に切られるなど嫌がらせを受けています。調布市の借家人は家主の親の代から50年以上アパートを借りているにもかかわらず、家賃僅か3ヶ月分免除の移転料にもならない条件で今年の5月末日で契約を解除すると通告を受けています。3名とも組合に入会し頑張る決意です。

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借家の明渡しの理由が借地を借りている地主から明渡しを求められた

2019年12月16日 | 明渡しと地上げ問題
 大田区大森北6丁目で木造瓦葺2階建を店舗兼居宅として賃借中の山田さん(仮名)は、家主から契約解除・明渡しを求められ知人の紹介で組合に入会した。

 山田さんは不景気で営業が成り立たず家賃の支払いも大変なため、家主が立退きの補償金を出してくれるなら明渡しに応じてもよいという。家主に補償できる金額をたずねるとアパートの立退料程度しか出せないとの回答だった。明渡しの理由を聞くと、地主から建物を解体して更地で返還するよう求められているという。

 組合では、借家人同様に契約解除に応じないと地主に伝え、組合に入会するよう家主に勧めた。

(東京借地借家人新聞12月号より)
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地主が死亡後、底地を底地買い業者に売却、底地の買取り額と借地権が同額の条件を提示

2019年10月28日 | 明渡しと地上げ問題
 三鷹市で約42坪を借地している加藤さん(仮名)は今年5月に20年の借地契約が満了しましたが、地主がその前に死亡し、相続人が7月末に土地を底地買い業者に売却しました。

 業者は倉庫業でも有名な会社で、地代の増額(固定資産税・都市計画税も3倍から6倍)、更新料は更地金額の5%を提案。加藤さんの現在支払っている地代はこの20年間全く値上げもされず、固定資産税・都市計画税の1・2倍程度と安くなっているため、一挙に4倍まで上げる必要はないが税金の2倍程度は支払った方がよい。更新料は支払う必要はなく、業者は底地の買取りと借地権の売却を求めることが目的であり、今後底地を買い取る場合には粘り強く交渉すること。また、土地の所有権の移転を確認したら、地代の送金先を聞いて、契約書に定めた支払日に地代を支払うようアドバイスしました。

(多摩借組ニュースより
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老朽化を理由に明渡し請求 区の法律相談で借地借家人組合紹介される

2019年09月13日 | 明渡しと地上げ問題
 足立区西部地域で約10数年間に渡り建物を賃借している秋山さん(仮名)は、今年に入って、築30数年経つ建物を家主から依頼された不動産業者から建物が老朽化しているので、解体して新しい建物を建築する計画がある。できれば賃料の10ヶ月分の立退料を支払うので明け渡して欲しいと言われた。秋山さんは業者に簡単には引っ越しはできないと回答した。

 家主に賃料を持参すると受領を拒否され、賃料を東京法務局に供託した。すると今度は家主代理人の弁護士から内容証明郵便で再度明渡し請求を受ける。秋山さんは区の法律相談を受け、担当弁護士からは供託を続けていれば明渡しに応じる必要はない。今後は足立の借地借家人組合に相談するように勧められた。

早速、組合に相談して、借家人の義務として家賃を払い続ければ住み続けられるので、ある程度は次の引越にかかる費用は見積もっておくよう助言された。(東京借地借家人新聞より)





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底地権の買い取り交渉で2年間、底地買い業者が売値を下げ売買交渉が成立

2019年08月20日 | 明渡しと地上げ問題
 日光街道の西側地域で宅地約30坪を賃借する青山さん(仮名)は本年6月に不動産業者との間で底地権の売買契約が成立した。

 平成29年の春頃に突然地主から底地を購入したと大阪弁の不動産業者が自宅に尋ねてきた。業者は底地を買うか借地権を売却するかの二者択一を言ってきた。青山さんは直ちにインターネットで組合を探し出し電話で相談し、事務所に訪ねてきた。組合では業者との直接交渉を避けるため業者に電話で組合事務所に地代の集金を要請した。

 それから2年間毎月業者とやり取りし、青山さんが事務所に地代を預けに来たときに先月の交渉結果を伝えた。今年の春になり、業者から最初に提示してきた金額からコストダウンの提示をしてきた。青山さんに伝えると家族とも話し合って結論を出したいとのことだった。

先月組合が紹介した司法書士さんの立会いの下契約が済み、所有権移転の登記も完了した。(東京借地借家人新聞より)
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地主の最高裁への上告棄却 境界越境で土地明渡訴訟で借地人全面勝訴確定

2019年07月29日 | 明渡しと地上げ問題
 小平市小川西町借地人組合の組合員のIさんは、地主から建物収去土地明渡しの訴訟を提訴され、5年間にわたって裁判を闘ってきましたが、今年の6月に最高裁は地主の上告を棄却し、借地人のIさん勝訴で決着がつきました。

 地主は、Iさん所有の建物や門柱等の工作物の一部が公衆用道路(地主の私道)に越境して建てられているので、撤去に応じないので信頼関係を破壊しているとの理由で訴訟を起こしてきました。1審の東京地裁立川支部は昨年の1月に「原告(地主)の請求はいずれも棄却する」と判決を下しましたが、地主は東京高等裁判所に控訴しましたが、高裁も地裁の判決を支持し昨年7月に控訴棄却の判決を下しました。

 Iさんの父親は、昭和32年に都営住宅の分譲地として都から建物を譲り受け、地主と借地契約を締結しました。父親が死亡後はIさんが借地を相続しましたが、越境している事実を知らず、父親が昭和34年と昭和40年に2度にわたって増改築しましたが、地主からも越境しているとの指摘もありませんでした。Iさんは地代の値上げに応じず、地代を供託し、更新料の支払いにも応じてないためか、平成15年頃から樹木の伐採を求められ、平成25年にIさんが設置したブロックの塀の撤去を求めて、期限までに撤去しないと契約を解除すると脅してきました。同じ借地人の中でも借地部分が越境している人もいますが、地代の増額等に応じている人には何も言ってこないようです。

 地主は平成26年に弁護士を代理人に立て実際に裁判に訴えてきました。この地主は一人暮らしや高齢の女性に対して裁判を起こす傾向があるようです。

 裁判の中で、土地を測量してみると2坪強ほど道路に出ていることが分かり、Iさんは弁護士と相談し、越境している土地は時効取得を主張し争いました。

地裁・高裁の判決では、これが認められ「被控訴人の主張の専有部分は長年の間、隣接する借地部分の土地と事実上一体のものとして本件建物の敷地として供されてきたことが認められる」、「同占部分についての賃借権の時効取得の成否は、専ら私法である民法によって決すべき問題である」等の理由で『越境部分は賃借権を時効取得したとして』地主の請求が全て棄却されました。
最高裁から上告棄却の判決がなかなか下されず、心配しましたが、三多摩法律事務所の顧問弁護士さんの努力によって大変難しい裁判を見事に勝訴することができました。Iさんは5年間にわたり本当にご苦労様でした。(東京多摩借組ニュースより)
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底地の買取りを拒否したら、地上げ屋が激怒 底地を他に転売すると言明

2019年06月18日 | 明渡しと地上げ問題
 大田区南千束地区に約140㎡を賃借している菅原さん(仮名)は、組合に加入して十数年が経った。

 先日、土地を買収した不動産業者(地上げ屋)は、菅谷さんが組合員であることを知らされて、過去にこの業者と数件の事案を組合との協議にて借地人の要望に基づいて土地を買い取った事例があったことを期待して、業者は買取り希望価格を組合に提示してきた。

 組合は、業者を組合事務所に呼んで、今回は底地の買取りを拒否し、これまで通り地代3ヵ月前払いで組合を介して支払うと伝えた。すると業者は突然大声を上げて「これまでにように土地を買い上げてもらえると思っていたのに、地代の集金は俺の仕事ではない」と息巻いて席を立ち、同時に「転売する」と言って帰って行った。

 しかし、地上げ業者の今後の対応によっては地代を供託するか予断を許さない。転売されて新たな地上げ屋との交渉になっても、菅原さんは現在の状況を維持して頑張っていく決意だ。「組合にお世話になって本当によかった」と安堵している。
(東京借地借家人新聞より)

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立退料一切払わない虫のいい家主 老朽化だけでは明渡しの理由にならない

2019年06月06日 | 明渡しと地上げ問題
日暮里・舎人ライナーの車両基地がある都立舎人公園の近くで20数年間マンションの一室を賃借する河合さん(仮名)は3年前に家主が死亡し、家主の相続人の住所氏名が分からず賃料を東京法務局に供託している。昨年相続人から依頼されたコンサルタントと名乗る男から供託書の番号を教えるように言われたが、家主との関係性が分からず断った。

 今年に入り老朽化と建替えを理由に新家主と名乗る相続人が明渡しを求めてきた。河合さんは仲介不動産屋との間で昨年期間2年の賃貸借契約を結んだ経緯がある。契約は残っているにもかかわらず、新家主は金がないので立退料は一銭も出さないと言ってきた。困って東借連に電話し、足立の組合が紹介され、直ちに組合事務所に相談した。組合は老朽化だけでは明渡しは認められない。家主と河合さん双方の建物を使う必要性、立退料の提供など総合的に判断される。家主と再度話し合うよう助言した。

困った時は

東京多摩借地借家人組合

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組合が底地の売買で交渉の窓口に

2019年05月20日 | 明渡しと地上げ問題
 大田区東糀谷地域に約79・8平方メートルの宅地を賃借している原田さん(仮名)は、土地が3年前から地主から買い取った地上げ屋に所有権が移り、さらに地上げ業が転売を繰り返す中で、本当に困って昨年5月に組合に入会した。

 借地人として地主指定の銀行口座に地代を振り込むことで自らの権利を自覚した。昨年10月の転売は都内最大の地上げ屋だった。こうした状況の中で、原田さんは土地を買い取りたいとの思いが強く、家族と相談してもその考えは変わらなかった。

 そこで、組合では業者を呼んで購入の意思を伝えて価格交渉を行った。業者は組合が売買の仲介をするのであればと、減額した価格を提示してきた。さらに、売買は組合事務所で一括して現金払いを提案する。業者は、「今後も組合とはお世話になりたい」と言って、さらに売買価格を下げた。

この程、原田さんは奥さんと息子さんが立ち会う中で売買契約を取り交わし、業者指定の銀行口座に売買代金を振り込んで所有権移転の手続きを完了した。(東京借地借家人新聞より)
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