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公営住宅、69万人が入居待ち…不況などで急増

2010年11月18日 | 最新情報
低所得者向け公営住宅の不足が深刻だ。

 2000年度以降、新規住宅の建設はほとんど進まず、高齢者や景気低迷で所得が減った人たちの入居希望が急増しているためだ。抽選倍率は東京の28倍など大都市はどこも高く、国土交通省によると、入居待ちは全国で少なくとも延べ約69万人に達しているという。

 ◆新規建設進まず

 国土交通省の最新の統計では、08年度は公営住宅約9万戸の募集に対し、約77万9000人が応募。倍率は全国平均で8・6倍。1997年度の2・6倍から約3倍増となった。中でも、東京都が28・4倍、神奈川県は15・3倍と首都圏や大都市は高率だ。

 同省によると、公営住宅は00年度以降、全国の総戸数が217万~219万戸とほぼ横ばい。例えば愛知県では、1950年代以降に建てた住宅の建て替え工事費がかさむとして、07年度に24戸が建って以降、新規着工はゼロ。東京、神奈川も、民間住宅の増加などで新設を取りやめている。

 ◆居住期間制限なし

 退去者が増えない要因の一つに、退去までの居住期間に制限がないことがある。また、公営住宅に入居できる月収の上限は15万8000円だが、所得が上限を超えても、自治体の明け渡しや転居要求を無視して居座る入居者も少なくないという。こうした要因から、近年は、応募倍率の高止まりが改善されていない。

 09年度の募集倍率が14・3倍だった北海道の担当者は「所得が増えたら退去してもらい、その後に低所得者が入居するというサイクルが望ましい」とした上で、「北海道も経済は厳しく、所得は増えずに退去者も出ないのが実情」と話す。

 国交省などによると、こうした状況は全国的な傾向で、00年度以降の募集戸数が毎年約1100~1900戸の福岡県は、応募者数が約1万~1万7000人で推移しており、09年度の倍率は9・1倍。同県の担当者は「需要と供給のバランスは崩れたまま」とする。

 国税庁の調査では、05年に981万人だった年間給与200万円以下の「低所得者」は、09年に約1099万人に増加。一方、総務省によると、年収200万円未満で公営住宅に入居しているのは約97万世帯で、民間住宅には340万世帯が入居している。

(2010年11月17日14時31分 読売新聞)
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