夫の付き添いで長年定期的に松沢病院へ通っている。玄関に入るときに続けて介護タクシーが二台止まって、車いすに乗った人が降りてきた。それをさりげなく見ていたがとても大変だなと思ったが、夫も同じように感じたようだ。
待っている間に「歩けないと大変だね、そのためにはやはりデイホームで頑張って運動しなければならないね」と、2人で話し合った。認知症になると余命は5年と言われているそうだが、それは認知症で亡くなるのではなく、ときどき感情を荒立てることが心身に悪影響を及ぼし、寿命が短くなるようだ。夫より4・5年後に友人や知人達4人認知症になったが、すでに二人は亡くなったので、どうもそれは事実のようだ。
先生の診察は必ず私がつき添って、日常の生活についての質問などの問診があるが、先生は何時もにこやかでやさしく、長年お世話になっているが、只の一度もネガティブな言葉を聞いたことがない。定期的に先生にお目にかかることが、きっと夫の精神状態を安定するために効果があると私は信じている。先生に「お陰様で今年も介護度は1でした」と報告できたのは嬉しかった。私は「7月に87歳になった夫を後3年間位、このままの状態をキープしたいので、お力添えをどうぞよろしく」とお願いをした。50代から本態性高血圧症で治療を受け、70歳で狭心症と診断された夫、さらに78歳で認知症と診断され、長年沢山の薬を飲んでいるが、お陰様でかなり元気で明るく穏やかな「認知症優等生」だ。
松沢病院は広大な敷地にあるので、玄関を出たら空がパット広かって、思わず「空がキレイ!」と大声を出してしまった。子供の頃から空が大好きだったが、久しぶりで広い空が見られて、私はとても嬉しかった。広大な敷地に樹木が沢山あり、新築してからそう経っていない院内は広々していて、雰囲気もとてもよく、とても素晴らしい空間で、私はこの病院が大好きだ。夫が長生きしている間は何度もこの病院へ来られるので、自分のためにも夫を長生きさせるため努力したいと思った、空が美しい日だった。