12月2日紀伊國屋サザンシアターで、井上ひさし作「連鎖街のひとびと」を見た(こまつ座公演、演出:鵜山仁)。
昭和20年 旧満洲国 大連市
とり残された劇作家たちに課せられた使命は
通訳将校歓迎会の台本作り
しくじればシベリア送りの状況下
時間も食事も俳優も何もかもが足りない中で
生み出されたのは起死回生の逆転劇(チラシより)
21年ぶりの再演とのこと。
大連にとり残された劇作家二人(高橋和也と千葉哲也)は、日本に帰ることもできず、小さなホテルに軟禁されて悶々とする日々。
ロシア軍将校に、パーティの余興のために30分の芝居の台本を書くよう迫られている。
ちょうどその頃、女優ジェニー(霧矢大夢)がロシア軍から解放され、彼女の婚約者で若い作曲家(西川大貴)共々、芝居上演に協力することになる。
だが作曲家は、ある夜、たまたま彼女と元カレ・市川(石橋徹郎)との会話を耳にし、ショックで寝込んでしまう。
それを知ったジェニーは青酸カリを飲もうとして皆に取り押さえられる。
劇作家たちとホテルのコック・陳(加納幸和)は、何とか二人を救おうと知恵を絞り、あの夜の二人の会話は、実は芝居の稽古だった、と
作曲家に信じさせようとする。そのために、あの時の二人の会話をそのまま入れた台本を作ってしまう。
この状況が、まず可笑しい。
<休憩>
かくして芝居の稽古が始まる。
当然ながら、市川も参加することになるが、この劇中劇で、彼はロシア人の長い名前に苦しむ。
一つ一つが長い上に、ミドルネーム(父称)もあるから確かに彼らの名前は長い。
しかも夫婦のいさかいの場面なのに、なぜか彼のセリフにばかり、やたらと人名が出てくるのだ。
どうも、台本を執筆した劇作家たちの側に、彼に対する反感があるので、こういうことになったらしい。
どうして私のセリフにばかり長い人名が出てくるのか?と劇作家・片倉(千葉哲也)に文句を言うと、片倉は大声で「何?!」とすごむ。
これが怖い!(笑)
この人は、見た目も怖いし(失礼)、でかい声も出るし、この役にピッタリだ。
結局作曲家は、彼らのもくろみに気がつき、あの夜の会話が芝居の稽古ではなかったことも知るが、幸い、恋人の過去は過去として受け入れ、
二人は危機を乗り越えることができた。
市川は、満洲国政府文化担当官だったため、敗戦後は隠れるように生きている。
彼は女たらしで皆に嫌われていたが、芝居の稽古をしているうちに、その心境に変化が訪れる。
芝居の魅力に取りつかれてしまったのだ。
その意外な展開が面白い。
ベテランの石橋徹郎が演じるのだから、ますますもって面白い。
役者が芸達者揃いで楽しかった。
ただ、やはり音楽がつまらない。特に最後の合唱。
もしまたやるとしたら、合唱の部分を新しく作り直してほしい。
それと、市川がロシア人の名前にいちいちつまづく場面で、その都度、結局は自力で全部言えるわけだが、
それより、台本を手に横で稽古を見ている演出家が、いちいち教えてやる方がリアルではないだろうか。
劇作家二人が立ち聞きについてしゃべっている時、一人が「チェーホフの芝居なんて、立ち聞きだけでできてるようなもん」と言う。
そうなのか?ちょっと言い過ぎじゃないだろうか。
今度、確かめてみるか。
昭和20年 旧満洲国 大連市
とり残された劇作家たちに課せられた使命は
通訳将校歓迎会の台本作り
しくじればシベリア送りの状況下
時間も食事も俳優も何もかもが足りない中で
生み出されたのは起死回生の逆転劇(チラシより)
21年ぶりの再演とのこと。
大連にとり残された劇作家二人(高橋和也と千葉哲也)は、日本に帰ることもできず、小さなホテルに軟禁されて悶々とする日々。
ロシア軍将校に、パーティの余興のために30分の芝居の台本を書くよう迫られている。
ちょうどその頃、女優ジェニー(霧矢大夢)がロシア軍から解放され、彼女の婚約者で若い作曲家(西川大貴)共々、芝居上演に協力することになる。
だが作曲家は、ある夜、たまたま彼女と元カレ・市川(石橋徹郎)との会話を耳にし、ショックで寝込んでしまう。
それを知ったジェニーは青酸カリを飲もうとして皆に取り押さえられる。
劇作家たちとホテルのコック・陳(加納幸和)は、何とか二人を救おうと知恵を絞り、あの夜の二人の会話は、実は芝居の稽古だった、と
作曲家に信じさせようとする。そのために、あの時の二人の会話をそのまま入れた台本を作ってしまう。
この状況が、まず可笑しい。
<休憩>
かくして芝居の稽古が始まる。
当然ながら、市川も参加することになるが、この劇中劇で、彼はロシア人の長い名前に苦しむ。
一つ一つが長い上に、ミドルネーム(父称)もあるから確かに彼らの名前は長い。
しかも夫婦のいさかいの場面なのに、なぜか彼のセリフにばかり、やたらと人名が出てくるのだ。
どうも、台本を執筆した劇作家たちの側に、彼に対する反感があるので、こういうことになったらしい。
どうして私のセリフにばかり長い人名が出てくるのか?と劇作家・片倉(千葉哲也)に文句を言うと、片倉は大声で「何?!」とすごむ。
これが怖い!(笑)
この人は、見た目も怖いし(失礼)、でかい声も出るし、この役にピッタリだ。
結局作曲家は、彼らのもくろみに気がつき、あの夜の会話が芝居の稽古ではなかったことも知るが、幸い、恋人の過去は過去として受け入れ、
二人は危機を乗り越えることができた。
市川は、満洲国政府文化担当官だったため、敗戦後は隠れるように生きている。
彼は女たらしで皆に嫌われていたが、芝居の稽古をしているうちに、その心境に変化が訪れる。
芝居の魅力に取りつかれてしまったのだ。
その意外な展開が面白い。
ベテランの石橋徹郎が演じるのだから、ますますもって面白い。
役者が芸達者揃いで楽しかった。
ただ、やはり音楽がつまらない。特に最後の合唱。
もしまたやるとしたら、合唱の部分を新しく作り直してほしい。
それと、市川がロシア人の名前にいちいちつまづく場面で、その都度、結局は自力で全部言えるわけだが、
それより、台本を手に横で稽古を見ている演出家が、いちいち教えてやる方がリアルではないだろうか。
劇作家二人が立ち聞きについてしゃべっている時、一人が「チェーホフの芝居なんて、立ち聞きだけでできてるようなもん」と言う。
そうなのか?ちょっと言い過ぎじゃないだろうか。
今度、確かめてみるか。
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