ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「レディ・オルガの人生」

2018-11-05 17:39:56 | 芝居
10月1日吉祥寺シアターで、川村毅作「レディ・オルガの人生」を見た(演出:川村毅、ティーファクトリー公演)。

現在に生きる、ある女。普通に学校を卒業し、会社に勤め、ローンでマンションも買った。結婚はしなかったけれど、特に不自由も感じていない。
かといって特にキャリア志向もなく、普通に暮らせればと願っている。誰かと繋がっていたくもないけれど、ひとりでいたいわけでもない。
多少の無理をしても人との付き合いは大事にしなければと思っている。
ずっと、多数の中で目立たずに、静かに生きていようと思ってきた。時々沸き起こる漠然とした不安、思い出したくない思い出。
彼女には隠したいことがあった。でも、自分にとってそれは大切なものだった。だってそれは、本当は私の個性だから。
・・・・・・彼女には美しい立派な髭があったのだ。(チラシより)

レディ・オルガ(本名ジェーン・バーネル)という米国人女性は、内分泌腺の異常による多毛症により2歳から髭が生え始めたという。
4歳の時、母親にサーカスに売られたのを皮切りに、1940年頃まで、アメリカ最大のサーカスのスター「髭女」として活躍し、1932年
の映画「フリークス」にも出演している由。

物語は現代日本に生きる地味な若い女性を中心に展開する。彼女は会社で何となく孤立しており、ある時、小さな劇団に入団しようと
するが、そこは実はサーカスだった・・・?

いくつもの挿話がにぎやかに盛り込まれている。
中ではドラキュラ伯爵の話など面白い。
ただ、ドラキュラ伯や鬼一族などファンタジックな異形の人々はいいが、シャム双生児の姉妹のシーンだけは笑えなかった。
何年も前だが、実際にちょうどあんな形で結合したまま10代後半まで成長した姉妹が外国にいて、思春期を迎え、悩み深く、
将来の夢もそれぞれにあり、分離手術をしたが、失敗して二人共亡くなったことがあった。
そのことがあまりに悲しく記憶に残っているので。
それから、シャボン玉劇場のコントは古過ぎて、観客のほとんどは分からないのでは?

役者では、占い師役などの、のぐち和美が懐しい。かつて寺山修二の芝居で見た、独特の存在感ある怪優。 
主演の渡辺真起子は初めて見たが、好演。

作者はシェイクスピアが好きらしい。
劇中劇の脚本を担当するアルビノの青年は、ハムレットのセリフをいろいろ口にする。

川村毅の作品は初めて見たが、今という時代を見つめる、鋭くて温かいまなざしを持つ人だと思った。
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