「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「赤山禅院」 (せきざんぜんいん)

2006年05月07日 17時54分59秒 | 古都逍遥「京都篇」
 延暦寺の塔頭のひとつである赤山禅院は、修学院離宮と隣接する比叡山の西の裾野に建つ。創建は仁和4年(888)で、天台座主の安慧(あんね)が、天台宗の鎮守神として赤山明神を祀ったのがはじまり。赤山明神は陰陽道の祖神で、中国の泰山府君(たいざんふくん)のことで、昔から商売繁盛の神として知られる。現在は都七福神の福禄寿の寺で、御所の東北にあたり表鬼門に位置するため拝殿屋上には神猿が鎮座し、古来、方除けの信仰も厚い。

 心静かな静寂を求めるなら、当院がいい。参道には毘沙門天(びしゃもんてん)や福禄寿天(ふくろくじゅてん)など七福神の幟が立ちならび、賑やかな雰囲気ですが、参道の樹木には小鳥たちがさえずり、心が穏やかになる。境内にも木々が茂り、秋ともなれば銀杏や楓が、黄色に赤にと染めあがり、池の畔の野点(のだて)ふうの茶席は風雅な雰囲気
を醸し出している。
 樹木が茂る参道を上がり、左手の階段を少し登ると正面に脇殿(拝殿)がある。境内右手には不動堂。不動堂の前には大きな念珠の輪があり、呪文を唱えくぐり抜けると魔除けとなる。
 境内右手に地蔵堂、弁財天、脇殿の後方に、垣に囲まれた本殿があり、その前にも念珠の輪が設置されている。本殿後方には、小川を挟んで稲荷社。境内右後方に福禄寿像を祀る福禄寿殿があり、そのそばの階段上には金神社や歓喜天、相生社などがあり、七福神のすべてを一巡することができる。
 面白い言い伝えを紹介しておくと、この赤山禅院に「申の日の五日」に詣でた人たちが「赤山さんは掛け寄せ(集金)の神さんや」と囁き出して、滅多に無い「五日(何時)の申(猿)の日」が、毎月五日講の行事になって、赤山さんにお参りしてから集金に走り出した事から、商い人の「五十(ごと)払い」が、始まったという。拝殿の屋根の上には、鬼門封じとして猿の置物が置いてある。 そして、夜に逃げ出さないように網で囲んである。

 いにしえ中国では、「邪気を払う」節日(せつじつ)として、端午の節句(5月5日)は、特に五午(ごご)または、重五(じゅうご)といって重んぜられていた。老若男女を問わず、5月5日の節日には薬草を採り、「蓬の人形」を門にかけ、菖蒲酒を飲み交わし不老長寿を祈念したとある。昔から日本でも、3月3日の「桃の花と流し雛」、5月5日の「菖蒲(尚武)の花と鯉のぼり」には、子供たちの健やかな成長への両親の思いが込められている。
 当院の「赤山明神」は朔日(さくび・ついたち)より30日迄の日々を守護(しゅご)する30番神の中で、5日の日を司(つかさど)り、この日は子供と詣(もう)でます。この日に行われる祭事が「端午節句・大護摩供」(だいごまく)で、午前9から。法要は午後3時から修学寺本堂で行なわれる。
 毎年11月1日より30日まで、紅葉祭りが催され、お茶処(おちゃどころ)が設けられ露店が並び大勢の人が訪れる。

 所在地:左京区修学院開根坊町18。
 交通:叡山電車で修学院下車、徒歩約20分。市バスで修学院離宮道下車、徒歩約20分。

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