円山公園は、明治19年(1886)に造成された京都市で最も古い公園で、 当時、西洋の公園では噴水が必須の設備となっていたところ、日本では必要な水圧と水量を継続的に確保することが技術的に困難であった。
京都市では、疏水工事の技術責任者として活躍し、完工後東京の工科大学(東大の前身)に移っていた田辺朔郎教授に疏水の水を利用した噴水工事の可能性の検討を依頼し、明治24年に現地調査を実施した結果、第一疏水の第3トンネル西口から円山公園の枝垂桜までの25m落差を利用し、1.6kmの距離を鉄製配管でつなぐ設計を行い、明治43年(1910)疏水を活用した近代庭園の造園家として注目されていた小川冶兵衛に造園設計を依頼した。そして、大正2年の大改修工事で、明治44年に完成した第二疏水を水源とした池泉回遊式庭園を造園した。
祇園祭のときに特に賑わう「八坂神社」の西楼門(四条通りの東端)から入り、右手の参道を少し進むと「本殿」があり、その奥の「斉殿」横を抜けると、円山公園の枝垂桜の巨木が出迎えてくれる。この枝垂桜は2代目で、初代は樹齢200余年、根廻り約4m、高さ約12mにも及び、明治中頃には盛観を極めたという。昭和22年(1947)に枯死し、現在は、15代佐野藤右衛門が昭和初年に初代の種子から育て、昭和24年(1949)に寄贈したもので、正式な名は「一重白彼岸枝垂桜」という。
そのすぐ裏手に有名な瓢箪池があり、右側の小さい池に前述の噴水がある。左手にある大きい池には、水鳥が遊んでいる。両池のつなぎ目に架かる橋を渡り、東に向かう散策道には桜や楓の木が適当な間隔で植えられており、その道の左側を幅広い渓川がゆるやかな傾斜を持って瓢箪池に向かって流れている。さりげなく流れる渓川は川幅4~5mあり、大小の石が川底に配置されており、せせらぎの音を楽しめるようになっている。
渓川の流れに逆行して東に進むと滝口に出合う。このあたりは、円山六坊址といわれるところで、南北朝時代に国阿上人によって再興された時宗安養寺の塔頂があり、古くから風雅を愛する遊客が多く、明治維新後は洋風旅館や温泉で賑わったが明治末年に消失、今は数軒の料亭が点在しており、歴史を刻んだ遺物も多く残っている。
京都市では2003年から、春の風物詩を演出する行事として「京都・花灯路」と題する、東山の夜の散策コースを新たに作り、寺院・商店等とも協力し清水寺・高台寺・円山公園・知恩院・青蓮寺を結ぶ約2kmの散策路を数多くの花の一輪挿しと路地行灯で飾った。円山公園では、小川のせせらぎ一面を約2000本の青竹の灯篭で満たし、石畳に映る灯火に古都の情緒があふれている。
所在地:京都市東山区円山公園
交通:京阪電車四条駅より徒歩5分、阪急電車河原町駅より徒歩10分。
京都市では、疏水工事の技術責任者として活躍し、完工後東京の工科大学(東大の前身)に移っていた田辺朔郎教授に疏水の水を利用した噴水工事の可能性の検討を依頼し、明治24年に現地調査を実施した結果、第一疏水の第3トンネル西口から円山公園の枝垂桜までの25m落差を利用し、1.6kmの距離を鉄製配管でつなぐ設計を行い、明治43年(1910)疏水を活用した近代庭園の造園家として注目されていた小川冶兵衛に造園設計を依頼した。そして、大正2年の大改修工事で、明治44年に完成した第二疏水を水源とした池泉回遊式庭園を造園した。
祇園祭のときに特に賑わう「八坂神社」の西楼門(四条通りの東端)から入り、右手の参道を少し進むと「本殿」があり、その奥の「斉殿」横を抜けると、円山公園の枝垂桜の巨木が出迎えてくれる。この枝垂桜は2代目で、初代は樹齢200余年、根廻り約4m、高さ約12mにも及び、明治中頃には盛観を極めたという。昭和22年(1947)に枯死し、現在は、15代佐野藤右衛門が昭和初年に初代の種子から育て、昭和24年(1949)に寄贈したもので、正式な名は「一重白彼岸枝垂桜」という。
そのすぐ裏手に有名な瓢箪池があり、右側の小さい池に前述の噴水がある。左手にある大きい池には、水鳥が遊んでいる。両池のつなぎ目に架かる橋を渡り、東に向かう散策道には桜や楓の木が適当な間隔で植えられており、その道の左側を幅広い渓川がゆるやかな傾斜を持って瓢箪池に向かって流れている。さりげなく流れる渓川は川幅4~5mあり、大小の石が川底に配置されており、せせらぎの音を楽しめるようになっている。
渓川の流れに逆行して東に進むと滝口に出合う。このあたりは、円山六坊址といわれるところで、南北朝時代に国阿上人によって再興された時宗安養寺の塔頂があり、古くから風雅を愛する遊客が多く、明治維新後は洋風旅館や温泉で賑わったが明治末年に消失、今は数軒の料亭が点在しており、歴史を刻んだ遺物も多く残っている。
京都市では2003年から、春の風物詩を演出する行事として「京都・花灯路」と題する、東山の夜の散策コースを新たに作り、寺院・商店等とも協力し清水寺・高台寺・円山公園・知恩院・青蓮寺を結ぶ約2kmの散策路を数多くの花の一輪挿しと路地行灯で飾った。円山公園では、小川のせせらぎ一面を約2000本の青竹の灯篭で満たし、石畳に映る灯火に古都の情緒があふれている。
所在地:京都市東山区円山公園
交通:京阪電車四条駅より徒歩5分、阪急電車河原町駅より徒歩10分。