月遅れの雛まつりも過ぎた 掛け軸も片付けた
娘は皆嫁いで家にいなくても 人形だけは毎年飾っていた
今年は娘の出産で里帰りしていて ひな人形飾る場所もなかった
それにも喪中でもあるしで人形を出すのをやめた
代わりに掛け軸だけを吊るして由とした 掛け軸は家に昔からあったもの
ボロボロだったが 数年前に表装し直してもらった
家が貧しくて雛人形は買えななかった代わりの掛け軸なのだろう
これだけでも飾れば 人形を出した時と同じ気持ちになる
娘も赤ん坊も3週間家にいてくれて アパートへ帰っていった
また老夫婦の静かな二人暮らしに戻った
それでも妻の実家からは毎年三色の餅が届けらる
出し入れの手間は省けたが 雛餅だけは例年と同じように食した