昨年12月以来となる破風山(はっぷさん)。今回は新緑の山道歩きを楽しむとともに下山地の水潜寺が目的。いつものように駐車場から数分、温泉スタンド手前の建物脇から山道に入る。傾斜の道は風もわずか、朝の冷気に木洩れ日が優しい。ひと登りで前方が開け、風戸(ふっと)集落。ここから車道をゆっくり登って最後の民家横から本格的な登山道。「熊注意」の看板を横目に急坂に取り付く。少しの間我慢すれば大渕登山口からの道と合流する前原尾根分岐。これからの登りに備えてひと息入れ、樹林帯の小ピークを越えて行く。間もなく山頂部が見え隠れする雑木林の緩やかな道。そよぐ風に若葉が小さく揺れる。<♪風の言葉に諭されながら 別れゆく二人が五月を歩く 木々の若葉は強がりだから・・・>(井上陽水『五月の別れ』)のフレーズを思い出す。そして木段状の急傾斜から猿岩、さらに進んで稜線に出ると山ツツジのお出迎え。ブラシ状の白い花も。これはアオダモの木だろうか。その間を縫って東屋を過ぎ、ヤセ尾根を登り進めば前方が開けて山頂。抜群の展望に言うことなし。右手の両神山から武甲山や奥武蔵の山なみが続き、眼下には秩父盆地が広がる。しばし、ひとり独占の贅沢を楽しんだ後は札立峠への急下降。慎重に足を運んで巡礼古道と交わる十字路の峠。直進は鎖場、ヤセ尾根の大前山方面。今日は右折して巡礼道を下って行く。杉林の斜面から沢沿いの樹林帯、やがて明るくなって水潜寺に着く。このお寺は秩父観音霊場の結願寺。今日はここにあるという万葉歌碑を確認すること。先日、受講している埼玉県民活動センターの講座「古代東国の叙情―東歌を訪ねて」で初めて知った。今まで見逃していたが、ヒメシャガの花が咲き誇る一角にその碑はあった。碑の裏面を読むと講座の川上講師の説明どおり。この万葉集3525歌の冒頭の「水久君野(みくくの)」という地名はこの一帯と思われること、そのこととお寺の由来などが。説明文にある「水くぐり千手観音」の岩屋付近に足を運んだが立ち入り禁止。ただ、奥の院らしい静謐な佇まい。東歌の相聞歌に寄せた心情を少しばかり思い浮かべた。声をかけていただいたお寺の方との話で参考になったことが二つ。この山域でもこの春に熊の目撃情報が2回あったこと。もう一つは疑問だった万葉歌碑が案内図にも無く、あまり目立たないことについての意外な理由。これからはこの山も熊除け鈴の携帯は必須だ。もう一つのほうは、自宅に帰ったら万葉集の講座テキストを開いてみることに。4月27日(火)/(「満願の湯」近くの登山者用駐車場)駐車場08:45~(温泉スタンド・登山口)~09:00風戸集落~09:15登山道入り口~09:25前原尾根分岐09:30~09:50猿岩~(東屋)~10:15破風山626m 10:30~10:40札立峠10:45~(巡礼道)~11:20水潜寺(三十四番札所・結願寺)11:50~(車道)~12:20駐車場<帰路のアスファルト路で疲労の足を「満願の湯850円」(JAF割引▲50円)で癒す。ただ「黙浴」表示の風呂場での大声には閉口/山中での出会いは全て単独行の4人>
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