『五時半になった、そろそろやめるか』
草刈り機のエンジンを止めて、家に向かって歩きかけたときだ。
風もないのに十メートルほど先の草が四・五本微かに揺れた。
『何かいる!』
そっと近づいて・・、確かにこの辺りのはずだが・・、と探してみても何もいない。気のせいか・・。
しばらく見ていると、ボロの中に僅かに見えていた枯れ草のかたまりが、ガサゴソと動き出した!。
『瓜だ、ウリボーだ!』
ウツでなければウリもボロの中はそんなに早くは進めない。
人が歩く速さぐらいだ。20m程で追いついて先に回りこんだら、
ウリは、草の間に頭を突っ込んで潜ったしまった。今度は潜った処を見届けているので
どこにウリがいるのか判る。だがそうでなければ、目の前の草叢にウリボーが隠れていても
動かない限り、気がつかないだろう。
噛みつかれないように、素早く両脇をつかんだ。
『ヤッタ!、瓜ボー逮捕!』
とりあえず記念写真を撮った。
捕まえたのはいいが、この後どうしよう・・。
そうだ、こういう時はミッチャだ!。ウリを連れてミッチャの家にいった。
ウリを抱いてミッチャに武勇伝を話している間に、何と、腕を枕に居眠りを始めた!。
『俺は猪年だが、お前の親じゃないぞ・・・』
・・・参ったな、これじゃあ処分できない、放してやるわけにもいかんし・・・・。