1870年 の今日(12月5日)は、「アレクサンドル・デュマ(大デュマ) (仏:小説家『三銃士』)」 の忌日。1802年7月24日生まれ。<68歳>
アレキサンドル.デュマ(Alexandre Dumas)は、フランスの小説家。『椿姫』を著した同名の息子とを区別するために彼は大デュマ (Dumas, père) とも呼ばれる。
デュマ は」ナポレオンが父親のデュマ将軍の死後、遺族に終身年金を下付しなかったため、幼少期は貧しい生活を余儀なくされ、まともな学校教育を受けることが出来なかった。そのため、15歳で働きはじめ、17歳のときに「ハムレット」の劇を見て感激し、劇作家を目指し、パリに上京。父の友人の紹介で、オルレアン公爵(後のフランス国王、ルイ・フィリップ)家の秘書室に勤めることになり、それから、デュマは文学や歴史の勉強に励んだ。
1829年、『アンリ三世とその宮廷』の成功によって一躍名をあげ、歴史劇『クリスティーヌ』や自身の不倫体験をもとにした現代劇『アントニー』などを次々と新作を発表し、たちまちのうちに売れっ子劇作家となった。やがて、歴史小説も発表するようになり、又、当時、新聞各紙が小説を連載するようになったため、新聞各紙に、『モンテ・クリスト伯(邦題:巌窟王)』、『三銃士』に始まる『ダルタニャン物語』、『王妃マルゴ』、『王妃の首飾り』などを連載し、どれもベストセラーとなった。デュマは莫大なお金を稼ぎ、豪邸モンテ・クリスト城を建て、毎夜酒宴を開き、女優たちと浮名を流すといった派手な生活を繰り広げていたという。さらに、国王ルイ・フィリップの五男モンパンシエ公爵の庇護の下、1847年に「歴史劇場」を建設し、自分の作品を劇にして上演もさせた。デュマの作品はどれも大当たりで、劇場経営でも、巨富を手にしたが、1848年の二月革命によって、後援者のルイ・フィリップは国を追われ、さらに革命後の混乱のために、市民は劇場に足を運ばなくなり、歴史劇場は大きな赤字を出すようになり、稼いだ金も使い果たし、一時、ベルギーに逃亡するなどその晩年は不遇であったようだ。1870年12月5日、子供たちに見守られながら息を引き取ったが、財産も、少量の絵画と家具しか残っていなかったという。
2002年12月1日の新聞各紙で同年11月30日に、アレクサンドル・デュマの遺骨が、国家的英雄として、出生地ヴィユー・コットレの墓地から、フランスの誇る偉人たちの殿堂「パリ・パンテオン」へ移され祀られることとなったことが報じられていたのをご存知だろうか・・・。その棺は、お馴染み「Tous Pour un、un Pour Tous」(みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために)・・・これは、『三銃士』第9章ラストにて、ダルタニャンが発案した友情の誓いの言葉だそうだ・・・の文字が入った青い布で覆われ、傍らには四人の銃士が付き添い、見守る形で式典が執り行われたという。
パンテオン(Pantheon)は、ギリシア語の「すべての神々」という言葉に由来し、神々ではなく偉人たちを祀る建造物のことをも意味するようになったという。ローマやパリのパンテオンが特に著名であり、パリ・パンテオンでは、フランス革命後、国民議会によってフランスの偉人たちを祀る墓地として利用されることが決定されたもの。しかし、何故、これだけ有名なフランスを代表する小説家が、今頃になって、殿堂入りするようになったのかについては理由がある。
アレクサンドル・デュマ(大デュマ) の父・トマ-・アレクサンドル・デュマは、フランスの地方貴族と黒人奴隷マリーの間に生まれた。マリーには奴隷のため名がなかったが、農場を切り盛りしていたため、「農家のマリー Marie du mas」と呼ばれており、そのため、「農家の」にあたる「du mas」をつなげた「Dumas」を姓として用いるようになったという。だから、デュマは黒人との間に生まれた父親の子であったためずっと偏見に苦しんで生きていたのであった。しかし、その父親、トマ-・アレクサンドル・デュマは、一兵卒からルイ16世に仕える竜騎兵となり、その飛び抜けた能力と勇敢さのおかげで「革命の将軍」にまで出世した人間であった。
彼の生涯をモチーフにして書かれた小説にクロード・リブの『女王陛下の竜騎兵』があるといわれており、デュマの父は、混血であるが故に陸軍から追放されたそうで、その後、フランスの内地領土には黒人と混血児は入国禁止となる。又、その後、フランスでは、異人種間の結婚は禁止されるなど、このようなフランスの人種差別主義の勃興が引き起こした多くの犠牲者の一人として、悲嘆の中で死んだのだそうだ。
先月新聞やテレビで報道されていたが、フランスで若者による暴動が続き、政府は非常事態宣言を余儀なくされ、各地で夜間外出禁止令が出されるなど異常事態が発生している。暴動に加わっている若者の多くは移民の第二、第三世代が中心のようである。全国各地に広がっている暴動の背景には、フランスの移民社会が抱えている問題があり、そこから、階級格差や社会不安が醸成され、今回、一気に噴出した形だという。 フランスの人口約6000万人中、7%が外国で生まれ移住してきた移民であり、北アフリカや旧仏領インドシナなどが多いそうだ。そして、その2世や3世を含めると人口の約25%近くになるのだという。多民族によって成立している国であるが、移民の人たちには、人種差別や就職差別が根強く、その多くは貧困と失業に悩まされており、失業率でみると、国全体で10%と深刻な課題だが、移民は移民以外の2倍以上とより深刻なのだという。 フランスと言えば、ヨーロッパの中でも文化的国家の代表のように思っている人たちが多いようだが、移民の人たちの自国への同化策をとりながら、そのくせ、その人たちに対する人種差別的なものはアメリカ以上に強い国だったのだね~。世間には、自国・日本の国のことを悪くばかり言っている人も多くいるが、他国と比較すると日本は住みやすいいい国だよ・・・。なんでも、隣の家の芝は青く見えるだけなんだよ・・・ね・・・。
(画像は、ウオルト・ディズニーの映画「THE THREE MUSKETEERS=三銃士」のチラシ)
参考:
アレクサンドル・デュマ・ペール - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%AB
パンテオン (パリ-)Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%B3_%28%E3%83%91%E3%83%AA%29
余丁町散人(橋本尚幸氏)のホームページ
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/lemonde/lemonde20021202.html
フランス 暴動のニュース検索結果 -
http://news.google.co.jp/news?q=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%80%80%E6%9A%B4%E5%8B%95&hl=ja&lr=&sa=N&tab=nn&oi=newsr
アレキサンドル.デュマ(Alexandre Dumas)は、フランスの小説家。『椿姫』を著した同名の息子とを区別するために彼は大デュマ (Dumas, père) とも呼ばれる。
デュマ は」ナポレオンが父親のデュマ将軍の死後、遺族に終身年金を下付しなかったため、幼少期は貧しい生活を余儀なくされ、まともな学校教育を受けることが出来なかった。そのため、15歳で働きはじめ、17歳のときに「ハムレット」の劇を見て感激し、劇作家を目指し、パリに上京。父の友人の紹介で、オルレアン公爵(後のフランス国王、ルイ・フィリップ)家の秘書室に勤めることになり、それから、デュマは文学や歴史の勉強に励んだ。
1829年、『アンリ三世とその宮廷』の成功によって一躍名をあげ、歴史劇『クリスティーヌ』や自身の不倫体験をもとにした現代劇『アントニー』などを次々と新作を発表し、たちまちのうちに売れっ子劇作家となった。やがて、歴史小説も発表するようになり、又、当時、新聞各紙が小説を連載するようになったため、新聞各紙に、『モンテ・クリスト伯(邦題:巌窟王)』、『三銃士』に始まる『ダルタニャン物語』、『王妃マルゴ』、『王妃の首飾り』などを連載し、どれもベストセラーとなった。デュマは莫大なお金を稼ぎ、豪邸モンテ・クリスト城を建て、毎夜酒宴を開き、女優たちと浮名を流すといった派手な生活を繰り広げていたという。さらに、国王ルイ・フィリップの五男モンパンシエ公爵の庇護の下、1847年に「歴史劇場」を建設し、自分の作品を劇にして上演もさせた。デュマの作品はどれも大当たりで、劇場経営でも、巨富を手にしたが、1848年の二月革命によって、後援者のルイ・フィリップは国を追われ、さらに革命後の混乱のために、市民は劇場に足を運ばなくなり、歴史劇場は大きな赤字を出すようになり、稼いだ金も使い果たし、一時、ベルギーに逃亡するなどその晩年は不遇であったようだ。1870年12月5日、子供たちに見守られながら息を引き取ったが、財産も、少量の絵画と家具しか残っていなかったという。
2002年12月1日の新聞各紙で同年11月30日に、アレクサンドル・デュマの遺骨が、国家的英雄として、出生地ヴィユー・コットレの墓地から、フランスの誇る偉人たちの殿堂「パリ・パンテオン」へ移され祀られることとなったことが報じられていたのをご存知だろうか・・・。その棺は、お馴染み「Tous Pour un、un Pour Tous」(みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために)・・・これは、『三銃士』第9章ラストにて、ダルタニャンが発案した友情の誓いの言葉だそうだ・・・の文字が入った青い布で覆われ、傍らには四人の銃士が付き添い、見守る形で式典が執り行われたという。
パンテオン(Pantheon)は、ギリシア語の「すべての神々」という言葉に由来し、神々ではなく偉人たちを祀る建造物のことをも意味するようになったという。ローマやパリのパンテオンが特に著名であり、パリ・パンテオンでは、フランス革命後、国民議会によってフランスの偉人たちを祀る墓地として利用されることが決定されたもの。しかし、何故、これだけ有名なフランスを代表する小説家が、今頃になって、殿堂入りするようになったのかについては理由がある。
アレクサンドル・デュマ(大デュマ) の父・トマ-・アレクサンドル・デュマは、フランスの地方貴族と黒人奴隷マリーの間に生まれた。マリーには奴隷のため名がなかったが、農場を切り盛りしていたため、「農家のマリー Marie du mas」と呼ばれており、そのため、「農家の」にあたる「du mas」をつなげた「Dumas」を姓として用いるようになったという。だから、デュマは黒人との間に生まれた父親の子であったためずっと偏見に苦しんで生きていたのであった。しかし、その父親、トマ-・アレクサンドル・デュマは、一兵卒からルイ16世に仕える竜騎兵となり、その飛び抜けた能力と勇敢さのおかげで「革命の将軍」にまで出世した人間であった。
彼の生涯をモチーフにして書かれた小説にクロード・リブの『女王陛下の竜騎兵』があるといわれており、デュマの父は、混血であるが故に陸軍から追放されたそうで、その後、フランスの内地領土には黒人と混血児は入国禁止となる。又、その後、フランスでは、異人種間の結婚は禁止されるなど、このようなフランスの人種差別主義の勃興が引き起こした多くの犠牲者の一人として、悲嘆の中で死んだのだそうだ。
先月新聞やテレビで報道されていたが、フランスで若者による暴動が続き、政府は非常事態宣言を余儀なくされ、各地で夜間外出禁止令が出されるなど異常事態が発生している。暴動に加わっている若者の多くは移民の第二、第三世代が中心のようである。全国各地に広がっている暴動の背景には、フランスの移民社会が抱えている問題があり、そこから、階級格差や社会不安が醸成され、今回、一気に噴出した形だという。 フランスの人口約6000万人中、7%が外国で生まれ移住してきた移民であり、北アフリカや旧仏領インドシナなどが多いそうだ。そして、その2世や3世を含めると人口の約25%近くになるのだという。多民族によって成立している国であるが、移民の人たちには、人種差別や就職差別が根強く、その多くは貧困と失業に悩まされており、失業率でみると、国全体で10%と深刻な課題だが、移民は移民以外の2倍以上とより深刻なのだという。 フランスと言えば、ヨーロッパの中でも文化的国家の代表のように思っている人たちが多いようだが、移民の人たちの自国への同化策をとりながら、そのくせ、その人たちに対する人種差別的なものはアメリカ以上に強い国だったのだね~。世間には、自国・日本の国のことを悪くばかり言っている人も多くいるが、他国と比較すると日本は住みやすいいい国だよ・・・。なんでも、隣の家の芝は青く見えるだけなんだよ・・・ね・・・。
(画像は、ウオルト・ディズニーの映画「THE THREE MUSKETEERS=三銃士」のチラシ)
参考:
アレクサンドル・デュマ・ペール - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%AB
パンテオン (パリ-)Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%B3_%28%E3%83%91%E3%83%AA%29
余丁町散人(橋本尚幸氏)のホームページ
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/lemonde/lemonde20021202.html
フランス 暴動のニュース検索結果 -
http://news.google.co.jp/news?q=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%80%80%E6%9A%B4%E5%8B%95&hl=ja&lr=&sa=N&tab=nn&oi=newsr