今日(9月4日)は「くしの日」
美容関係者らが1978(昭和53)年に制定。美容週間実行委員会が実施。「く(9)し(4)」の語呂合せ。
くしを大切に扱い、また、美容に対する人々の認識を高めてもらう為に制定。全国美容週間では、9月4日「くしの日」を“お客様へ美容をより深く理解していただくための日”として、今年も9月4日(月)の「くしの日」に、目黒・大鳥神社でのくし塚法要に続き、ビューティーウィークアワード2006、グルーヴィーナイト2006と、全国美容週間主催のイベントを行うそうだ。
櫛(くし)は、髪をとかしたり((すいたり)、簪(かんざし)と同じように髪を飾ったりする道具として使用される。
日本の櫛は西洋の場合などと異なり、単に髪をすくだけの「すき櫛」としてだけではなく、そのまま差して髪飾りとして使用できる「竪櫛」が発達したのが特徴的である。
遺跡(集落跡)貝塚から出土した日本最古の漆塗竪櫛(写真あり)↓
http://www.ishikawa-maibun.or.jp/iseki_new/noto/mibiki/mibiki_kaiduka/mibiki_kaiduka08.htm
国内2例目となる日本最古級の横櫛が出土!(写真あり)↓
http://www.city.anjo.aichi.jp/kakuka/bunkazai/maibun/column/column_6.htm
「すき櫛」は通常、板状であり、長辺の片方に等間隔に切り込みが入れられており、切り込みに髪を通すことで髪をとく。切り込みと切り込みの間の部分のことを「歯」と呼ぶ。櫛の材料としては、鼈甲(べっこう)・金・銀・硝子・象牙・馬爪・牛爪・真鍮(しんちゅう)・黒檀(こくたん)、紫檀(したん)・ツゲ・蚊母(いす)・・マユミ(檀、真弓、檀弓)・竹・梅、桜、椿などのほか合成樹脂などで作られる。中でもつげ櫛は万葉集にもうたわれた、日本髪にはなくてはならないものであった。
櫛(くし)で髪の毛をとかして髪を整えることを、古い表現では「梳(くしけず)る」と言い、今でも「おみぐしを削り」などと言うように、古くは髪のことも「くし」と言っていたようだ。
又、櫛は、同音の串と同じく、「霊妙なこと、不思議なこと」という意味の「奇(く)し」「霊(くし)び」が語源とされている。
日本では古来櫛は別れを招く呪力を持っているとされ、現代の日本人でも櫛を贈答品にしたり気軽に貸し借りするのを嫌がる人は少なくない。その一方で、魂の宿る頭に飾るものであることから、自らの分身として旅立つ人に手渡しもした。又、 昔、女や子供が行なった辻占(つじうら)の一に櫛占(くしうら)と言うものがあり、黄楊(つげ)の櫛を持って十字路に出て「あふ事をとふや夕げのうらまさにつげの小櫛もしるし見せなん」という古歌を三度唱え、境を区切って米をまき、櫛の歯を三度鳴らしてから、その境の内にはいって来た人の言葉を聞いて吉凶を判断したりもしたという。
古事記伝では、イザナギ(伊邪那岐)命はイザナミ(伊邪那美)の兄であるとともに夫である。天地開闢において神世七代の最後にイザナミとともに生まれた。国産み・神産みにおいてイザナミとの間に日本国土を形づくる多数の子を儲け、国生みを終えた。イザナミ命は最後に火の神カグツチを生んだので、火傷をして死に、ヨミの国(黄泉国)へ去った。イザナギ命は妻のイザナミに逢いたくて後を追ってヨミの国(黄泉国)へ行く。辺りは真っ暗であった。イザナギ命は左のみずら(鬟/髻。「みみつら(耳鬘)」の転といわれる。上代の男子の髪の結い方の一。)に差した櫛の大きな歯を折って火を灯す。するとそこには美しかった女神の腐敗し、ウジにたかられ、雷(イカヅチ)に取り憑かれた醜い姿で横たわっていた。驚いたイザナギはヨミの国から逃げ出し、ヨミヒラサカ(黄泉比良坂)でイザナミと離縁した。(ちなみに近世で破損した櫛を投げつけるのは離婚を要請するしぐさ)
それを怒ったイザナミの差し向けたヨモツシコメ(小母都志許売)三千人が追いかける。追っ手から逃れるために、イザナギ命は右のみずらに差した櫛の歯を欠いて投げつける。するとそこに筍が生えた。ヨモツシコメが筍を貪り食ってる間にイザナギ命は逃げ延びてゆく。竹の子を食べ終わったヨモツシコメがまた追いかけてくる。追いつめられてイザナギ命は今度は左のみずらに差した櫛を櫛ごと抜いて投げつける。するとその場に葡萄が生えた。ヨモツシコメが葡萄を食べているすきにイザナギ命はヨミの国を脱出した。
イザナギの名前の「いざな」は「誘う(いざなう)」の意で、「ぎ」は男性を表す語であり、イザナギ(伊弉諾・伊邪那岐)は、日本神話に登場する男神。イザナキとも呼ばれる。(男であるにもかかわらず)自らも子を産んでいる。すなわち、黄泉国のケガレを落とすために日向国で禊を行うと様々な神が生まれ、最後にアマテラス・ツクヨミ・スサノオの三貴子が生まれた。イザナギは三貴子にそれぞれ高天原・夜・海原の統治を委任した。
此処に見られるように、イザナギ命がみずらの左右に差した櫛で難を逃れる話が出てくるが、古代の人は櫛には「奇(く)し」き霊力があるると信じ、氏族の長はそれを頭上に飾っていたのだろう。
同じく古事記伝で葦原中国の出雲へ降ったスサノオ命は、その地を荒らしていたオロチ(八岐大蛇/八俣遠呂智)を退治しに出向くとき、クシナダ媛を櫛に変えて自分の髪に挿していく。退治した オロチの尾から出てきた天叢雲剣を天照大神に献上した。スサノオは、オロチに食われることになっていたクシナダヒメを妻として、出雲の須賀(すが)の地へ行きそこに留まった。
クシナダヒメの名前は、色々と書かれており、古事記では櫛名田比売であるが、日本書紀では「奇し稲田(くしいなだ)姫」すなわち霊妙な稲田の女神と解釈されている。
記紀にみえるこのような神話は、動物神が人間神に倒されるというアンドロメダ神話に代表される類型がみられるという。その事については、以下参考の「スサノヲのヲロチ退治神話について 」を参考にするとよい。オロチは水を支配する竜神を、クシナダヒメは稲田の女神を表している。、毎年娘をさらうのは河川の氾濫の象徴であり、それが退治されたことは、治水を表しているとする。また大蛇が毎年娘をさらって行ったという事は、神に対して一人の処女が生贄としてささげられていたという事であり、またその野蛮な異境の地の風習を文化を持つものが廃したことも表している。これと同じ様な事は、浦島太郎や桃太郎、竹取物語などの日本のおとぎ話の分野でも例が見られる。日本の浦島伝説発祥の地といわれる下記参考の「伊根町商工会の浦嶋伝説」や、「浦島太郎と桃太郎」などを見られると良い。
いずれにしても、古代の人は、櫛・串やそれをっ作った竹などに霊力を感じていたのだろう。日本のあちこちに櫛、またた串の付く神社が多くあり、いずれも、神話の世界と結びついているようであり、櫛についていえば、現代でも、家の新築をするときなどの上棟式で、家の中心になる棟木には御幣(幣束)、鏡を飾り、御神酒、米、塩、魚、果物などを供えて式を行なっているなど、櫛の霊力に係るものが息づいているのであろ。ここでは、家の心柱に開いた扇子三本と髢と櫛をとりつけている。(櫛の玉手箱より)写真↓
http://www9.ocn.ne.jp/~kusitome/mamechishiki.jpg
(画像は、瓊を以て滄海を探るの図の部分カット(小林永濯・画、明治時代)。右がイザナギ、左がイザナミ。画像はフリー百科事典Wikipediaより)
参考:
全国美容週間実行委員会
http://www.beautyweek.com/
櫛 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AB%9B
古事記 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BA%8B%E8%A8%98
スサノヲのヲロチ退治神話について
http://homepage1.nifty.com/miuras-tiger/orochi.html
浦嶋伝説/伊根町商工会
http://ine.kyoto-fsci.or.jp/2chiiki/uraden.html
浦島太郎と桃太郎
http://www.nagaitosiya.com/b/momotaro.html
第2回 竹の神話 〈2004.9〉・全国森林インストラクター会
http://www.shinrin-instructor.org/ren08/02.htm
櫛名田姫
http://www.ffortune.net/spirit/zinzya/kami/kusinada.htm
美容関係者らが1978(昭和53)年に制定。美容週間実行委員会が実施。「く(9)し(4)」の語呂合せ。
くしを大切に扱い、また、美容に対する人々の認識を高めてもらう為に制定。全国美容週間では、9月4日「くしの日」を“お客様へ美容をより深く理解していただくための日”として、今年も9月4日(月)の「くしの日」に、目黒・大鳥神社でのくし塚法要に続き、ビューティーウィークアワード2006、グルーヴィーナイト2006と、全国美容週間主催のイベントを行うそうだ。
櫛(くし)は、髪をとかしたり((すいたり)、簪(かんざし)と同じように髪を飾ったりする道具として使用される。
日本の櫛は西洋の場合などと異なり、単に髪をすくだけの「すき櫛」としてだけではなく、そのまま差して髪飾りとして使用できる「竪櫛」が発達したのが特徴的である。
遺跡(集落跡)貝塚から出土した日本最古の漆塗竪櫛(写真あり)↓
http://www.ishikawa-maibun.or.jp/iseki_new/noto/mibiki/mibiki_kaiduka/mibiki_kaiduka08.htm
国内2例目となる日本最古級の横櫛が出土!(写真あり)↓
http://www.city.anjo.aichi.jp/kakuka/bunkazai/maibun/column/column_6.htm
「すき櫛」は通常、板状であり、長辺の片方に等間隔に切り込みが入れられており、切り込みに髪を通すことで髪をとく。切り込みと切り込みの間の部分のことを「歯」と呼ぶ。櫛の材料としては、鼈甲(べっこう)・金・銀・硝子・象牙・馬爪・牛爪・真鍮(しんちゅう)・黒檀(こくたん)、紫檀(したん)・ツゲ・蚊母(いす)・・マユミ(檀、真弓、檀弓)・竹・梅、桜、椿などのほか合成樹脂などで作られる。中でもつげ櫛は万葉集にもうたわれた、日本髪にはなくてはならないものであった。
櫛(くし)で髪の毛をとかして髪を整えることを、古い表現では「梳(くしけず)る」と言い、今でも「おみぐしを削り」などと言うように、古くは髪のことも「くし」と言っていたようだ。
又、櫛は、同音の串と同じく、「霊妙なこと、不思議なこと」という意味の「奇(く)し」「霊(くし)び」が語源とされている。
日本では古来櫛は別れを招く呪力を持っているとされ、現代の日本人でも櫛を贈答品にしたり気軽に貸し借りするのを嫌がる人は少なくない。その一方で、魂の宿る頭に飾るものであることから、自らの分身として旅立つ人に手渡しもした。又、 昔、女や子供が行なった辻占(つじうら)の一に櫛占(くしうら)と言うものがあり、黄楊(つげ)の櫛を持って十字路に出て「あふ事をとふや夕げのうらまさにつげの小櫛もしるし見せなん」という古歌を三度唱え、境を区切って米をまき、櫛の歯を三度鳴らしてから、その境の内にはいって来た人の言葉を聞いて吉凶を判断したりもしたという。
古事記伝では、イザナギ(伊邪那岐)命はイザナミ(伊邪那美)の兄であるとともに夫である。天地開闢において神世七代の最後にイザナミとともに生まれた。国産み・神産みにおいてイザナミとの間に日本国土を形づくる多数の子を儲け、国生みを終えた。イザナミ命は最後に火の神カグツチを生んだので、火傷をして死に、ヨミの国(黄泉国)へ去った。イザナギ命は妻のイザナミに逢いたくて後を追ってヨミの国(黄泉国)へ行く。辺りは真っ暗であった。イザナギ命は左のみずら(鬟/髻。「みみつら(耳鬘)」の転といわれる。上代の男子の髪の結い方の一。)に差した櫛の大きな歯を折って火を灯す。するとそこには美しかった女神の腐敗し、ウジにたかられ、雷(イカヅチ)に取り憑かれた醜い姿で横たわっていた。驚いたイザナギはヨミの国から逃げ出し、ヨミヒラサカ(黄泉比良坂)でイザナミと離縁した。(ちなみに近世で破損した櫛を投げつけるのは離婚を要請するしぐさ)
それを怒ったイザナミの差し向けたヨモツシコメ(小母都志許売)三千人が追いかける。追っ手から逃れるために、イザナギ命は右のみずらに差した櫛の歯を欠いて投げつける。するとそこに筍が生えた。ヨモツシコメが筍を貪り食ってる間にイザナギ命は逃げ延びてゆく。竹の子を食べ終わったヨモツシコメがまた追いかけてくる。追いつめられてイザナギ命は今度は左のみずらに差した櫛を櫛ごと抜いて投げつける。するとその場に葡萄が生えた。ヨモツシコメが葡萄を食べているすきにイザナギ命はヨミの国を脱出した。
イザナギの名前の「いざな」は「誘う(いざなう)」の意で、「ぎ」は男性を表す語であり、イザナギ(伊弉諾・伊邪那岐)は、日本神話に登場する男神。イザナキとも呼ばれる。(男であるにもかかわらず)自らも子を産んでいる。すなわち、黄泉国のケガレを落とすために日向国で禊を行うと様々な神が生まれ、最後にアマテラス・ツクヨミ・スサノオの三貴子が生まれた。イザナギは三貴子にそれぞれ高天原・夜・海原の統治を委任した。
此処に見られるように、イザナギ命がみずらの左右に差した櫛で難を逃れる話が出てくるが、古代の人は櫛には「奇(く)し」き霊力があるると信じ、氏族の長はそれを頭上に飾っていたのだろう。
同じく古事記伝で葦原中国の出雲へ降ったスサノオ命は、その地を荒らしていたオロチ(八岐大蛇/八俣遠呂智)を退治しに出向くとき、クシナダ媛を櫛に変えて自分の髪に挿していく。退治した オロチの尾から出てきた天叢雲剣を天照大神に献上した。スサノオは、オロチに食われることになっていたクシナダヒメを妻として、出雲の須賀(すが)の地へ行きそこに留まった。
クシナダヒメの名前は、色々と書かれており、古事記では櫛名田比売であるが、日本書紀では「奇し稲田(くしいなだ)姫」すなわち霊妙な稲田の女神と解釈されている。
記紀にみえるこのような神話は、動物神が人間神に倒されるというアンドロメダ神話に代表される類型がみられるという。その事については、以下参考の「スサノヲのヲロチ退治神話について 」を参考にするとよい。オロチは水を支配する竜神を、クシナダヒメは稲田の女神を表している。、毎年娘をさらうのは河川の氾濫の象徴であり、それが退治されたことは、治水を表しているとする。また大蛇が毎年娘をさらって行ったという事は、神に対して一人の処女が生贄としてささげられていたという事であり、またその野蛮な異境の地の風習を文化を持つものが廃したことも表している。これと同じ様な事は、浦島太郎や桃太郎、竹取物語などの日本のおとぎ話の分野でも例が見られる。日本の浦島伝説発祥の地といわれる下記参考の「伊根町商工会の浦嶋伝説」や、「浦島太郎と桃太郎」などを見られると良い。
いずれにしても、古代の人は、櫛・串やそれをっ作った竹などに霊力を感じていたのだろう。日本のあちこちに櫛、またた串の付く神社が多くあり、いずれも、神話の世界と結びついているようであり、櫛についていえば、現代でも、家の新築をするときなどの上棟式で、家の中心になる棟木には御幣(幣束)、鏡を飾り、御神酒、米、塩、魚、果物などを供えて式を行なっているなど、櫛の霊力に係るものが息づいているのであろ。ここでは、家の心柱に開いた扇子三本と髢と櫛をとりつけている。(櫛の玉手箱より)写真↓
http://www9.ocn.ne.jp/~kusitome/mamechishiki.jpg
(画像は、瓊を以て滄海を探るの図の部分カット(小林永濯・画、明治時代)。右がイザナギ、左がイザナミ。画像はフリー百科事典Wikipediaより)
参考:
全国美容週間実行委員会
http://www.beautyweek.com/
櫛 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AB%9B
古事記 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BA%8B%E8%A8%98
スサノヲのヲロチ退治神話について
http://homepage1.nifty.com/miuras-tiger/orochi.html
浦嶋伝説/伊根町商工会
http://ine.kyoto-fsci.or.jp/2chiiki/uraden.html
浦島太郎と桃太郎
http://www.nagaitosiya.com/b/momotaro.html
第2回 竹の神話 〈2004.9〉・全国森林インストラクター会
http://www.shinrin-instructor.org/ren08/02.htm
櫛名田姫
http://www.ffortune.net/spirit/zinzya/kami/kusinada.htm