こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

黒 い 野 望

2010-06-19 11:44:01 | Weblog
平和という状態を

この地上へと導くために

最大規模の軍事力を

もっと拡大していくことによって

その実現を図ろうとしてきたのが

アメリカ

という名で呼ばれている

国 


世界がそれで平和になったかというと

そんなことはなかった

アメリカを対象とした攻撃は

常に世界のどこかで準備されており

実際に

行動に移されることで

アメリカの軍拡を促す理由とされてきた

このイタチごっこには

終わりが

ない


アメリカの支援を必要とする国は

アメリカを支援しなければならない


テロの国際化は

この枠組みによって

生みだされていた

日本に米軍基地がある間

アメリカを敵対視する国 と

アメリカから敵対視された国

では

防衛努力を強化するために

経済政策より防衛予算に多くを傾注しなければならなくなる

アメリカの狙いは経済発展を阻害することにあった


アメリカに加担した国では

その反対に

テロ組織から

アメリカと同じレベルの攻撃対象と看做される


力による平和状態の強制的な誘導は

対抗勢力を再生産するという結果を生み

平和の実現を遠ざける

冷戦の対象となっていたソ連が

ある日

唐突に消滅したことによっておきた変化は

軍縮の実現ではなく

軍拡を急がせた


敵の不在は

最強の軍事力を維持するための戦略をより強化させることとなった

軍産複合体制の存在理由が消えてしまうと

不利益を蒙る組織が多数でる

そうなる事態を事前に回避するためには

敵の脅威が身近なところに迫っている

ということを

国民に見せつけておく必要というものがあった


この切実な思いから仮想敵という概念が生み出され

東アジアに展開する米軍の存在価値が

不必要に高められるようになっている

中国の軍事費の伸び率が急に高まったことによって

その他の国の軍事費の割合も同じ比率で高めなければならない

と思うそれぞれの国の指導者たちは

軍事力の拡大を

平和を守るための基本的条件だと信じこんでいる


北朝鮮にミサイルの発射実験をさせれば

日本は不安に脅え

アメリカの核の力に縋ろうとする

米政府は悪の枢軸という名称を特定の国に与えて

米軍からの攻撃があり得る

という威圧的な態度をとるのが常だった

この行為が北朝鮮に核の開発を却って急がせ

アメリカをひるませて譲歩を引き出す

という展開を重ねさせてきた


米国民に軍拡を認めさせるには

アメリカに対する悪意ある攻撃を実行させればよい

1941年の12月には

日本軍に真珠湾を攻撃させたことによって

米政府は反撃を行うための国民の支持をとりつけた

その時の標語は

リメンバー パールハーバー

というものであった

この戦争は二度の核による人体実験によって

終結を迎えることとなった


その結果日本には平和憲法が与えられたのだったが

それを保障するための米軍がこの国に居座るようになった

いまでは米軍の間接経費を

日本政府が率先して肩代わりするまでになっている

実に筋の通らない展開がおきているのだが

国民には違和感がなく

米軍基地はこの国の至る所に置かれている


2001年の九月には

米国経済の中心

その象徴的存在となっていたツインタワービル

が自らの重みで潰れ去った

同時多発テロと呼ばれることになった

最初の攻撃による被害が これ


アメリカ本土を狙って実施されたタリバン政権からの攻撃は

米国民のこころを報復の思いでいっぱいにした

その年の暮れには

テロ組織を崩壊寸前にまで追い詰めておきながら

首謀者を取り逃がすという失態を演じている

優れた能力をもつ米軍が

隠れるものとてない

アフガニスタンのはげ山に敵の領袖を追い詰めておきながら

呆気なく生き延びさせたという事実が

当時簡潔に報道されたものだった

これによってイラクに戦線を拡大することが可能となったのだが

その結果世界が引き受けることになったのは

原油相場の長期的高騰とそれによるインフレの悪化であり

ドルを過剰供給した末のドル余り現象に基づく

金融危機というものであった


イラクにあるとされた大量破壊兵器が

根拠のない情報だったことを

アメリカ自らが認めた段階で

テロとの戦いという名目に切り替えて

イラク侵攻を正当化しようと謀った

これにより

世界は国家間の戦闘ではない

未知の戦争状態へと突入していくこととなった


米軍の中東での駐留期間は予定を超えて大幅に長びき

戦費を新たに追加調達する必要に迫られたブッシュ政権は

WTIに投機資金を集めるための戦術をとり

原油取引の単価を引き上げることによって

ドルの需要を高めその発行量を増やすことに成功したのだが

最終的に

ドル余り現象を派生させてしまうこととなった


この過剰流動性が不動産市場へと流れ込んだことにより

最終的に債務不履行という事態を大量に生み出した

金融危機を現象化させることとなった最初の変化がこれである

次におきたのは

ギリシャを起源とするユーロ経済圏に対する不信感の高まりであった

金融システム全体に潜んでいたその欠陥が

ドル余り現象を生み出していたのだったが

その裏には

世界最強の軍隊を保持していなければならない

というアメリカがもつ勝手な都合が隠されていた


第二次世界大戦が終結したあと

国際経済はドルを基軸通貨とするシステムで統一されたのだったが

アメリカに敵対して

核兵器をもとうとする国は

逆に増えていった

国家間の関係にみられるパターンには

経済共同体となることを目指そうとするものと

軍事的対立の強化を目指そうとするものとに

分かれていたのだが

そのどちらでもない

国家の枠を超えた

民間の第三勢力

テロ組織による攻撃を許すことにもなったのだった


テロ組織と呼ばれる国家の枠を超えた団体の勢力が強まり

力による統治を進めてきたアメリカに対して

圧力を加える存在として新たに機能するようになった

反米国家は湾岸戦争で

米軍の攻撃能力の優れた高さを知り

軍事的対立を避ける傾向を強め

アメリカの待ち構えているリングに上がろうとはしなかった

そこで登場することとなったのが 

国境に制約されないテロを目的とする組織


世界一強かったはずの米軍は

ベトナム戦争の時よりも戦闘状態を中東では長引かせ

退くことを許されない状態へと嵌り込んでいる

この状況は

テロ組織がもくろんでいたその目標にひとしい

勝敗の趨勢は既に決していたのだったが

アメリカはそれを認めることが

いつになってもできない立場にある

執着をなにかしらもつ国は 

健全な成長を遂げることができない

ドル経済圏全体が

金融危機という報復攻撃をいま受けている

これがその証拠


平和の実現を目指すのに

その対極にある武器を選択してはならない

持続的繁栄という状態だけが

地球に欠けていたものを生み出す力を

秘めている 
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