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日 本 劣 等

2011-01-22 05:12:42 | Weblog
バブル経済が消滅した後

その事実に長い間気付かなかった指導者たちは

何を

どうすればよいのか

ということすらまったく分からず

途方に暮れていた

ヒデリの夏のように

霞が関界隈を

ただ

おろおろと歩きまわる虚ろな姿が

よく観測されたものだった


バブルが潰れたということさえ

正しく認識していなかったほどである

そのために

失われた10年という形容が後に生み出されたのだったが

実際のところ

それは20年を超えて

今尚続いている始末

意志決定を行う場である国会では

事実認識が成立せず

判断の欠如が決定的に禍いする事態へと陥った

その状態が20年後の今になっても

延々と続いている

経済学と経済ダイナミックスとは

同じものでは ない

弁別能力が失われていたということが

この国に最終的な貧困という状況を齎した


バブル経済を生み出したプロセスを

実際に調査したという事実は未だになく

指導者たちは当時から

ただ扼腕するしか方法をもたなかった

大阪で突発的に発生した取り付け騒ぎを鎮めるため

銀行を潰さないという決定を大急ぎで下したのだったが

それが記録に残る最初のバブル崩壊対策になっている

この決断というものが

後に貸し渋りと貸し剥がしを生み出すことへと繋がった

産業基盤を支えていた多くの中小企業を

銀行自らが追い詰めていく

というあるべからざる展開が今もみられる


その後になっても

尤もらしいが実は効果のない

多くの対策を講じるのみ

有効なソリューションと言えるものは

何一つ実施されず

有害な結果だけが残された


これら一連の拙い経緯が

後に失われた20年と呼ばれる時代を

生み出した最大の原因になっている

当時の国債発行残高は400兆円以下であり

債務負担は今の半分にも満たなかった

バブル後の対策を悉く誤ってきたということが

国の財政を

短期間で急速に悪化させてしまったのだった


潰すべき銀行を延命させたことが

これほど長い不況を国に今も強いている

国には銀行を潰せなかった訳がある

大量の国債を問題なく消化することができていたのは

金融機関にその殆どを吸収させることができていたからなのだ

国民がもっている国の債権は5%程度とされている

銀行はバブル期の当時ノンバンクを設立して

土地神話を揺るぎないものへと固めつつあった


プラザ合意の結果

ドルが帯びるようになった過剰流動性を希釈するために

G5で協調介入するという合意が採択され

直ちに実施された

円高への急激なシフトは

この時に端を発し現在へと影響を及ぼしている


ドル余り現象を解消するためには

余ったドルを受け容れる新たな市場が必要なのだ

協調介入は単発で終わることとなり

その後

国際的な金融を業務とする民間組織によって

市場で回収したドルの仕向け先を日本市場にする

という決定がファンダメンタルズの結果として生まれ出た


この時に流入してきた大量のドルが

突発的な円高を誘導し

日本の金融当局には

対策として買いとったドルで

米国債に投資する行為を何度も繰り返す循環が与えられた

この政策決定に当たった財務官僚の一人が

初代のミスター円と呼ばれている人物

この選択が誤りであったために

日本は取り戻すことのできないドル建ての資産を

北米大陸に積み上げるという顛末へと陥った


為替市場に政治介入するための予算を

20兆円も確保しておかなければならない

という粗末な結果が現在に残されているという事実がある

ドル売り圧力の原因となった事情を探らずに

米政権に靡くことで命脈を保ってきた歴代の保守政権が

日本に貧困化するための基礎工事を行い

小泉内閣がブッシュ政権に工事の出来栄えを

恭順な態度で訪米時に披露した

ブッシュの慫慂を真に受けて

外資導入政策をとるという結果が

円高倒産の多発へと繋がっている


円高はこれにより一層進み

大挙して流入するようになった過剰流動性は

有効な投資先として

土地から企業買収へと転じていったのだった

この時代の寵児となったのがホリエモン

国際金融資本は不動産という有効な投資先を失い

株式市場に一部を残して

為替差益のでた時点で

日本市場から

五月雨式に

決して目立つことなく

密かに流出していくこととなったのである


この段階で軽度の円安ドル高が演出され

一時的に高くなったドルで

一時的に安くなった円を効率よく買う

という条件が整った


ドルの過剰流動性を円へと仕向けることで消し去り

為替差益まで獲得することができる訳なのだから

ドル安誘導の波状攻撃が断続的に続くようになった次第

輸出産業は恒常的な円高で

獲得した利益を国外へ流出させるための機関

にならざるを得なかった


円転したドルが国内市場の育成へと向かえば

中国のような経済成長が再び可能になっていただろう

バブル崩壊とホリエモンの失態に懲りたドル資本は

日本市場を過剰流動性の洗濯工場にすることで

為替差益を回収するための窓口へと変身させた

投資に最適な中国市場が既にできあがっており

日本にはそれ以上の投資効率を保証する市場は存在しなかった

日本の貿易黒字をドルの過剰流動性が取り消すというサイクルが

ドル資本と米国の一般投資家を満足させている

日本の経済成長はその結果

栄養失調の状態から抜け出せなくなってしまったということなのだ


雇用環境は劣化し

消費市場はデフレ化した

国民は貧困に喘ぐようになり

就職難民が大量に生みだされるようになった

指導者の不明が国の繁栄を奪い

国民に不幸を強いているというこの現状は

問題を問題として認識する

その能力の差にあったのである


自覚なき病は死に至る
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1 コメント

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Unknown (バブル崩壊太郎)
2011-02-13 14:08:27
大変勉強になります。
でも、今の政治家の方からは口が裂けても言えないのかもしれませんが、やっぱり、右上がりの経済成長はもう日本には起きないのだと思います。
強引に成長させれば、強引な現象(バブル)になりバブル崩壊する事になるでしょうし・・

失われたのかどうかは、これからのような気がしますね、日本の右下がり経済を当然受け止めなければならない私達からすれば・・。
また遊びに来ます!
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