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財 政 措 置

2013-12-15 09:41:29 | Weblog
バブルが崩壊して今に至るまで

日本が採用してきた経済政策というものは

そのどれもが

景気の復興をもたらした

とする事実を

一例も

もたない


すべての経済対策が

事実認識を誤ったことを自覚しないまま

国税の殆んどを

効果のない分野に

大盤振る舞いすることに

費やされてきた

そんな事例の数々で

この国がもつ経済の現代史は

埋め尽くされている

参考にすべき過去が

山ほどもある

その経過が経済に与えた負の効果のことを

後に

失われた20年

呼ぶようになった


当初は10年に過ぎなかったのだが

検証プロセスを蔑にしてきたために

意味のない結果を積み上げることに終始し

貴重な国費を

その期間を通じて

大量に失っていたことにより

債務ばかりを

ただいたずらに

増大させた

だけ

という粗末な結果

がこの国に残された


バブルが潰え去った後の直近の五年間は

当時のことばで

資産デフレと呼ばれており

土地神話で高騰した不動産価格が

ひたすら下がる一方

という展開をみせていた


3%だった消費税がその頃

5%へと2%引き上げられたことにより

その一年後から

所謂デフレ経済というものが始まった


デフレが更なるデフレを呼ぶ

という

デフレスパイラルが生じる展開を

時の為政者たちは放置した

問題自体が

まったく見えていなかったからである


この状態がその後15年以上つづくこととなり

資産デフレの時代と合わせて

20年という経済史に残る愚かな歳月を

日本は歴代の政権すべて

によって

不作為のまま

放置するという事態へと陥っていた

その経緯の拙さを

誰一人批判することなく

ただの傍観者

として過ごしていた時代のことである


1990年四月を起点として始まった

失われた20年というものは

2010年になっても

景気を一向に回復させることができず

公共投資のみ

に頼るという実績重視の経済政策

を延々ととりつづけることとなり

2013年四月にアベノミクスが始まったことによって

円安効果で輸入物価が高くなる状態を導いた

消費者物価全体をインフレへと導くためには

景気をけん引する動力源となるものが

そこに用意されていなければならない

得体のしれない何かの不備が

そこに隠れていたままであったのなら

プラス方向のスパイラルを生み出すことなど

できるはずがない

投資が投資を生む経済環境が必要なのだが

政府と日銀は

市中に流す流動性の量的拡大のみに終始した

矢継ぎ早に打ち出された成長戦略は

抽象概念のままの状態を未だに取り続けている


国民所得を増やして

消費を促す効果を一斉に生み出さなければ

景気を浮揚させることは

もとより できない

この基本的認識すらできていなかった


消費税を来年四月から

5%から8%へと

3%も引き上げることが

既に決まっている

再来年には更に2%が上乗せされ

消費税率を当面10%へと高めることが

国会では既に確定している


経済を成長させるためには

有効需要を

政府自らが作り出すことに

成功していなければならない


輸出を引っ張ってきた自動車産業では

国内での需要拡大を目指す目的で

政府が補助金を出すようにしたのだったが

助成措置が打ち切られたとたんに

自動車の売り上げは急減して

けん引力を失ってしまった

という記録が残されている


家電などの他の品目でも

ほぼ同様の経過が生じていたにもかかわらず

経済対策は

助成金の交付を前提とするものばかりで

占められていた

所得水準が低下し続けていたのでは

消費意欲を刺激するなどということは

当然ながら

できない


これまでの経済政策は

公共投資の継続



補助金頼みの経済政策のみに

終始した


補助金や助成金が

国庫からの支出で賄われていたということが

国の債務を短期間で急速に増加させたのであり

負債総額を

失われた20年がそう呼ばれていた間に

五倍の1000兆円を突破する

という愚かな経過を記録した

とする事実を確定的なものにした


最大規模に達した日本の債務負担の解消を

政府内閣は

宿題

として解決するよう世界から

一斉に迫られるようになったのである

IMFでは

大きく劣化した日本の財務体質を

改善させるという目的で

消費税の税率を引き上げることに

国会が同意した

とすっかり思い込んでいる

その不正な認識を

国民も共有しているという現実が

一方にある


消費税を導入するに至った過程で

国の債務を圧縮するため

という理由が使われたことは

一度もない

国民とIMF

及び世界中に分布している経済通と自称する人々が

そのように

勝手な思い込みを作り上げ

消費税率を上昇させることを

安心材料とするようになったまでのこと


国家予算を増やすことで

中央官庁の予算が増えれば

その経済波及効果で

税収が増えるということを

霞が関では

夙に読み込んでいる


世界が懸念する日本政府の負債総額の巨大さを

官僚と国会は

それぞれ異なった立場にありながら

共に

憂慮などしていない

景気が回復すれば

税収の増加は自動的に達成されるようになるからだ


国の借金の規模を

世界中で心配しているような

深刻なものであることを

直接の当事者である官僚が

正しく察知したとき

新年度の予算案から

返済に回すための部分を

相応に減らそうと努力するようになる

現状に見るごとく

予算案を増やし続けている間は

債務の増加はそれほど深刻なものでは

ない

国債保有の分布と割合をみれば

その多くが

巨大な金融機関で占められている

ということが

すぐ分かる


予算案を増やし続けていくことにこそ

退官後のたつきを確保するための

官僚に備わる本来の面目というものが

が隠されている


日本の税収は

世界各国の経済通が懸念するほど

落ちぶれてなどいない

借金がこれほど多額なレベルにありながら

平然と増額した予算案を国会に提出してきたというのは

返済が十分に可能であるということを

官僚機構全体が

よくよく承知しているからに他ならない


憂うべき事態

へと

国の債務が本当に陥っているのであるならば

官僚はそれなりの対応を自発的にとっている

将来を見通せない人に

国家公務員の職は務まらない


強欲ではあるけれど

官僚は

愚かな存在などでは決してない

外国の事例で国債がよく投げ売りされてしまうのは

外国籍の資本を

大量に受け容れてきた国だけに限られる

日本国債の94%は

国内の投資家がもっている

財務体質が仮にもっと悪化したとしても

日本国債が紙屑にまで落ちぶれるなどということは

まずない


国が健在である限り

公債に対する利払いは

国民の営みが生む税収によって

支えられている

債券の利払いが

100%着実に執行されるのは

納税者自身が最もよく承知していることであるからだ


人口の少ない国の公債は

必然的に海外からの投資に頼らざるを得ない

外国人の保有比率が高い国債を発行する国は

国の借金がGDPの何倍かに相当する水準へと達したとき

最も危険な状態と看做される

日本の国債が無価値化する蓋然性は

従ってゼロにひとしい


深刻な債務状況にありながら

官僚が新年度予算案を

一貫して増やし続けているというその行為の裏には

破産することなど考えられない

日本政府がもつ財政維持能力の高さ

というものが

日本国債の価値と信頼性とに

大きく寄与している

という特異な事情が関わっている


消費増税という新たな措置は

国民に犠牲を強いるのみであり

消費を却って抑制するという意味で

やってはならないことなのだ

15年に及ぶ真性のデフレの起源は

2%へと消費税を引き上げたその翌年を

起点とするものになっている
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