こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

あ さ は か

2019-06-23 09:21:32 | Weblog
ドルのシニョレッジ(通貨発行権)をもつ

アメリカという国

にだけ

世界中の富が集積するようになったのは

機軸通貨としての機能を

ドルが身に備えた

ということを

世界が

認めざるを得なかったから


戦後の復興を急ぐための

新たな枠組を決定することとなった

ブレトンウッズ会議

が招集されたのは

1944年7月

ヒットラーが自決したのは

その十か月後の1945年五月

日本の敗戦は同じ年の八月十五日


戦争の趨勢を固めた連合国は

戦後の復興計画について

一年前から準備体制

に入っていたということになる


爆撃機による度重なる空襲が

日独双方にとって

苛烈なものになっていったのは

この時の会議で決定した

合意の結果


核兵器の実戦使用が

日本だけだったのは

単に

タイミングの差

であるに過ぎない


ドルがポンドに代わって

機軸通貨として

正式に指定されたのは

ブレトンウッズ体制が始まった

その後のこと


このときからアメリカは

機軸通貨の発行益を

北米大陸へと逐次的に

積み上げていくこととなる


石油を輸入するために

ドルを必要とした国では

ローカル通貨を

為替市場で売ることにより

ドルを買っておかなければならない

アメリカはドルの印刷量を

高めるだけで

世界中の外貨を手に入れることが

できるようになっていた


ドル紙幣を

需要に応じて増刷し

直ちに供給してやるだけのことで

労せずして

大量の外貨を獲得できた

これがアメリカのもつ

決して枯渇することのない

世界に一つしかに

富の源泉


ドルと交換して得た外貨

を活用するローカル市場

がそこに成立っているのであれば

さして欲しくもない地域通貨

であったとしても

アメリカの利に叶う


外貨をドルに戻す際に

ドルの通貨価値が

相対的に下がっていれば

少ない外貨で

より多くのドル

を買い戻すことが可能となる


ドル資本には

このドルの供給と回収を

為替市場で

効率よく進め

莫大な利益を計上することが

許されている

個々に生じている奇妙なバイアス

に関する指摘を行った

とする事実を

確認しようとした痕跡

すら一例もないほどだ


ドル資本が手持ちのドル

を市場に供給する際には

高い価値を有するドル

の方が有利であり

かつ役に立つ


ドルを回収する際には

その反対に

外貨高になっている

という条件が満たされている

方が重要な因子


アメリカは印刷経費を負担するだけで

世界中の富を

ドルの通貨発行権を利用することで

簡単に獲得することができる

という特殊な身分であることを

世界に対して認めさせてきた


こうしてアメリカは

国際経済をリードしながら

獲得した利益の一部で

軍産複合体制を充実させる

その一方で

力に恃む国際政治を展開しつつ

世界の保安官役

を永年努めることが

円滑にできていた


1971年の夏

アメリカは金本位制

という枠組みから

唐突に離脱してしまい

世界中がアメリカの

一方的な心変わりに

遅れて追随する

という展開を経て

信用経済という新たなスキームを

成立させてゆくこととなる


金本位制の時代には

通貨価値の担保を

金の保有高が果たし

国家の通貨発行権を

各国がもつ金の保有高の範囲で

価値の平衡条件

を成り立たせていた


つまり

金塊の保有高が

通貨発行権の決定因子

となって時代があった


ドルショック(ニクソンショック)

と呼ばれたこの71年夏の

ドラスティックな変更が

国際間の商取引を

担保なしの信用で

相互に供与しあう連携条件

を成立させていくこととなる


こうしてドルの発行権

と供給権とを

ドルショックで青天井状態にした

ということが

国際経済を大いに刺激し

アメリカは無制限となった

機軸通貨のシニョレッジ

を最大活用することができるようになり

資本市場に新風を

吹き込んだ


世界中からドルの発行国へと

集まってきた外貨収入で

富の集積地となった

北米大陸が国際経済

を牽引する役割を果たし

市場規模を急拡大することに

寄与する経過を

経済史へと刻み付けた


洗練された信用経済に

移行するまでの経過期間では

石油・ドル本位制

などという表現が

暫時使われていたりしたもした


経済規模を膨張させた

このドルショックが

同じ七十年代に続けて二回発生した

石油危機で原油相場を更に押し上げ

決済通貨となっていたドルの

需要水準を執拗に押し上げた


ドルに過剰流動性が指摘

されるようになったのは

まさにこの頃

ドルの需要が高まっている時に

その供給を怠れば

ドルの通貨価値は

アメリカの都合を超えて

勝手にどんどん高まってゆく


想定外の意図しないドル高は

農業国であると同時に

工業国でもあるという

アメリカの輸出産業に

打撃となって直接

跳ね返る


機軸通貨としての価値を高めた

ドルの市場への追加供給が

滞れば

それは取りも直さず

望まないドル高が

制御不能な状態で

勝手に進みだすことを意味し

反対にドルを供給し過ぎれば

ドル余り現象で

リーマンショックのような

想定外の事態に

翻弄されることとなる


所謂国際金融資本は

ドルと外貨とを取り結ぶ

調整弁としての機能

を円滑に果たしている


機軸通貨の発行権は

アメリカに利益を齎したが

市場供給したローカル市場では

生産性を高めて得た利潤のすべて

をドル資本が本国へと持ち去ることを

指をくわえてただ眺めている

ことしかできなくさせた


これが貧富の差の拡大を急がせ

アフリカ諸国を中心とした

南北問題へと後に発展していくこととなる


ドルの円滑な回収を怠れば

共通化したグローバル市場では

ドル余り現象が顕在化し

ドルの新規発行が

必要条件ではなくなるばかりか

金融バブルの発生源

ともなり兼ねない


自国通貨の発行権は

ローカル市場

でのみ有効なものなのだが

為替市場を経由した場合

国際金融資本の意のままに

扱われ易くなる


MMTの限界となる課題は

通貨間の価値の移転取引を

回避することが即ちできない

というその点にある

ローカル市場だけに限れば

自国通貨の発行権は

価値の移動を伴わないため

制限なしに発行できる

個々に生じる差についての言及

が為されなければ

評価する意義は失われる

そこでビットコインのような

第三の人工通貨

の関与が

改めて必要な措置

となる


中国がたったの三年で

世界第二位の経済大国となれたのは

ドルの過剰流動性を無害化する

という秘められた目的で

アメリカが中国を

世界の生産基地にする

と唱導した時に運命づけられていた


生産財と中間財そして資本財

などが中国大陸へと蝟集する

という経過が

俄かに引き起こされた


共産党政府は

世界中の資本市場から

一斉に仕掛けられた

壮大な規模のドル売り圧力を

防遏する必要に急遽迫られ

大量の人民元を無制限に発行し

ドルの一方的な値下がり

を誘導するための

人民元の意図的な値下がり

を演出することによって

価値の安定化を進めることしか

できなくなっていた


その結果共産党政府には

莫大なドル資産を所有することとなり

供給量を大幅に高めた人民元で

獲得した大量のドルを買い

外貨準備を篤くした


中国を金満国家に押し上げたのは

他ならぬアメリカなのだ

経過の事実を承知していたのなら

米中間の経済戦争へと発展した

その経緯が

アメリカの都合で

引き起こされたもの

という理解は

夙に成り立っていた


当事国の指導体制ですら

起きている経過の意味

を未だに知らずにいる


高度化した教育制度が

問題認識能力を着実に

涵養していたのであれば

国際経済に負圧をかけている

この関税を手段とする

不毛な駆け引きに

警告することは

誰にでも容易であった


経済学の言語では

解けない問題でも

力学系の言語を用いれば

カタストロフを回避する

程度のことは楽にできていた


学力重視に特化した

高等教育のあり方に於ける

国際規模の同時多発的

一斉規模の変容が

健全な思考力を個人から奪い

批判精神を短期間で失わせ

誤った判断へと

文明を突き落とす

その代表的な事例となった


その好例となったのが

温室効果ガスの削減を進めていながら

却って有害ガスの濃度上昇

を急がせただけだった

という知識階級のもつ普遍的な

欠陥とそれを生み落した

浅はかな認識

交流と直流との混同が

温暖化を止まらないよう仕向けた

たった一つのその理由


要素抽出が不完全なら

要因分析の段階で

判断を間違いなく誤る

アベノミクスこそは

その絶好のサンプル

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする