こ と の 端

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顛 末 の 三

2020-05-17 07:05:16 | Weblog
シニョレッジ(通貨発行権)

を活用することができた政府

は労せずして経済を成長させることとなり

国家による繁栄を築きつつ

莫大な富を

それによって手に入れることが

可能となる


この事実に気付いたアメリカが

ドルの発行権を最大化して

豊かな国になったのと同じように

人民元の通貨発行権を活用

することができた中国共産党政府が

アメリカを追い落とす勢いで

金満国家へと成り上がり

資本力で防衛力を強化しながら

領土と領海を拡大して

覇権を手中のものにする

ための行動に逸早く着手した


ブレトンウッズ体制下で

通貨発行権を活用することができていた

アメリカのドル

が世界中の市場で

機軸通貨として流通するようになったあと

至る所でドルを滞留させるようになり

変動相場に移行してからというもの

通貨交換の場となった為替相場を通じて

機軸通貨としての多大なる妙味

の意味を体感として理解した


この手法を応用展開していきながら

次第に洗練させていったことから

現在の地球規模化した市場経済下でも

覇権を握ったことで得た所与の権能

を活用することができ

国際経済を牽引するその役割を果たすよう

基軸通貨となったドルの供給権

を握ったアメリカが

保安官としての任務

の履行を正当化して

確立していた軍産複合体制に

その任務の遂行を引き受けさせ

国際平和に寄与する

とアメリカがそう世界中に思い込ませた

時代がかつて成り立っていた


エネルギー資源の決済通貨となったドル

の一斉供給を世界がアメリカへと求め

ドルの通貨価値がその頃急増したために

ドル高外貨安となった変動相場で

双子の赤字を抱え込んだアメリカは

G5を急遽招集して

ドル売りの一斉介入に踏み切った

所謂プラザ合意のことである


日本では85年後半以降

ドルの大量流入が発生し

急速な円高状態となったことにより

輸出産業は大打撃を蒙った

反対に資本の大量流入もおきたため

海外から押し寄せてきたドルが急増し

買われた円を日本市場で再投資する

必要性が俄かに生じた


それがバブル経済を発生させたこととなり

加熱し過ぎたバブル経済を懸念した政府与党が

善と信じて最悪の結果を日本へと引き込んだ

これがバブル経済を崩壊させたその起源

その後の失われた十年を二十年へと引き伸ばし

アベノミクスの失敗で

ついに失われた三十年まで確定させてしまうほど

この国の指導体制は愚かであった


バブル経済の破綻の起源は

90年四月一日に施行された

不動産融資に対する総量規制

バブル経済の発生機序に無関心だった

すべての日本国民が憂慮していた

加熱し過ぎたバブル景気を

国家が抑制しようとして

法案を急ぎ成立させ

針をバブルに突き刺したのだったが

誰もその意味に気付かなかった

ここで生じた初動の遅れが

その後いつまでも日本経済を苦しめることとなる


当時バブルを演出していたメカニズムに無知

だったすべての国民が

事実関係を理解しておらず

相変わらず投資行為に明け暮れする生活

を大いに楽しんでいた

このことが損害の規模をより大きなものにした


海外の投資家は既に資本を移動させていたために

損害を被る前に資産の確保へと奔り

知らなかったのは日本人だけだった

ということが後処理の着手に失敗させ

96年度の予算で漸く対応策を実施した

このとき生じた不作為の三年

とそれを含む無知のままの七年

という期間の関与が失われた十年

へと結びつき

それが現在まで続いている


大きく膨らんだ泡に針孔を空け

国会の成員すべてが関わって

ぶっ潰してしまったというそのことが

バブルの崩壊に気付かなかった国民

に損失を抱え込ませることとなる


海外投資家勢力となっていた一群は

過剰流動性の仕向け先

をタイへと変更し

バーツ危機を意図的に誘導しようとしたのだったが

問題の本質を認識していたタイ政府の判断で失敗し

強烈なバーツ売りを浴びせたものの

バブル経済をタイで発生させることには失敗した

その後過剰流動性の運用で

巨利を得ていた同じ投資勢力は

余勢を駆って韓国市場で

過剰流動性の運用を試みたものの

再び失敗して

朝鮮半島の下半分を

IMFの管理下に置くという経過を残した


こうした経済事案に関わる変化のはすべて

にドルの過剰流動性が関わっていた


供給し過ぎて余らせたドル

の行き場を模索していたアメリカが

オバマ民主党政権の時代に

その仕向け先を中国へと統一し

ドル安政策を中国大陸で大々的に行ったのは

人民元の通貨価値を高めるための戦略が

ドルの大量流入を中国大陸で引き起こす

ことが分かっていたからだった

その頃から過剰流動性の有望な仕向け先

として中国を利用できると

アメリカはそう思い込んでいたようだ


アメリカがプラザ合意後

日本でやった行為

とまったく同じ方法で

余ったドルを中国市場へと

繰り返し再投資していったことにより

ドル余り現象の有害性を希釈しながら

積み上がったドル資産を用い

世界市場全域でビジネス展開していた

あらゆる組織が行動方針を統一し

中国市場でドルの組織的な安売り

を発生させて

人民元の通貨価値を執拗に高めようと

企てていた痕跡が残されている


共産党政府に圧力をかけるためのこの措置は

日本でドル安政策を有効化した実績をもち

中国でも応用展開することが可能だ

とアメリカが踏んだことによって

過剰流動性を希釈しながら

新市場の創出を誘導することに使える

と確信させた


世界最大の生産基地を中国に作りだせば

同時に世界最大の消費市場もついてくる

という見通しを世界中に拡散させた


ドルを手段とするアメリカの投資勢力は

日本市場でバブル創出に関わって

多くのことを学びとり

中国でも同じ手法が使えるだろうと

多寡をくくっていたフシがある

状況証拠となった記録が

ニュースメディアに分散状態で残されている


このような文脈を経た上で

中国共産党政権が

押し付けられたドル安政策に対抗しようとして

人民元安政策を積極的に推し進めた

ということが

中国をたったの三年で

日本を追い越して世界第二位の

債権保有大国へとのし上がらせた


既存の機軸通貨となっていた

ドルに代わる新しい機軸通貨を

人民元で代行し

中華思想を前提にした世界市場の再編

を人民元で推進するための

伏線とする多くの戦略が

当時熱心に練り上げられていた


覇権を握るための基礎となる

プラットフォームをAIIBに

作り出させはしたものの

人民元の通貨価値を支えているのが

現状でドルとなっている以上

人民元がドルの後を襲って

第二の機軸通貨となろうとしても

それは無理

下位の通貨に機軸となる条件は

本質的に備わらない


外貨準備としての裏付けとなる担保

が希薄なままであるのなら

そもそもドルにとって代わろうとすること自体

明らかな不遜であろう


中国がもっているのは巨大な消費市場と

5Gがつくりだす

濃密で迅速なネットワーク機能

そのためのインフラ基盤としての

プラットフォームが成り立っていなければ

覇権を握ることは

そもそも不可能


人民元を大量に供給する能力があるにせよ

活用しなければ中国が望む覇権の掌握

は実現しない

債権を増やすことができなければ

すべての国を中国の意向に従わせる

ことはできない


生産設備を中国大陸から移せば

経済機能は円滑に回る能力をたちまち失う

消費市場がどれほど巨大な規模に成長できたとしても

生産財と資本財がそこに不在であるのなら

市場に中間財が積み上がる

ようなことはおきない


原油相場のこのところの急落は

中間財としての原油備蓄が重荷となったことにより

先物市場でマイナスの価格をつけた

日本で起きたバブル経済の消滅は

土地を仕入れて一定期間放っておけば

市場価格は勝手に値上がりしていき

不労所得を簡単に堪能できたことが

できなくなったことが引き起こした

総量規制で新規の借り入れができなくなった

からである


急いで売ることがつまり損となる

バブル時代の共通理解

当時が一般化したことによって

売り物が手控えられていたところに

購入希望者が増えつづけ

売却を希望する売り手も減り

土地の希少価値を時代が高めた


売却時点での価値を

売り控えが高める

という循環が定着するようになり

投資が投機へと発展していった

こうして最終的にバブルの膨張が

勝手に走り出してしまったのだった


原油相場ではいま

これとはまったく反対の状態となっていて

価格調整をするための緩衝装置が機能せず

これ以上中間在庫を膨らませることが不可能

という状況へと陥った

これが原油先物相場に

マイナスの取引価格を成立させた


何でもそうだがバッファが機能不全になると

なりたっていた循環がたちまち反転し

負の相乗効果を全体へと押し付ける


そこで損失を蒙った欲の深い連中が

変化の意味に気付かないまま

投資意欲を高めた状態となり

原油生産能力の保持

がマイナスとなる仕組みを生み

調整が必要となる結果となった


バブル経済を成り立たせているその背後には

必ず調整用の中間財の関与

という項目が必須条件となっている

バブルの崩壊を予見したなら

メカニズムの破綻を

中間在庫のバッファがどう防ぐのか

という要素を考慮しておくことが

最も必要な措置となる

ここが分かっていなと

巨額の損失を蒙らざるを得なくなる


だがその判断が不健全なものであったなら

欲の深さが災いし

所望の成果は何一つ

得られない


これは商取引や教育の現場などの

競争社会全般でも

往々にしてみられる

とても一般的な法則に過ぎない


人民元の大量供給を大々的にやっていながら

正当派経済学者が懸念しているインフレは

中国市場でおきたことが一度もない

この点でMMTの認識レベルは

既存の経済理解を

はるかに凌駕したレベルとなった

MMTを批判した正統派一同が

如何に蒼古たる経済理論にしがみ付き

判断を

これまで大きく誤ってきたことか

日本で実施されているアベノミクスも

同じ結果を

これから引き受けることだろう


通貨発行権を適切に応用すれば

定額給付を何度行っても

問題はなく影響もない

但し

国債をそこに関与させると

金利を受け容れることとなり

それがインフレ要因となることがある

やるべきことは

国債の増発などではなく

日本銀行券の単なる増刷

ということでなければならない

日銀が通貨供給量を監視することに徹し

行政が税収として

流動性を回収するというメソッド

が将来採用されるようになるだろう

MMTからMMMへとシフトする

という変化が世界を救う

可能性が出現してきた


国債の形式を踏んだ

という過去の誤った経済政策のすべてが

財務体質を劣悪化させた

その張本人

通貨価値は予め決まっていて

支出がなければ

利益はなく

消費がなければ

経済成長もない

という事実を知っていてよい頃だ


通貨価値は当該国に於いて

常に一定であることから

誰が支払ったとしても

買い手の利便は

売り手の利益

という関係を成り立たせる

これを繰り返す行為の連鎖が

富を生みだすその根源

通貨が人の手を経る毎に

利益と利便が発生し

経済が回る世の中になってゆく


これこそが経済を知るための

本質的与件

百円玉を失くしたら

持ち主にとっては単なる損失だが

国家にとっては

数万倍以上の利益創出の機会喪失

という結果を招く

資本の滞留は損失しか生みださない


その昔 鎌倉幕府の役人で

青砥藤綱というヒトが

自宅へと戻るその直前に

銅銭十文一枚を

滑川に落としたことがある

そこで松明を五十文で贖わせ

水中を捜索して回収した故事が

碑文となって

旧宅近くの川べりに建てられた

差し引き四十文の損と笑われたということなのだが

このたった一枚の銅銭が

人手に渡る度毎に十文の価値

を繰り返し生むこととなる

消費者にとっては便益を

売主にとっては利益を

それぞれ同時に与えることになる

例え少額であったにせよ

貨幣が存続する以上

それが人手を移動する度に

価値を生みだし

富として蓄積される

このため

貨幣を減らすことなく流通させることこそが

繁栄の礎であることを

八百年前の時代に

よく認識していた人物が日本にいた

ということにエコノミストは

謙虚になって学ぶ必要がある筈だ


お金のことをお足

と呼ぶ習慣が残されたのには訳がある

当時生活していた人々が

現在の正統派経済学者より

通貨価値の移動がもつその意味

について

より深い認識をもっていた

ということを青砥藤綱が

鎌倉時代に証明していた

ということになる


JR横浜線の中山駅の近くに

鶴見川が流れている

青砥という名の橋がそこにある

多分この辺りが

彼の領地だったのではなかろうか

墓は金沢区の寺にあるとされるが

鎌倉幕府の記録に彼の名が見えない

ということが実在の人物ではない

とする異見を残した



※この部分については以前、この欄外に既述しておいたものがある
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