司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

社会福祉法人等の代表権を有する理事の変更の登記の取扱いについて

2010-09-09 20:09:06 | 法人制度
 先般お知らせした大阪管区における標記取扱いの変更について,「議事録署名人型の理事会議事録」も理事の互選を証する書面として認めるという従前の取扱いに復することになった。

cf. 平成22年7月1日付「社会福祉法人等の代表権を有する理事の変更の登記」


 なお,「互選」の意味は,「構成員の中から互いに選挙して選ぶこと」であり,したがって,必ずしも過半数の支持を得る必要はなく,最高得票を得たものであればよい,という指摘を知人から受けた。

 例えば,10人の理事が理事長を互選する場合に,3人の立候補があり,Aに4票,Bに3票,Cに3票という結果だったとき,最高得票を得たAが理事長に選ばれるということでよいはずだ,というのである。

 定款の規定に基づき,理事が理事長を互選することは,理事の職務ではあるが,業務の決定ではないから,社会福祉法第39条の適用は受けない。したがって,代表者の選定について,単に「理事の互選による」旨の規定である場合,必ずしも理事の総数の過半数に当たる賛成に基づく必要はないと考えられる。

 通常は,候補者1人の信任の決定なのであるが,この場合も有効票(欠席者は除かれる。)の過半数の賛成があればよいはずである。「理事の総数の過半数に当たる賛成」が必要というルールを設けるとしても,それは,内部自治の問題であって,登記実務が要求すべきものではない。

 十分成り立つ見解であると思われるが,いかがであろうか。
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会社の合併と労働契約~従業員も債権者?

2010-09-09 14:51:43 | 会社法(改正商法等)
 株式会社の合併において,労働契約が問題とされることは少ないようである。しかし,従業員も,合併における「知れている債権者」として,債権者保護手続の対象になる場合があり得る。

 この点に関して,学説においては,労働契約における将来の賃金債権については,支分権たる金銭債権が具体化していない以上,弁済,担保提供,財産の信託の方法により保護し得る債権を有するものにあたらない,と解されているようである。

 電力の継続的供給債権者が「知れている債権者」に含まれる,とする大審院時代の判例もあるようであるが,学説は,概ね,将来債権の債権者は,「知れている債権者」に含まれない,と解しているようである。

cf. 江頭憲治郎「株式会社法(第4版)」(有斐閣)639頁
   「会社法判例100選」(有斐閣)177頁

 ところで,株式会社が従業員に対する給料の支払を遅滞している場合には,当該従業員が「知れている債権者」に含まれるのはもちろんである。また,時間外労働手当ての支払が過少である場合にも,やはり,当該従業員に対して,「知れている債権者」であるとして,催告すべきということになるであろう。

 従業員が「知れている債権者」に含まれる場合で,各別の催告が必要なケースであるときであっても,従業員債権者に対して,「知れている債権者」として催告がされる例はほとんどないと思われるが,これは,合併の無効事由となり得る(江頭憲治郎著「株式会社法(第3版)」(有斐閣)809頁)。

 「知れている債権者」とは、債権者が誰であり、その債権がいかなる原因に基づくいかなる内容のものかの大体を会社が知っている債権者(上掲・639頁)をいうから,時間外労働手当てが未払いの従業員債権者もこれに該当すると言ってよいであろう。

 よって,上記従業員債権者は,異議を述べることができるわけであるが,異議を述べた従業員債権者に対して,株式会社が会社法第799条第5項本文等の所定の手続を適切にとらないときは,従業員債権者としては,合併無効の訴え(会社法第828条第1項第7号,同条第2項第7号等)を提起することが考えられる。すると,当該会社としては,弁済(未払賃金等の支払)を余儀なくされることになる。
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高齢者の戸籍の職権消除(3)

2010-09-09 11:15:13 | いろいろ
琉球日報記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100908-00000004-ryu-oki

 法務省が,全国の法務局等に対して,戸籍の附票に住所の記載がない120歳以上の高齢者を戸籍上「死亡」とする,高齢者消除を行うよう通知を発出したようである。
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