司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

子の強制的な引渡しと間接強制(最高裁決定)

2022-12-05 21:10:50 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和4年11月30日第3小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91563

【判示事項】
子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

「家庭裁判所の審判により子の引渡しを命ぜられた者は、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、子の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ、合理的に必要と考えられる行為を行って、子の引渡しを実現しなければならないものであり、このことは、子が引き渡されることを望まない場合であっても異ならない。したがって、子の引渡しを命ずる審判がされた場合、当該子が債権者に引き渡されることを拒絶する意思を表明していることは、直ちに当該審判を債務名義とする間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないと解される(最高裁平成30年(許)第13号同31年4月26日第三小法廷決定・裁判集民事261号247頁参照)。」
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法務大臣閣議後記者会見の概要「同性婚をめぐる訴訟に関する質疑について」ほか

2022-12-05 17:02:55 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年12月2日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00361.html

〇 同性婚をめぐる訴訟に関する質疑について
【記者】
 先月30日に、東京地裁で同性婚をめぐる訴訟で、法制度がないのは違憲状態、一方で憲法には違反しないという判決がありました。判決の受け止めと、今後の対応があればお願いします。

【大臣】
 本件は、同性のパートナーとの婚姻を希望する原告らが、日本で同性同士の婚姻が認められていないのは憲法に反するとして、国に損害賠償を求めた事案であると承知しています。
 お尋ねの判決におきましては、原告らの国に対する請求は棄却されたものの、その理由中において、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは憲法24条2項に違反する状態にあるが、どのような法制度を構築するかは立法裁量に委ねられているので、婚姻に関する民法等の諸規定が憲法に違反するものではないとの判断が示されたものと承知しています。
 国が勝訴したため控訴することができませんが、現段階では確定前の判決であり、また、他の裁判所に同種訴訟が係属していることもありますので、その判断も注視してまいりたいと思います。


〇「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」の閣議決定に関する質疑について
【記者】
 昨日閣議決定された「救済新法」に関してお伺いします。昨日閣議決定されましたが、新法の中には、法テラスの強化など法務省に関わる内容も入ってきています。今後、法案成立に向けてどのように取り組んでいきたいかということと、今回の新法が正式に公表されましたけれども、内容についてお考え、期待などがあればお伺いします。

【大臣】
 新法については、法人等からの寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護等を図る観点から、例えば、法人等による不当な寄附の勧誘を禁止し、当該不当な寄附の勧誘を行う法人等に対する行政上の措置等を定めるとともに、寄附の意思表示の取消しの範囲を拡大し、扶養義務等に係る定期金債権を保全するための債権者代位権の行使に関する特例を創設する等の措置を講じられることとなっています。
 私としては、先日国会に提出されております消費者契約法等の改正法案と共に社会的に許容しがたい悪質な寄附の勧誘行為を規制するものであり、両法案により、被害者救済・再発防止のための実効性ある法整備が図られるものと考えています。
 私どもとしては、まだ国会審議前ですので確定的なことは申し上げられませんが、この法律案の中で、お困りの方が法律上の権利の適切な行使により被害の回復等を図るために、法テラスと関係機関・団体等との間で連携を図り、利用しやすい相談体制の整備等必要な支援策を講じることは重要であると認識しているところです。
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