「もっと、マネジメントに徹したらどうですか?」
40代前半の現役サラリーマン時代、同僚にこう言われたことがあります。彼も別のプロジェクトで私と同じくプロジェクトリーダーをやっていました。
痛いところを突かれた、という顔を私がしたのでしょう。彼は、とりなすかのようにこう続けました。
「いやなに、一人で仕事を抱え込んでいるように見えたもんですから、・・・。」
彼の指摘通り、仕事を抱え込み過ぎて私が身動き取れなくなっていたのは事実でした。かと言って、経験不足の部下たちに任せ切るのは荷が勝ちすぎるというもの、とも思っていました。
恐らく、彼にはそれがハッキリ見えていたのだと思います。このときの苦い思い出は、いまだに心に引っかかったままです。
ところでつい最近、長男が久々に我が家に遊びに来て、かつての出来事を思い出させてくれました。
そのとき長男は、
「会社の売り上げ全部は、自分が稼いだものなんだ!」と、大層な大口を叩いていました。
自分を大きく見せようとするのは、自分自身に自信のないことの裏返し。この言葉に、私は少なからず危うさを感じました。
「仕事を、ちゃんと部下に任せているのか? 」と、聞いてみました。
更に続けて、
「よい時こそ将来に備えておくものだ。一人で抱えていると直に身動き取れなくなるぞ。」
長男の反応から見て、これは図星だったようです。結構アルコールが入っていた長男は、こう挑むように絡んできました。
「じゃ、どうやったらいいか教えてよ!」
これに対し、私はこう答えてあげるしかありませんでした。
「組織って、優秀なヤツが2,3割、ダメなヤツが3割、
残りはどっちにも転ぶ輩なんだよ。
この法則はどんな組織でも当てはまる。
少し嫌なヤツでもモノになりそうな社員がいたら、
そいつに任せて自分のクビを賭けてみるしかないんじゃない?
たとえうまくいっても、遊びほうけるんじゃないよ!」
私は、人に仕事を任すのが不得手です。人を信じることができないのか、自分で結果責任全部を背負う覚悟がないのか? それは、今でも変わっていません。
そんな私ですから、仕事に薄々不安を抱える息子に贈れる言葉と言ったら精々この程度。薄ら寒い助言だけなのです。
長男は40代前半。社員50人ほどの小さな会社で営業担当の役員をやっています。どうやら年齢的に、営業での突撃隊長ばかりか管理職としてのマネジメント手腕が問われる歳になったようです。
我が息子には、できれば肝の据わった管理職になって欲しい。その一方で、部下に仕事を全部任せて遊びほうける管理職にはなって欲しくないのです。
これは、管理職のできそこないだった父親の、身の程を弁えない、虫のいい無い物ねだりなのでしょうか?
この世の中、結果責任を負うと言っても高だかクビになるだけ。ところがドッコイ、これが何とも怖いのです。まぁ、要所々々を抑えて置きさえすれば滅多なことにはならないはずですが、ネ。
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