またまた性懲りもなく、人気のない悪文見本市です。今回は、「再びPAWS(急性離脱後症候群)について(上)」(2016.2.12投稿)から題材を取り上げました。
私の記事を読んで下さっている方で、アルコール依存症(アル症)に悩んでおられる方がどれだけいるのかわかりません。この病気は、断酒を始めてからの方が精神的に辛く、特に断酒後の2~3年が勝負だと思います。
何気ない人の言葉にイライラしたり落ち込んだり、そうかと思えば妙に落ち着いた気分になって早くも回復したと勘違いしたり、そんな躁鬱の気分の揺れが大きいのがこの時期です。しかもこれは誰もが必ず通過しなければならない関所のようなものです。よく言われる “生きづらさ” は、この時期を経て初めて理解できるものかもしれません。
この時期に通底するのが広い意味の記憶障害で、中でも想起障害がPAWSと総称される大部分の障害の共通した要因ではないかと考えています。この時期に強く自覚される “認知のゆがみ” も今ではこの想起障害のせいだろうとも考えています。
このような悩みを抱えているアル症の方々と経験を分かち合い、少しでもお役に立てればという一念から、私は自分の経験を自分の言葉で記事にしているつもりです。どうかこの気持ちに免じて元記事についてもお読みいただければと思います。
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【事例56】
「アルコール依存症のPAWSは、・・・(中略)・・・。異常と自覚しないまま過ごしていることが多いと思います。後になって気付くことが多いので、自覚症状として医師へ訴えることが少なく、そのためPAWSが見逃されがちではないかと懸念しています。依存症が再発して再飲酒してしまった・・・」
↓
「アルコール依存症のPAWSは、・・・(中略)・・・。異常と自覚しないまま過ごしていることが多いと思います。ずっと後になって気付くことが多いので、医師に相談せずに済ましている患者が少なくないのでは(?)と私は睨んでいます。こうしたことから、再飲酒して再発と認定された・・・」(2018.6.02改訂)
例文の下線部分は、主語が省略されていてまるで古文のような趣ですが、まぁこのままでも意味が通じるとは思います。第一文節と第二文節の主語は患者、第三文節の主語は実はPAWSではなく「私」であって、主語に捻れがあります。
第一文節と第二文節の間に打った読点が曲者で、どうしても遠くに係っているように見えてしまいます。ここは主語が同じですから読点を打たないで済ますか、うまく遠くに係るよう第三文節を工夫するかのどちらかだと思いました。
次に、私が違和感を持ったのは、「自覚症状として医師へ訴える」と「見逃されがちではないかと懸念」の部分でした。
患者が後付けで医師に症状を話すのなら、「訴え」ではなく「報告」の方が相応しいですし、PAWSに精通している医師が「見逃す」はずがないので「懸念」も不適切です。この第三文節の主語は「私」ですから、むしろ「睨んでいる」の方が相応しいと考えました。
以上のことから改訂文のように手直ししてみました。いかがでしょうか?
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【急性離脱後症候群(PAWS)】
症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を
理解できない)
○ 情動障害(情動の揺れ)
○ 記憶障害(短期記憶の障害)
○ 睡眠障害
○ 身体的協働性に問題
○ ストレス感受性に変化(おそらく認知障害“認知のゆがみ”の意味:筆者追記)
(アルコール依存症専門クリニック教育資料より)
その障害の一つ “思考プロセス障害” では、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどが知られています。私の経験から言えば、 “思考プロセス障害” は次の3点に言い換えできるでしょうか。
● 脳が混乱して疲れやすく、よくストライキを起こすこと
● まとまった文章を書こうとすると、なかなか考えがまとまらないこと
● 使うべき助詞、所謂 “てにをは” の適切な使い方に迷うこと
さらにより具体的に挙げれば、“遠回りする思考”、“助詞の使い方の混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などとなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)の失念” ということに要約できます。
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私の記事を読んで下さっている方で、アルコール依存症(アル症)に悩んでおられる方がどれだけいるのかわかりません。この病気は、断酒を始めてからの方が精神的に辛く、特に断酒後の2~3年が勝負だと思います。
何気ない人の言葉にイライラしたり落ち込んだり、そうかと思えば妙に落ち着いた気分になって早くも回復したと勘違いしたり、そんな躁鬱の気分の揺れが大きいのがこの時期です。しかもこれは誰もが必ず通過しなければならない関所のようなものです。よく言われる “生きづらさ” は、この時期を経て初めて理解できるものかもしれません。
この時期に通底するのが広い意味の記憶障害で、中でも想起障害がPAWSと総称される大部分の障害の共通した要因ではないかと考えています。この時期に強く自覚される “認知のゆがみ” も今ではこの想起障害のせいだろうとも考えています。
このような悩みを抱えているアル症の方々と経験を分かち合い、少しでもお役に立てればという一念から、私は自分の経験を自分の言葉で記事にしているつもりです。どうかこの気持ちに免じて元記事についてもお読みいただければと思います。
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【事例56】
「アルコール依存症のPAWSは、・・・(中略)・・・。異常と自覚しないまま過ごしていることが多いと思います。後になって気付くことが多いので、自覚症状として医師へ訴えることが少なく、そのためPAWSが見逃されがちではないかと懸念しています。依存症が再発して再飲酒してしまった・・・」
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「アルコール依存症のPAWSは、・・・(中略)・・・。異常と自覚しないまま過ごしていることが多いと思います。ずっと後になって気付くことが多いので、医師に相談せずに済ましている患者が少なくないのでは(?)と私は睨んでいます。こうしたことから、再飲酒して再発と認定された・・・」(2018.6.02改訂)
例文の下線部分は、主語が省略されていてまるで古文のような趣ですが、まぁこのままでも意味が通じるとは思います。第一文節と第二文節の主語は患者、第三文節の主語は実はPAWSではなく「私」であって、主語に捻れがあります。
第一文節と第二文節の間に打った読点が曲者で、どうしても遠くに係っているように見えてしまいます。ここは主語が同じですから読点を打たないで済ますか、うまく遠くに係るよう第三文節を工夫するかのどちらかだと思いました。
次に、私が違和感を持ったのは、「自覚症状として医師へ訴える」と「見逃されがちではないかと懸念」の部分でした。
患者が後付けで医師に症状を話すのなら、「訴え」ではなく「報告」の方が相応しいですし、PAWSに精通している医師が「見逃す」はずがないので「懸念」も不適切です。この第三文節の主語は「私」ですから、むしろ「睨んでいる」の方が相応しいと考えました。
以上のことから改訂文のように手直ししてみました。いかがでしょうか?
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【急性離脱後症候群(PAWS)】
症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を
理解できない)
○ 情動障害(情動の揺れ)
○ 記憶障害(短期記憶の障害)
○ 睡眠障害
○ 身体的協働性に問題
○ ストレス感受性に変化(おそらく認知障害“認知のゆがみ”の意味:筆者追記)
(アルコール依存症専門クリニック教育資料より)
その障害の一つ “思考プロセス障害” では、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどが知られています。私の経験から言えば、 “思考プロセス障害” は次の3点に言い換えできるでしょうか。
● 脳が混乱して疲れやすく、よくストライキを起こすこと
● まとまった文章を書こうとすると、なかなか考えがまとまらないこと
● 使うべき助詞、所謂 “てにをは” の適切な使い方に迷うこと
さらにより具体的に挙げれば、“遠回りする思考”、“助詞の使い方の混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などとなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)の失念” ということに要約できます。
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