黒鉄重工

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九州project ~The Last Domestic Journey. その4 【2014/09/27~30】

2015-03-01 20:09:15 | 旅行・イベント記

鹿児島港を出発して1時間ほどで、次の目的地「万世特攻平和祈念館」(南さつま市加世田)へと着きました。
名前通り神風特別攻撃隊に関した資料館です。特攻記念館というと知覧のそれが有名ですが、ここにもあるんですね。あまり有名ではない模様。自分も今回行くに際して初めて知りました。

建物は「赤とんぼ」と呼ばれた複葉練習機を正面から見た感じになっているとのこと。確かにそんな感じやね。



この祈念館は、かつての帝国陸軍万世飛行場跡地に建てられたものです。
万世飛行場は、運用増により支障をきたすようになっていた陸軍知覧飛行場の補助として、昭和18~19年にかけて吹上浜に急造された飛行場です。
飛行場といっても、地面を均して固めただけの簡素なもので運用期間も昭和20年3~7月とごく僅かであったため、当時を伝えるものはほとんどなく幻の飛行場とも呼ばれています。
それでも、この飛行場から201人の特攻隊員が飛び立ったと言われています。



館内で目を引くのがこれ。零式水上偵察機です。巡洋艦や戦艦に搭載されている水上機ですね。零戦とは違います。偵察・哨戒・攻撃・連絡・救難とあらゆる活躍を見せたワークホースといえる水上機です。
展示機は一一乙型であるとされていて、レーダー(話しによれば八木アンテナ)や自動操縦装置が装備された珍しい個体です。また、零式水偵唯一の現存個体のようです。



この個体は、海軍第六三四航空隊・偵察三○二飛行隊所属だったもので、昭和20年6月4日に福岡から沖縄方面の夜間偵察に行き、帰投中に敵機の追撃を受け応戦後、燃料切れにより吹上浜沖合に不時着水しました。
同機は水没しましたが、平成4年8月に引き上げられここにやってきました。
なお、水偵の搭乗員3名は全員生還し、そのまま終戦を迎えたとのことです。また、当機が47年ぶりに引き揚げられた時には対面もしたそうです。



そんなエピソードもあってのことか、当地では砂に埋もれた状態で展示されています。修復は、クリアコートによる劣化防止を施された以外は引き上げられた時のままのようです。
貴重な零式水偵の現存個体、修復してほしいという気持ちはありますが・・・。



3人乗りの水上機なので細長いという印象です。



零式艦上戦闘機五二型丙の20mm機銃(上)と13mm機銃(下)。同じ吹上浜で引き揚げられたものです。驚くほどよく形を留めています。



展示品で驚いたのが、この増槽。なんと竹製。陸軍が戦争末期に装備していたものです。絶対正規装備じゃない・・・。
落下式の使い捨て装備なので、金属なんて使ってられなかったってことなんでしょうか?追い詰められすぎぃ。



ああ、本当に竹だよ。よくもまあ。ちなみに外装は厚手の和紙、内張りは特殊な塗料とのこと。



2階は特攻隊員の写真や遺書、血書などなど。
有名な子犬を抱いている特攻隊員の写真もありました。あれに写っている隊員達は万世から飛び立ったようです。知覧じゃなかったのね。

小さい資料館ですが、幸か不幸か来館者が少ないので、知覧と比べて静かに落ち着いて見学することが出来ます。零式水偵も一見の価値があります。



祈念館の裏にある物産店で昼飯。調子乗ってカツ丼頼みましたが、量が多いな・・・。これが後で響くことに。



最後に万世飛行場の数少ない遺構である営門跡を見学。
当時は武装した衛兵が24時間立哨していました。また、飛行場への出入りはすべてここからでした。



通用口(?)側。表札があったような気のする錆垂れが見えますねえ。

万世を後にし、次の目的地に向かいます。


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