黒鉄重工

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東北project~Trains' last tour. その2【2017/10/7~8】

2020-04-04 22:15:32 | 旅行・イベント記

しばし山形新幹線を撮影後は山形交通高畠線の廃線跡走行に復帰します。前回書いた通り高畠線は廃線跡が遊歩道になっていて、私はそこを自転車走行しています。
写真は曲線の部分を道路が横切っているところで、これは踏切の跡です。道路同士の交差点だと中々こういう線形にはならず、鉄道と道路の交差特有のものです。これだけあからさまだと、この道が廃線跡という事前情報無しでも察することが出来ますね。

一応、山形交通高畠線について少し。山形交通とは今まで接点のない人生でしたのでネットに書かれていること以上のことは書けないので少し。
元は高畠鉄道が建設した路線で、開業は1922(大正11)年3月16日、廃止は1974(昭和49)年11月18日。糠ノ目(現・高畠駅)~二井宿10.6kmの路線でした。
開業時の高畠は製糸業が盛んだったのでその製品の輸送用に建設された路線でした。1929(昭和4)年に電化し、貨物輸送も多品目を運びましたがトラック輸送への切り替えと1966(昭和41)年の水害による半分の区間の不通からの廃線が影響して、全線廃止になりました。

今回は糠ノ目~高畠間をチャリで走ります。



高畠駅から約3km地点。これもあからさまに痕跡が残っている地点ですね。駅だったところです。島式ホームが残っているのが分かるでしょう。
ここは旧竹ノ森駅です。ここが最初の途中駅かと思ったら実は2駅目で、途中にあった一本柳駅を見逃していたようです。あまり痕跡が無かったしやむ無し。



プラットホームには生け垣が植わっていますが、土台は当時のままでしょう。



途中は基本的に田んぼの中を突っ切っていきます。秋の風物詩、稲木がありました。この干し方は初めて見たので写真に撮りましたが、棒掛けというのですね。



平地に唐突にある山。まさに山。山の名前は相森山です。



右手に池が見えてくれば目的地はもうすぐそこです。



着きました、「高畠広場」こと旧高畠駅です。JR高畠駅から約5km。ややこしいですが、今のJR高畠駅は1991(平成3)年に糠ノ目駅から改称したものです。東海道線の鈴川駅→吉原駅みたいな感じですね。
で、旧高畠駅には高畠線で使われていた電車、貨車、電気機関車が3台も保存されているのです。これを見に来ました。



順番に見ていきましょう。これはモハ1形電車。1929(昭和4)年電化時に導入された日本車輌製13m級の自社発注車です。ただし1959(昭和34)年に車体更新しているので、見た目は確かに50~60年代っぽい。
とはいえいかにも地方の小私鉄という風貌です。



特徴がないのが特徴の三面窓。鉄道模型の自由形電車みたい。



車内には入れないですが、車体はとてもきれいに維持されています。正直驚きました。



運転室はこんな感じで半室構造。



客室はロングシート。車内もキレイそうです。



パンタグラフ。目立つ欠品が見当たらないのもすごい。



台車はちょっと見たことのない形状をしています。鉄道省のTR23になんとなく似ていて、TR23を小型軽量化したような見た目をしています。



ワム201号。鉄道省ワム23000形と同型車のような気がしますが詳しいことは不明。
保存車の中でも貨車は基本的に冷遇される立場ですが、よくぞ残りましたね。貨物輸送で賑わっていたことを示す高畠鉄道の証人です。中々貴重な現存例だと思います。



ED1号機電気機関車。電化時に川崎車両で製造されました。なんか既視感があると思ったので帰ってから当たってみたら、今は上毛電鉄にいるデキ3021号機と同型機でした。



大変好ましい凸型電気機関車。



1950年代にED2号機を増備するまで、これ1機で貨物輸送を担っていたそうな。故障時や検査時はどう凌いでいたんだろう・・・。電車か電化前使っていた蒸気機関車あたりを代理の牽引機にしていた?



中小私鉄の、しかも貨物鉄道主体の路線で電化しているのは当時としては珍しいはずで、結構需要旺盛で収益も多かったのでしょうか?



車内は年月が経っている割によく残っているのではないでしょうか。



パンタグラフとか。
現役時は切り抜き文字でED1の文字が貼られていたんですが、今は無いです。



線路は周りの地面よりも一段下がった高さにあります。恐らく元あった線路を利用しているのでしょう。
線路の周りはプラットホーム風になっていますが、これが当時からのものなのか新しく建てたのかはちょっと分からないです。



以上、高畠線の保存車両でした。
廃線から40年以上経っていることを考えると、とても良い状態で維持されていると思います。廃線になった地方私鉄は10年も経つと忘れ去られて保存車も段々荒れていって・・・ということが往々にしてありますが、ここはそんな事は感じさせない様子です。
2014(平成26)年には屋根も追加工事されたみたいで、東北地方特有の雪害にも対策できたと言えます。屋根工事後に車両にも手入れが入ったと思われ、外観も良好です。
40年以上経ってなお市民に親しまれる保存車両はありふれたことではないです。3台とも末永く親しまれるといいなと思いました。

・・・と軽く締めてしまいましたが、まだ見るものがあります。しかし今日はここまで。