Lester Swings Again/Lester Young
(Verve MGV-8181)
(Verve MGV-8181)
先日ズート・シムズをアップしましたがこの年代のサックスプレーヤーがこぞって目標に置いたのがこのレスター・ヤングでした。レスターと対をなすテナー サックスプレーヤーにコールマン・ホーキンスがいますが,いつもこの2人は比較して論じられることが多いですよね。豪放な男性的トーンでせまるホーキンス に比べ,やや小さめのクールなトーンですがフレーズが革新的なレスターのテナーは両極端のスタイルであったともいえます。デクスター・ゴードンやワーデ ル・グレイ,スティット,ロリンズなど黒人サックスプレーヤーの中では”ホーキンスの音色+レスターのフレーズ”が一つの目標だったようですね。それに対 し白人プレーヤーの方は、ゲッツ、ズート,リー・コニッツ、ブルー・ムーアなどほとんどがレスターの追従者でありました。
さて、本日アップするレスターのアルバムは,油の乗り切ったVerve、正確にはクレフ時代の録音です。3つのリズムセクションがバッキングをつとめる ワンホーンアルバムで彼のサックスプレイを堪能するには格好のスタイルです。オスカー・ピーターソンのグループ【Ray Brown(b), Barney Kessel(g), J.C. Heard(ds)】のバッキングと,ジョン・ルイスのピアノを中心とする2つのトリオ【Joe Shulman(b), Bill Clark(ds)とGene Ramay(b), Jo Jones(ds)】のバッキングが聴かれます。この頃のピーターソンは言うに及ばず,ジョン・ルイスも難しいことはやらずスウィンギーな演奏に終始して います。演奏曲はスターダストや9月の雨などのスタンダードと"Lester Swings", "Pete's Cafe", "Slow Motion Blues"など彼のオリジナルで構成されていますが、特にスターダストはこの曲の名演に入れても良いような演奏で,クールなレスターのバラードプレイは 最高です。
Verveのクレフシリーズのトランぺッター盤、当然モノラルで素晴らしい音で収録されています。テナーを吹くレスターをやや下から狙ったカットとロゴのバランスがすばらしいジャケットもポイント高いと思います。