Jordu/Duke Jordan
(Vogue YX8019 jp reissue)
(Vogue YX8019 jp reissue)
ジョードゥというと幾度となく数多くのプレーヤーによって演奏されて来たジャズスタンダードの名曲です。もちろんこのタイトルは今日の主役デューク・ ジョーダンの名前の頭をとって逆にしただけであることは皆さんご存知のとおりです。ローチ・ブラウン,パウエル,ポールウィナーズ、バルネ・ウィラン等今 すぐ思いつくだけでもこんなに名演が多いジャズスタンダードはモンクのラウンドアバウトミッドナイトを除けばそうあるものではありません。これのオリジナ ル録音を含む初リーダー盤がこのヴォーグ盤です。プロデューサーはフランスを代表するピアニスト,アンリ・ルノーですよね。彼はこの時代,アル・ヘイグや ジョージ・ウォーリントン,ブラウニーのヴォーグ盤などアメリカの名だたるジャズメンを欧州に紹介したことでもその功績は十分に評価されるものです。
メンバーはジョーダンのピアノ,ジーン・ラミーのベース,リー・アブラムスのドラムのトリオです。リーのドラムがやや荒削りな印象ですが,Jorduを はじめ、Scotch Blues, Embraceable You, Darn That Dream, そしてThey Can't Take that Away From Me等、後の彼の重要なレパートリとなる曲をじっくりと弾いている感じが伝わってくる初リーダー盤らしい演奏だと思います。哀愁漂うフレーズ、それでいて 明快なタッチと彼の演奏,コンポーザーとしての魅力が横溢した仕上がりです。この辺りの曲はシグナル盤と重複がみられ、取り上げられた曲への彼のなみなみ ならぬ思いも感じられます。70年代,彼はスティープルチェイスから復活ののろしを上げ,フライトツーデンマークで再認識される訳ですが,80年台後半に 彼のソロライブを聴いたことがあります。会場は高知のアルテックというジャズ喫茶でしたが,鍵盤を叩く動きが見えるぐらいの至近距離でした。予想していた より大きな体躯,大きな手の持ち主で、やはり前記のパートリーやno problemを聴かせてくれました。病気のためか足が少し不自由な感じで、しわがれ声で淡々と曲を紹介しながら弾いていく彼の姿を見ていると痛々しい所 もあり涙が込み上げてくる感じでした。自分のfavorite pianistの一人です。
当然の国内再発盤(東宝レコード)です。もう半世紀以上前になりますが自分が生まれた街のひなびたレコード屋さんに歌謡曲と並んで売られていたアルバム だったと記憶しています。昔は,廃盤はこんな格好で地方都市の小ちゃなレコード屋さん絶版になった後も売れ残って見つかることがありましたよね。良い時代 でした!