Music with Feeling Ben Webster With Strings
(Verve MGV8130)
(Verve MGV8130)
久しぶりにストリングス入りのアルバムを聴いてみる。今日はテナーサックスの巨匠ベン・ウェブスターです。エリントニアンとしても有名なフロッグことベ ンですが、そのテナーは太い音色でサブトーンを駆使したときには豪快で時には繊細なスタイルの持ち主で愛すべきテナープレイヤーの一人です。ストリングス についてべんは次のように語ったとバックカバーには記されています。"Strings creat a special atmosphere and this atmosphere makes me feel better and it makes me play my horn better, too." これがベンがストリングスアルバムを作ろうとした理由だと述べられています。カンサスシティ近郊で生まれ育ったベンは,当初バイオリニストを目指したと言 うのですが,良い音が出せずテノーに転向した経緯もあるようです。ストリングス入りアルバムとしては彼に取って2枚目が本アルバムで残りの1枚も "Sophisticated Lady"のタイトルのピンクの粋なカバーのアルバムですよね。
さて演奏は,A-1のストレイホーンの"Chelsea Bridge"が彼のバラードプレイのすべてを表現した演奏と確信いたします。この曲自体,美しい曲でベンの愛奏曲でもありますよね。(コンボの演奏は過 去にアップした"The Soul of Ben Webster"でも聴くことが出来ます。)サブトーンを駆使して揺れるようなテナーでせまるベンのプレイにいきなり第1ラウンドのダウンを奪われてしま います。これに続きハンク・ジョーンズのピアノプレイも聴ける"Willow weep For Me", さらに"No Greater Love", "Teach Me Tonight"と有名なスタンダードが続き,これらの曲でもラルフ・バーンズのストリングスにのって甘いバラードプレイを聴かせます。サイドBでは通常 スウィンガーでやられることが多い”We'll Be Together Again"や"Blue Moon"がよりテンポを落とした形で聴かれます。ハイライトとも思えるB-3の"Early Autumn"でバラードの極致にせまるプレイに完全にKOされてしまいます。 ここでもハンクのピアノが間奏でいい味を出してます。
カバーはブルーのいかしたカバーで良いなあと思ってクレジットを見てみるとDSMでした。DSMらしくないカバーですがブルーのバックにロゴの配置も巧みでセンスを感じます。所有盤はMGMのT字で,モノラルです。たまにはこんなストリングス入りも良いですよ!