Out Of This World/The Three Sounds
(Blue Note 4197)
(Blue Note 4197)
Blue Noteが育てたアーチストと言えるプレーヤーというカテゴリーがあるとすれば,このスリー・サウンズもその中に入れて差し支えのないユニットであろうと思います。記念すべき1600番以来,彼らは一貫して同趣向を貫き,Gene Harris(p), Andrew Simpkins(b), Bill Dowdy(ds)のトリオでソウルフル、ゴスペルライクなピアノトリオのアルバムを制作しています。決して歴史を変えるようなプレイ,アルバム制作をしたわけではありませんが,リラックスしたプレイで奏でられるスタンダード中心の演奏は,BNファンにはたまらない魅力となっているはずです。一旦,BNを辞し,VERVE, MERCURYに移籍しますがハリスはふたたびBNに帰ってきます。初回の在籍最後のアルバムは4155「Black Orchid」ですが,このアルバムからはずれた曲や他の未発表曲を寄せ集めたアルバムです。この美しい黒人女性のカバーが印象的です。
演奏はズバリ,A-2のベニー・ゴルソン作のバラード,"Out Of The Past"の素晴らしさは聴いてみてのお楽しみです。ある意味このグループらしからぬ演奏かも知れないですが、スローなテンポで始まり,ダブルタイムになりハリスのリリカルなソロが展開され、過度にソウルフルにならない美しいピアニスティックな演奏で、このアルバムの白眉と言えると思います。他にもスタンダードで"Just In Time"、タイトル曲の"Out Of This World", シナトラで有名な"You Make Me Feel So Young"など佳曲揃いでもあります。
所有盤は"NEW YORK, USA"のモノラル盤で、未発表集と言う事もあり,彼らのBN盤の中でもアンダーレイテッドかも知れませんが,なかなかの仕上がりと思います。