67camper's Blog

管理人67camperの空冷VW、北米輸入住宅、キャンプ、ジャズ、自転車、アコギ、カメラ、アメカジに関するログです。

あまり話題にのぼらないケリーのBN盤

2007-09-16 00:33:43 | jazz & vocal
Piano Interpretations by Wynton Kelly/Wynton Kelly
(Blue Note 5025)

 強烈なスウィング感,3連符を駆使したノリはケリーのピアノの聴いたとき誰もが感じる,そして彼が最も愛されるピアノプレイヤーとされる所以ですよね。一方,10インチのブルーノート盤は有名なアルバムではありますが、あまり話題にのぼることはありませんよね。ここで聴かれるケリーは、いつもの強烈なノリを押さえ気味にピアニスティックな魅力溢れるプレイを展開しています。この時代がこう言うプレイスタイルだったのか,あるいは意図的にいつものノリを押さえ込んだプレイに終始したのか知る由もありません。本日はこの彼の10インチリーダー盤をアップしますね。

 本アルバムを録音した頃,ケリーはおそらくディジー・ガレスピーのバンドにいたのでしょうが,それ以前はダイナ・ワシントンの専属ピアニストであったこともありますよね。リバーサイド以降の輝かしくもあまりにも短すぎたケリー時代の到来を予見させるかのようなプレイの萌芽もみられますが、歌伴の経験をいかしたスローナンバーでの美しいピアニスティックな魅力がたまりません。A面の"Cherokee"~"Crazy He Calls Me"~"Blue Moon"~"Born To Be Blue"、そしてB面トップのchelestaを思わせるような"Moonlight In Vermont", 最後の"Goodbye"と選曲がそう言ったピアニスティックのプレイにさせたのかも知れません。一方,B-2のスウィンギーな"There Will Never Be Another You"とB-3のラテンフレイバーの"I've Found A New Baby"が後のプレイを予感させます。メンバーはFranklin Skeeter(b)とLee Abrams(ds)のトリオで"Blue Moon", "Born To Be Blue"で名手Oscar PettifordがSkeeterにかわってベースを務めます。ギル・メレのカバーも秀逸ですよね。

 レナード・フェザーの解説によれば、11才のプロデビュー時,ケリーは電話帳に座ってプレイしていたといいます。このBN盤はそれから約10年を経過した21才の進化形のケリーを捉えた貴重な記録です。10年前ぐらいでしょうか?国内盤でBNの10インチがまとめて再発されましたよね。その前はケニー・ドリューの10インチとのカップリングで出たこともあったと記憶しています。所有盤はいわゆるBlue NoteのUA盤10インチです。国内盤が出る前には,このUAの10インチも希少で入手困難でした。当時は聴きたくてたまらなかったアルバムでしたよね~!