The Scene Changes The Amazing Bud Powell/Bud Powell
(Blue Note 4009)
(Blue Note 4009)
約30年前、ジャズを聴き始めたとき、周囲にジャズにを聴く輩はほとんどいませんでした。となると当然、知識を得ようとする材料はジャズについて書かれた書物と当時開店したばかりの新潟市のジャズ喫茶「フラッシュ」でのたわいもない会話の中にある常連たちのレコード談義でした。書物に関して言うと、いろんな本が出ていましたが、たいていはジャズの歴史から書いてあり、ビバップの話になってモンクとパウエルのことが書いてあり、のちの人気ピアニストのアイドルであったことを知る訳です。いわゆる吉祥寺の店主が執筆活動を始める前の話でありマイナーなアルバムに付いてはほとんど紹介されていない時代でしたね。
こういった本で得た知識をもとに、フラッシュに行ってカウンターで座り「マスター、パウエルかけてよ!」ってことになる訳です。レコード棚から、ブルーグリーンのきわめてブルーノートらしいアメイジング5集のジャケットが取り出され、ターンテーブルにのるわけです。当然のことながら、「クレオパトラの夢」の哀愁に満ちたエキゾチックなテーマが流れる訳ですが、この演奏で完全にパウエルに嵌ることになる訳ですよね。その後もパウエルとなるとこのアルバムがかかるもので、「クレオパトラの夢」を含めたA面の5曲(5曲だったことを今日知りました。爆)は、タイトルさえ覚えることもしなかったですが、一連の一曲のような感じで、アドリブのフレーズまで鼻歌で歌えるほどに覚えてしまいました。久々に聴いてみると言葉に表せないマイナームードの素晴らしさ、完全にノックアウトです。パウエルの当時の調子がどうたらというような批評は関係ないですよね。テイラー、チェンバースをサイドメンに加えたトリオの醸し出すブルージーな雰囲気はいつまでたっても色あせることはないですよね。
所有盤は、リバティの再発盤ですがやや日本盤(キング盤)よりやや明るめのカバーで、ピアノに向かうパウエルとお子さんを捉えたモノトーンのカバーはそのロゴの配置も絶妙で極めてブルーノートらしいデザインで良いですね。誰もが認める名盤中の名盤ですね。