Empyrean Isles/Herbie Hancock
(Blue Note 84175, jp.reissue)
(Blue Note 84175, jp.reissue)
以前にアップした処女航海は一般的にハンコックの最高傑作として知られていますが、個人的には本日アップのEmpyrean Islesこそがハンコックの最高傑作とずっと思い続けています。処女航海のメンバーからジョージ・コールマンを除いたメンバー、すなわちマイルスのリズムセクションにコルネットのフレディ・ハバードを加えた、あるいはフレディのワンホーンアルバムとも言えるカルテットです。それだけ充分にフレディにソロスペースが与えられ、ある意味フレディの最高傑作と行っても過言ではない好調なフレディのソロを聴くことができます。
中身の曲は、モードを駆使したハンコックのオリジナル4曲で占められておりハンコック色も強く、丁度処女航海の直前の作品であり、処女公開の布石ともなった重要な作品です。A-1の"One Finger Snap"から4人の激しいソロが展開されモード独特のピーンと張りつめた緊張感が実に心地よいですよね。A-2の"Oliloqui Valley"はちょっとコルトレーンの曲を思わせるテーマが印象的です。そしてB-1でおなじみ"Cantaloupe Island"のゆっくりした魅惑のテーマが現れます。ハンコック、ハバードともファンキーに根ざした新主流派的アプローチがここまで様々な形で現れてきます。最後の"The Egg"のフリー的アプローチも見事で、こういう曲になるとトニーのドラムが非常に効果的ですね。カーターのビヨヨーンとならすコントラバスにも注目です。
全体的に穴のない、まさにハンコックのファンキーなモード的解釈があふれんばかりにストレートに叩き付けられた印象のアルバムです。処女航海のようにコマーシャリズムとは無縁であり、地味ですがストレートで崇高な緊張感がこのアルバム全体を支配しているのがわかります。所有盤は処女航海と前後して購入したキング盤です。やはりハンコックはこの盤ですね!